入院時生活必需品レンタル:エランの収益好調の理由

2025年6月24日 09:09

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 今回の入院でもエラン(6099、東証プライム市場)の世話になった。周知のとおりとは 言え、入院という不測の事態とは縁の薄い人には???かもしれないが・・・。患者着・タオル・歯ブラシ・コップ・入れ歯いれetc、入院に際しての生活必需品:CSセットのレンタル事業を展開している。

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 「手ぶらで入所・退所OK」が、エランが掲げるキャッチコピー。私が使ったセットは1日、600円余。確かに便利。が果たしてその程度で儲けはでるものか、退院早々に収益動向をチェックしてみた。

 「18期連続収」とのこと。今12月期は「24.2%増収の590億円、31.9%の営業増益の47億2000万円、2円増配15円配」計画。しかしやはりいまひとつ、納得しかねた。

フッと思い浮かんだのが、エランは「入院費保証業務(CSセットR)」を手掛けている点。が病院経営「赤字」が指摘される昨今。病院側も仮にエランと「保証契約」を結んでいても、減収要因になる手数料の支払いは絶対に避けたいはず。現に私が入院した病院でも、事前に5万円也が預入金として徴収された。この5万円をベースに退院時に精算される枠組み。

 では「快走」はどう捉えればよいのかだ。

 私が初めてエランを取材したのは、前回の入院でCSセットを知った直後だった。2021年12月期。「CSセットの導入施設(病院・介護施設等)は162カ所」「月間利用者数は29万3899人」だった。それが前12月には「2570カ所」「45万8189人」に大幅に増えていた。

 エランはそもそも、1995年に寝具の販売・リフォーム企業として設立された。現業の契機は、ある病院からの「病院用の布団を扱えないか」という打診だった。がエランは、「既に大手リネンサプライ会社が市場に参入しており、新規参入は厳しい状況」と結論づけた。しかし、ここで諦めていては現業での「快走」はなかった。

 エランは病院からの打診を機に、なんとしてでも新たなビジネスを欲した。病院市場は「垂涎の対象」だったからだ。

 病院の困り事を徹底して調べた。浮上してきたのが、「入院時の病院着等の準備⇔入院期間中のフォロー」だった。病院側は手間/コストを背負い込んでいた。対応に問題意識を抱えていた。ニーズは確認できた。が全く新たな事業が右から左に進むはずない。

 エランでは、「当初は靴を擦り減らす営業だった。一歩一歩。大学病院など大手病院の契約を積み重ねていくなかで」と説明した。

 エランの時価は本稿作成時点で800円台トビ台。予想税引き後配当利回り1.49%。年初来高値(6月10日)から70円方下値。9年半余の修正済み株価パフォーマンスは4.6倍強。さて・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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