飲食業の倒産件数、2020年は780件で過去最高を更新 帝国データバンク調査

2021年1月7日 16:22

印刷

 帝国データバンクの調査によると、2020年の飲食業倒産件数が過去最高を更新し、その多くを小規模な事業者が占めていることが分かった。

【こちらも】旅行業者の倒産増加、負債総額は2000年以降で最多に 帝国データバンク調査

■飲食業の倒産件数が過去最高を更新

 6日、帝国データバンクが「飲食店の倒産動向調査(2020年)」を発表した。これは2020年1月から12月における飲食事業を主業とする事業者の倒産で、法的整理かつ負債1,000万円以上の件数などを集計したもの。倒産件数は780件で、18年の653件から2年連続で増加しただけでなく、これまで最も多かった19年の732件を上回って過去最高を更新した。

 2000年以降の推移をみると、00年の147件からほぼ右肩上がりで倒産件数が増加し、11年には688件まで増加した。その後はやや減少傾向となり、16年には557件にまで減っている。しかし17年に707件と初めて700件を超え、前述の通り18年は653件と減ったものの、そこから2年連続で増加した。

■業種別では酒場・ビヤホールが最多

 業種別で最も倒産件数が多かったのは酒場・ビヤホールの189件で、過去最高だった19年の161件を更新した。04年(中華・東洋料理店の倒産:69件、酒場・ビヤホールの倒産:60件)などを除いて、酒場・ビヤホールが業種別の倒産件数では最多となることがほとんどだ。

 ついで倒産件数が多かったのは中華・東洋料理店が105件、西洋料理店が100件で、この2業態は19年(中華・東洋料理店:106件、西洋料理店:120店)から減っている。以下は、日本料理店が79店、バー・キャバレーなどが69店、喫茶店が68店、一般食堂が56店、その他の一般飲食店が53店、すし店が34店、そば・うどん店が18店、料亭が9店となっている。

 リーマンショック後の2011年には一般食堂(90件)、すし店(38件)、そば・うどん店(24件、12年も24件)、料亭(13件)が過去最高の倒産件数となっていた。

■負債額5,000万円未満の倒産が8割近くを占める

 負債額でみると、5,000万円未満が780件中620件(79.5%)と圧倒的に多い。ついで5,000万円以上1億円未満が86件(11.0%)、1億円以上5億円未満が61件(7.8%)、5億円以上10億円未満が9件(1.2%)、10億円以上50億円未満が4件(0.5%)となっており、5,000万円未満の倒産件数は2010年以降11年連続で70%を超えている。

 また負債額100億円以上の大型倒産は08年を最後に発生しておらず、50億円以上100億円未満の倒産も12年が最後となっており、10億円以上50億円未満の倒産件数の割合は13年以降8年連続で1%を下回っている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事