企業倒産件数、2023年度は9053件 9年ぶりに9000件超え

2024年4月9日 11:10

印刷

 東京商工リサーチが2023年度の全国企業倒産状況を発表。倒産件数は増加しており、マイナス金利解除の影響と合わせて、今後もハイペースな企業倒産が続く見通しだ。

【こちらも】新電力会社の撤退・倒産、2年で7倍に 今後も厳しい環境か 帝国データバンク

■3月は約10年ぶりに倒産件数900件超え

 8日、東京商工リサーチが2024年3月の全国企業倒産状況を発表した。負債額1,000万円以上の企業倒産件数は前年同月比11.9%増の906件となり、24カ月連続で前年同月を上回った。1カ月の倒産件数が900件を超えたのは、2014年4月(914件)以来、9年11カ月ぶりのことだ。

 負債総額は前年同月比3.5%減の1,422億5,200万円となり、4カ月ぶりに前年同月を下回った。主な大型倒産は、生ごみ処理機や水素水サーバーを販売するテックコーポレーション(負債総額:191億9,400万円、以下同じ)、タクシー業の茨木高槻交通(62億円)、老人ホームなどを経営する日本ヒューマンサポート(62億円)など。

 23年3月は、負債額337億4,100万円と比較的大型だったJOLEDの倒産があったが、その反動により、負債額は前年を下回った。

 日本銀行によるマイナス金利解除により、10年以上続いた低金利下における企業の収益モデルは見直さざるを得ない。今後は、収益モデルの変革ができない企業の倒産が増えることが予測される。

■2023年度は9年ぶりに9,000件超え

 2023年度(2023年4月~24年3月)の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は、前年度比31.5%増の9,053件となり、2年連続で前年度を上回った。また年度別で倒産件数が9,000件を超えたのは、2014年度(9,543件)以来のこと。

 負債総額は同5.9%増の2兆4,630億7,800万円となり、こちらも2年連続で前年度を上回った。主な大型倒産は、液晶ディスプレイ製造のパナソニック液晶ディスプレイ(負債総額:5,836億円、以下同じ)、不動産業などの持ち株会社であるユニゾホールディングス(1,261億9,800万円)、パチンコ店経営のガイア(943億5,500万円)、携帯端末販売のFCNT(872億円)、携帯端末製造のジャパン・イーエム・ソリューションズ(613億円)など。

■産業別、地区別でも全て前年度を上回る

 2023年度の産業別倒産件数は、2年連続で10産業全てにおいて前年度を上回った。最も倒産件数が多かったのは、サービス業他の3,028件(前年度比:34.87%増、以下同じ)。次いで建設業が1,777件(39.48%増)、卸売業が1,048件(27.03%増)、製造業が1,006件(25.43%増)となり、ここまでが1,000件超え。

 以下は小売業が993件(29.97%増)、運輸業が441件(25.64%増)、情報通信業が349件(35.27%増)、不動産業が281件(15.16%増)、農・林・漁・鉱業が102件(12.08%増)、金融・保険業が28件(7.69%増)となっている。

 同じく地区別でも、全9地区で前年度を上回った。全地区で前年を上回るのは、2008年度以来のこと。最も倒産件数が多かったのは関東の3,372件(30.5%増)。次いで近畿が2,322件(33.9%増)、中部が1,078件(17.8%増)、九州が759件(35.0%増)、東北が489件(47.2%増)、中国が413件(47.5%増)、北海道が269件(25.7%増)、四国が181件(57.3%増)、北陸が170件(17.2%増)となっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事