IEA、石油備蓄放出「可能な限り早く」 軽油逼迫で供給安定を急ぐ

Secl, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons[写真拡大]
国際エネルギー機関(IEA)は、3月に決定した加盟国による緊急石油備蓄の協調放出を加速し、残る備蓄を可能な限り早期に市場へ供給する方針を示した。供給が特に逼迫している軽油について、可能な範囲で優先的に放出する。
IEAは7日、加盟国政府が協調放出の早期完了を支持したと発表した。3月の「協調行動」に基づき、これまでに約3億2500万バレルが放出され、一部の国は当初の約束を上回る量を供給した。まだ放出されていない約束分を全て市場に供給すれば、さらに約1億バレルが放出されるとしている。
IEA加盟国はこのほか、政府が保有する緊急石油備蓄を約11億バレル抱えており、このうち軽油は2億バレルを超える。IEAは「必要となれば、さらに備蓄を市場に放出する用意がある」と表明した。
中東からの原油輸出は大幅に回復している一方、石油製品の流通はなお大きく制約されている。IEAによると、ロシアの製油所に対するウクライナの攻撃も軽油の供給逼迫を悪化させており、価格上昇による経済への影響が強まっている。
供給懸念を一段と高めているのが、ホルムズ海峡周辺で続く商船への攻撃である。ロイター通信によると、9月28日から10月5日までの1週間に、原油や液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)を運ぶタンカーを対象とした攻撃や攻撃未遂などが少なくとも12件発生した。2月28日に米国とイランの戦争が始まって以降、週間では最多となった。
米海軍主導の合同海事情報センター(JMIC)は、イラン革命防衛隊によるドローン飛行や監視、無線を使った威圧行為などが続いていると指摘。「イランが主要な航路で存在感を示し、通航する船舶への圧力を維持しようとしていることを引き続き示している」とした。
米政権が対イラン軍事作戦の再拡大を検討しているとの報道も原油相場を押し上げた。Axiosは7日、米国防総省が米中央軍(CENTCOM)に対し、イランで大規模な軍事作戦を再開する場合に備えて準備を完了するよう指示したと報じた。トランプ大統領はこの時点で最終決定を下していなかった。
トランプ氏は7日、テキサス州サンアントニオで開いた選挙集会で、イランとの交渉について「合意は本当に私が望んでいるものではないが、彼らは止めてもらうためなら何でも提示する用意がある」と述べ、イランの核保有は認めない考えを改めて示した。
トランプ氏は翌8日、11月3日の米中間選挙より前にはイランへの軍事攻撃を再開しないと表明した。米国とイランの協議が続くなかでも、中東の供給不安やホルムズ海峡の輸送リスクはなお原油市場の変動要因となっている。
危険な航海に伴い、船員の報酬も急騰している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、中国・山東省の船員派遣会社は、ホルムズ海峡を往復する船員に最大2万5000ドルを提示している。一部の船員にとっては1年分を超える賃金に相当するという。インドやフィリピン、中国などの船員に対し、通常の月給の2〜3倍に当たる危険手当を提示するケースも出ている。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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