後進国に高級車は造れない

2024年1月27日 16:51

印刷

7代目のCM「いつかはクラウンに」が世相を反映 (画像提供 トヨタ)

7代目のCM「いつかはクラウンに」が世相を反映 (画像提供 トヨタ)[写真拡大]

  • 車格はロールス扱いのヴァンデンプラス・プリンセス1300 ©sawahajime

 昔、マツダが「ピラミッドビジョン」なる表現を用いた。最初は軽自動車からスタートし、次第に上級車種へと乗り換えて行く。

【こちらも】その国に「自動車」が定着するまでの差とは

 当時のマツダの場合、軽自動車のキャロルから始まり、キャロル600、そしてファミリアになり、ピラミッドの頂点に立つのは最上級車種ルーチェだった。

 トヨタのPRでは、1983年に登場した7代目クラウンで「いつかはクラウンに」とやった。

 やはり、大衆車のパブリカから次第に上級車種であるコロナになり、コロナマークIIと上位車種になり、最終的には「いつかクラウンに乗る」のが夢だったのを見事に表していた。

 所得の向上に伴って、次第に上級車種に乗り換えて行くのが、当時のライフスタイルだった。

●高級車・上級車

 車のある生活が、国民全体に浸透している国々では、自分の保有する車のレベルに関する認識は一般に行き渡っている。

 日本では、高速道路でカローラバンがポルシェと競り合おうとしたり、身の程を弁えない輩も存在するところは、未だドライバーに関しては「自動車後進国」なのかも知れない。

●ドイツのアウトバーン

 例えばドイツのアウトバーンでは、後方からスポーツカーが近づいて来たら、前を走るファミリーカーやコマーシャルバンは、当然の事として道を譲る。

 そんなお国柄だから、わざわざポルシェ928のボディを外して、VWゴルフを縦にぶった切った幅広ボディを被せて、外見は「幅が広いゴルフ」を仕立て上げたりする。

 アウトバーンで、後方から少し幅広い気がするが、ゴルフが急速に追い上げて来て、慌てて道を譲ったら、超高速で走り去って驚かす様な悪戯をして愉しむのだ。

●イギリスの高級ホテル

 イギリスでは、普段ロールスロイスやベントレーに運転手付きで乗っているオーナーが、プライベートで自らハンドルを握って外出する際に、「ヴァンデンプラス・プリンセス」みたいな車を使用する。

 この車は、モーリスやオースチンといったシリーズと共通の、大衆車がベースとなっているが、内装関係はロールスロイスと同等のコノリーレザーの革シートや、ウオルナットを使用した豪華仕様となっている。

 階級社会のイギリスでは、高級ホテルのエントランス付近には、ロールスロイスかベントレー以外は駐められないが、ヴァンデンプラスはそんなスペースにしれっと駐める事が許される、そんなステータスに位置付けられる車なのだ。

●自動車後進国では

 旧ソ連時代の、彼の国では「高級車」であった「ジル」は、党幹部専用車だ。デッカイだけの車で、性能は酷いレベルだった。

 しかし共産党独裁の国家だから、党幹部は特権階級であり、一般国民が交通ルールを守って走行中に、違反したジルと事故を起こしても、悪いのは一般国民側にされた。

●函館空港ミグ亡命事件

 ベレンコ中尉亡命事件は、1976年9月6日、ソ連防空軍所属のMiG-25が函館空港に強行着陸し、米国への亡命を求めた事件である。

 MiG-25は1967年7月、モスクワ・ドモジェドヴォ空港での航空ショーに出現して、マッハ3で飛び去り、西側諸国に大きな衝撃を与えたが、この亡命事件で現物が確認され、素材からマッハ3が出せるのも瞬間だけで、安全に飛行できる最高速は2.83程度と判明した。

 電子機器には時代遅れの真空管が使用されていたり、はったりの部分が多く見られた。共産圏諸国に見られる、秘密主義と誇大誇張のやり方だ。

●中国の「リムジン」

 2023年11月15日にバイデン大統領と会談した際、習近平が米国に持ち込んだリムジンも、例えば防弾ガラスとかなら厚さでカバーできるが、走行安定性能やエンジン性能まで、まともなものを完成する事は無理がある。

 第三者に客観的に評価されない限り、「外見だけ」は大統領専用車ビーストに比肩できるだけの車を造れても、性能まで真似る事は不可能だろう。一瞬、マッハ3で上空を飛行しても、常用飛行が不能なMiG-25と同様、「こけおどし」のシロモノだ。

●「高級」の意味が判るか

 「高級」の意味を理解しなければ、単なる「成金」でしかない。

 突然の用地買収で大金が入った農家が、かやぶき屋根の家屋にシャンデリアを取り付けても、馬鹿にされるのと同じで、高級の何かを判らない後進国に「高級車」は決して造れない。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事