英AEM、レアアース不要の大型商用車向けモーター「Titan」をIAAで初公開へ

2026年8月28日 16:49

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記事提供元:Tech Times

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英Advanced Electric Machines(AEM)は、レアアース磁石を使用しない大型商用車向けモーター「Titan」を、2026年9月15~20日にドイツ・ハノーバーで開催されるIAA Transportation 2026で初公開する。会場に展示するのは詳細な3Dコンセプトモデルで、最初の実機サンプルは2027年第3四半期に提供する計画だ。

Titanは、AEMの大型商用車向け「HDRM」シリーズで最大かつ最も高いトルクを目指す製品である。具体的な出力やトルクなどの仕様は、2026年8月28日時点で公表されていない。

■中国の輸出管理で注目される磁石レス設計

中国商務部と税関総署は2025年4月、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウムなど、一部の中・重希土類関連品目を輸出管理の対象とした。輸出禁止ではなく、対象品目の輸出に許可を求める制度である。

自動車業界では、その後の供給停滞による生産への影響も表面化した。フォードはレアアース磁石の不足を受け、2025年5月に米シカゴ工場で「エクスプローラー」の生産を約1週間停止した。スズキも同じ時期に、日本で「スイフト」の一部生産を一時停止したと報じられた。

中国は2025年10月に対象元素や関連技術、製造設備などを追加する輸出管理策を発表したが、追加措置の多くは同年11月に一時停止された。停止期間は2026年11月10日までとされている。一方、2025年4月に導入された中・重希土類の輸出許可制度は継続しており、自動車メーカーにとって磁石材料の調達先を分散する必要性は残っている。

■レアアース磁石を使わずトルクを生み出す

AEMのHDRMシリーズは、永久磁石を持たないリラクタンスモーター技術を採用する。固定子に配置した巻線へ順番に電流を流し、鉄製の回転子が磁気抵抗の小さい位置へ動こうとする力を利用して回転トルクを生み出す仕組みだ。

回転子には永久磁石や巻線を設けないため、ネオジム磁石などを使う永久磁石モーターとは材料構成が異なる。高温による永久磁石の減磁を考慮する必要がないことも、長時間の運転や高い負荷が想定される商用車向けでは設計上の特徴となる。

一方、スイッチトリラクタンスモーターでは、回転に伴ってトルクが周期的に変動するトルクリップルや、それに起因する騒音と振動の抑制が重要になる。AEMは、ニューカッスル大学での研究を基礎とする多相モーターの駆動構成と制御技術によって、この課題に取り組んできた。

同社は、モーターとインバーター、制御システムを一体で最適化することで、永久磁石を使わない構造と滑らかなトルク出力の両立を目指している。Titanの性能を判断するには、今後提供される実機サンプルによる効率、出力、耐久性、騒音などの検証が重要になる。

■TitanはHDRMシリーズ最大のモデル

AEMによると、Titanは既存のHDRMシリーズを基礎に、大型のパワートレインが必要とする、より高いトルクへ対応する。シリーズには補助駆動や発電用途を想定したHDRM150と、商用車の駆動用途に向けたHDRM300シリーズがある。

IAA TransportationのAEMブースで公開されるのは、動作する試作機ではなく詳細な3Dコンセプトモデルである。最初の物理サンプルは2027年第3四半期に提供する計画で、その後に車両への組み込みや耐久試験などが進められる。

したがって、2026年9月の発表は量産開始ではなく、製品構想と開発ロードマップの公開という位置づけになる。量産時期や採用メーカー、価格、Titan固有の出力・トルクは明らかにされていない。

Titanの開発は、AEMが発表した1,600万ポンド規模の事業投資の一部として進められている。同社は、この投資を電動パワートレイン技術の開発加速に充てるとしている。

■既存製品と統合ドライブシステムも展示

AEMはTitanに加え、HDRM150と空冷インバーターを組み合わせた統合ドライブシステムもIAA Transportationで展示する。AEMの発表では、最大700Vで動作し、モーターのピーク出力は30kWを超える。

このシステムは液冷回路、ポンプ、配管を必要としない構成で、建設機械や農業機械などの補助駆動用途への組み込みや保守を簡素化する狙いがある。モーター単体ではなく、インバーターや冷却方式を含むシステムとして提供する点は、リラクタンスモーターの特性を制御技術によって引き出すAEMの開発方針を示している。

SAF-HOLLANDのブースでは、HDRM150を回生発電機として組み込んだ「TRAKr」eアクスルも展示される予定だ。トレーラーの走行中に得られる回生エネルギーを、冷凍装置などで利用することを想定した仕組みである。

■アルミ巻線の採用はTitanでは未公表

AEMは、レアアース磁石に加えて銅巻線も使わないモーター技術を開発している。銅の代わりに圧縮成形したアルミニウム巻線を用いることで、材料構成を簡素化し、使用後のリサイクルを容易にする考えだ。

同社の乗用車向けSSRDモーターではアルミニウム巻線の採用が明記されている。また、HDRM150についても、アルミニウム巻線を使ったリサイクル性の高い仕様が開発中とされている。

一方、Titanの公式発表ではレアアース磁石を使わないことは示されているものの、巻線の材料や銅を完全に排除した設計であるかは明らかにされていない。このためTitanについて現段階で確認できる特徴は、レアアース磁石を使用しない大型商用車向けモーターであることだ。

■焦点は実機での性能と量産性

永久磁石を使わないモーターは、特定の磁石材料への依存を軽減できる一方、車両に必要な効率や出力密度、静粛性をどのように確保するかが採用判断の焦点になる。とりわけ大型商用車では、高負荷で長時間運転した場合の連続性能と耐久性が重要だ。

AEMの既存HDRM300シリーズには量産中のモデルがあり、同社は自社モーターを搭載した車両の累計走行距離が800万kmを超えたとしている。ただし、この数値はAEM製モーター全体に関する同社公表値であり、開発中のTitanそのものの実績ではない。

Titanについては出力、トルク、効率、重量、冷却方式などがまだ公開されていない。2027年第3四半期に予定されるサンプルの完成後、既存の永久磁石モーターやほかの磁石レス方式に対して、性能、コスト、量産性の面でどのような位置づけになるかが具体化していく。

■注目ポイントQ&A

●Titanは銅を使用しないモーターですか?

Titanの公式発表では、レアアース磁石を使用しないことは確認できますが、巻線の材料や銅を完全に排除しているかは公表されていません。AEMは別の製品でアルミニウム巻線を採用し、HDRMシリーズでもアルミニウム巻線の開発を進めていますが、Titanへの採用は現時点で確認できません。

●IAA TransportationではTitanの実機が展示されますか?

展示されるのは詳細な3Dコンセプトモデルです。動作する物理サンプルの提供は2027年第3四半期に予定されています。

●Titanの出力やトルクは公表されていますか?

具体的な数値はまだ公表されていません。AEMはHDRMシリーズで最大かつ最も高いトルクを目指すモデルと説明しています。

●スイッチトリラクタンスモーターにはどのような特徴がありますか?

永久磁石を使わず、固定子がつくる磁界と鉄製回転子の磁気抵抗の変化を利用してトルクを生み出します。磁石材料への依存を減らせる一方、滑らかな出力を得るための電力制御やトルクリップルの抑制が重要です。

●Titanはいつ量産されますか?

量産開始時期は発表されていません。AEMが公表しているのは、最初の物理サンプルを2027年第3四半期に提供する計画までです。

元記事: AEM Titan Debuts Copper-Free and Rare-Earth-Free at IAA Transportation

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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