東証1部への上場が12月19日に迫ったソフトバンクに、突然の逆風が! (3-2)

2018年12月14日 17:50

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 米国が中国に対して警戒を強め、同盟国に対して中国の技術を採用しないように求める動きは、静かに浸透していた。8月にオーストラリア政府が、次世代通信規格5Gへファーウェイが参入することを禁止したのに続いて、11月28日にはニュージーランド政府が、同国通信大手「スパーク」によるファーウェイの技術採用計画を却下していた。採用を推進していた「スパーク」の発表では、「国家安全保障に重大なリスクを及ぼす」という通知を情報機関である「政府通信保安局」から受けたとのことだ。

【前回は】東証1部への上場が12月19日に迫ったソフトバンクに、突然の逆風が! (3-1)

 英通信大手のBT(旧 British Telecommunications) も5日、基幹ネットワークにファーウェイ製品を採用しない方針を表明した。念が入ったことに、2年以内には現行の4G通信網からもファーウェイ技術の排除を計画しているという。

 日本政府も米国政府による中国製通信機器排除の要請を受けて、自衛隊の通信機器を始めとする各府省庁の調達から、ファーウェイ製などの通信機器を事実上排除する指針をまとめた。情報漏洩などの安全保障上のリスクに大きく配慮した結果である。

 NTTドコモとKDDIは中国製の通信機器を5Gの基地局などに使わない方針だ。通信キャリアへ参入する楽天も中国製の通信機器は使わないという。

 切ないのは、4Gにファーウェイと中興通訊(ZTE)の設備を一部使っており、5Gのノウハウをファーウェイ製の基地局を中心に蓄積してきたと言われるソフトバンクだが、決断は早い。既に投下した資金や蓄積したノウハウよりも、今後の進展に懸念材料を残さないことを最優先した。既往の4Gからも、今後の5Gからも中国製の通信機器は排除することを速やかに決定した。

 19日に東証1部への上場が迫っているソフトバンクには、投資家を不安にさせる要素を払拭するモチベーションが強く働いたようだ。「後顧の憂い」を残さない姿勢が、いずれ報われる筈である。(3-3に続く)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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