英高等法院、通信規制当局の情報要求を支持 Meta・WhatsApp・X・TikTokの異議退ける

2026年11月3日 11:08

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記事提供元:Tech Times

英高等法院は2026年10月30日、英通信規制当局Ofcomがオンライン安全法に基づいて出した情報提供通知を巡り、Meta、WhatsApp、X、TikTokによる異議を全て退けた。同法によるOfcomの情報通知発行権限が司法審査で争われた初の事例で、コンテンツの削除や表示制限、利用者の閲覧状況などのデータを求める通知が維持された。

■オンライン安全法の情報収集権限を支持

判決を下したのは、高等法院王座部の合議法廷だ。シン控訴院判事とコリンズ・ライス高等法院判事が、事件番号AC-2026-LON-002160、AC-2026-LON-002053、AC-2026-LON-001872の関連3事件を審理した。判決の識別番号は、2026年のEWHC 2779(Admin)である。

争われたのは、Ofcomが2026年2月10日にオンライン安全法第100条に基づいて発行した通知だ。同条は、オンライン安全に関する職務を遂行するため、または権限を行使するか判断するために必要な情報を、規制対象の事業者などに求める権限をOfcomに与えている。

この権限には、情報の利用目的に見合う形で行使するという比例性の要件がある。裁判所は今回、企業側が申し立てた権限逸脱などの主張について司法審査の許可を拒み、比例性に関する主張は許可した上で本案で退けた。

通知は企業側との協議を経て作成された。判決によると、Ofcomは質問内容の修正に加え、理由が示された場合には代替情報や推計値の受け入れ、段階的な提出、期限延長などに応じる仕組みを設け、実際に個別の調整も行っていた。

■削除件数に加え、子どもの閲覧状況も対象

通知が求めた情報は6分野に及ぶ。各社が使う用語の定義、年齢層別の利用者活動量、モデレーション措置の対象となったコンテンツとアカウントの件数などだ。モデレーションとは、投稿の削除や表示制限など、サービス上のコンテンツを管理する措置を指す。

措置までにかかった時間や、子どもに有害なコンテンツがどの程度対象となったかも含まれる。さらに、後に措置の対象となったコンテンツを、英国の利用者や子どもがどの程度閲覧したかというデータも求められた。

残る分野は、コンテンツへの措置に対する異議申立ての結果と処理時間、英国の利用者から寄せられた通報の件数と処理結果である。削除された投稿数だけでなく、利用者への影響や対応の速さまで把握するための情報が対象となった。

Ofcomは、こうしたデータをオンライン上の危害の規模や、安全対策の効果を把握するために利用すると説明した。規制の優先順位を決め、導入した対策の効果を継続的に評価するという目的が、情報要求の背景にある。

■争点は権限の範囲と要求の比例性

企業側は、第100条による要求が、同法で別途定められた透明性報告などの制度を迂回していると主張した。また、求められた情報の必要性、影響評価の実施義務、Ofcom自身の公表済み方針への適合性も争った。TikTokは、不当な目的や、担当者が判断をあらかじめ決めていたように見える点も問題にした。

裁判所は、第100条の情報収集と、情報の公表を伴う透明性報告制度には異なる目的があると判断した。Ofcomはオンライン安全に関する適法な目的を示しており、情報要求の段階で個々の具体的な作業まで特定する必要はないとした。

イングランドの司法審査には、主張が合理的に争い得るものかを判断する許可段階がある。今回は許可の判断と、許可された場合の本案判断を同じ審理で扱う手続きが採られ、10月5日、6日、9日の3日間にわたり審理された。裁判所は、権限逸脱などを含む争点1〜7について許可を拒否した。

一方、法定の比例性要件や欧州人権条約上の権利に関わる争点8、9は、本案で検討した上で退けた。裁判所は、各通知による負担と、Ofcomが追求する目的の重要性、その目的への通知の貢献を比較して評価した。

■対応負担の評価では、通知固有の追加コストを重視

ロイターによると、Xは今回の要求を、同社が規制当局から受けた中で最も負担の重い情報要求だと表現し、対応に数百万ポンドがかかると主張した。裁判所も企業側の負担に関する意見や背景事情を考慮したが、提出された証拠では、通知が不比例であるとの結論に至るには不十分だと判断した。

評価の焦点となったのは、オンライン安全法への対応全般に必要な費用と、個々の情報通知によって追加的に生じる負担との区別だ。裁判所は、通知が各社の資源、システム、事業モデルに具体的にどのような差をもたらすかを示す事実上の証拠を重視した。

また、負担を抑えた別の要求でも同じ目的を達成できるという企業側の主張について、証拠や法廷での説明による具体的な裏付けが乏しいとした。Ofcomが協議を通じて要求を修正し、その後も対応上の問題について継続的に協議する姿勢を示したことも評価した。

この判断は、情報通知への対応負担を検討する事業者にとって実務上の手掛かりになる。必要な人員やシステム改修、他の法定義務への対応との重複を整理し、通知によって生じる追加負担を具体的に説明することが重要になる。

■Metaは失望を表明、関連する法的手続きも進行

ロイターによると、Metaの広報担当者は判決に失望を示し、同社や業界の他社が異議を申し立てたのは、この規模の情報収集が必要かつ比例的な範囲を超えていると考えたためだと説明した。TikTokは判決を検討しているとし、Xはコメント要請に直ちに応じなかった。

Ofcomの広報担当者は、企業からの情報収集が職務遂行の根幹だとして判決を歓迎した。同当局のオンライン安全部門を率いるオリバー・グリフィス氏は9月15日の英貴族院通信・デジタル委員会で、訴訟の多い環境に置かれており、不必要なリスクを取れば資金力のある個人や企業との法的争いで大きな打撃を受けると述べていた。

別の争点として、MetaはOfcomが監督手数料や制裁金の算定に用いる収益の扱いを争っている。事件番号はAC-2025-LON-004500で、裁判所の命令は本案審理を10月13、14日に指定していた。ロイターの10月30日の報道時点では、この別件の判決が待たれていた。

WhatsAppとInstagramを、追加的な義務が課されるカテゴリー1に指定した決定への不服申立てもある。専門メディアMLexによると、両サービスについて上級審判所で争われている。指定は、利用者の選択やサービスの透明性などに関する追加義務の対象を左右する。

■リスク評価の提出要求と制裁金の枠組み

Ofcomによる情報収集は、リスク評価の点検にも使われている。同当局は2026年4月1日、43サービスを運営する30事業者に正式な情報要求を出し、違法コンテンツと子どもの安全に関する70件超のリスク評価記録の提出を求めた。

Ofcomは10月6日、InstagramのInstantsを巡り、Metaに対する初のオンライン安全法に基づく正式調査も開始した。5月13日の機能導入前に、違法コンテンツと子どもへの危害について適切かつ十分な追加リスク評価を行ったかを調べている。

ロイターによると、Metaは、導入前にリスク分析を行い、Ofcomにも複数回説明したとしている。同法は、サービスの設計や運用に重大な変更を加える前に追加のリスク評価を行うよう求めている。

オンライン安全法に基づく制裁金の上限は、1800万ポンド(約38億2000万円)と、算定対象となる全世界収益の10%のうち高い方だ。Metaが公表した2025年通年の売上高は2009億6600万米ドル(約31兆8000億円)だった。

通貨サービスOFXが掲載する2026年11月1日のレートは、1ポンド=約1.34米ドルである。この概算レートでは、100万ポンド(約2億1200万円)は約134万米ドル、1800万ポンド(約38億2000万円)は約2410万米ドルに相当する。

元記事: Ofcom Wins First Court Test of Power to Demand Platform Data Under Online Safety Act

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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