三菱重工業 のたうち回る「巨艦」(中)

2017年8月17日 19:59

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 (2)02年に長崎造船所で建造中の豪華客船ダイヤモンドプリンセスで発生した火災事故のためにその後は客船の受注が途絶えていたが、11年にアイーダ・クルーズ向け大型客船2隻を受注したことで造船ビジネスを牽引する役割が期待された。

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 しかし、1番船は当初予定の15年3月から1年遅れて引き渡され、2番船も16年3月の引き渡し予定が17年4月にやっと引き渡された。2隻で1,000億円と見られる受注額に対して累計損失は2,375億円に膨れ上がり、受注額の2倍を超えた。同社社長は見積もりの甘さを「大型客船をつくるノウハウを熟知していなかった」と吐露した。

 (3)日立が2007年に受注した南アでのボイラー建設を2014年に発足した三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が引き継いだ。MHPSは三菱重工が65%、日立が35%出資して設立され、三菱重工業の大型ガスタービンと日立の中小型ガスタービン技術を持ち寄ることでフルラインナップの体制となり、規模だけは米ゼネラル・エレクトリックス(GE)、独シーメンスに次ぐ世界3位を標榜できるようになった。

 MHPSが手掛けている南アでの大規模な火力発電所向けボイラー建設は受注当時、新興国開拓の成功事例として良い面での話題になった。ところがこの南ア案件は当初から工期の遅れや労使紛争によるコスト増という逆の面が懸念されていたため、発注元である日立に一定の費用負担を求めるという合意が形成されていた。当初から「これは危ない」と双方が懸念していたということだ。

 16年5月の三菱重工業の決算説明会で日立に対して4,000億円弱を請求中と公表したが、日立は「協議中の内容をどうして一方的に開示するのか」と不快感をにじませた。17年2月8日、今度は日立が三菱重工からの請求が約7,600億円と約2倍に膨れ上がったことと、その要求を拒否する意向を示した。

 当初は三菱重工業側が日立に攻勢をかけていたのに対して、今年になって日立が三菱重工業へ受けて立つ姿勢を明確にした。

 7月31日、三菱重工業は日立を相手に約7,743億円の支払い義務の履行を日本商事仲裁協会に申し立てた。既に当事者同士では交渉が成り立たないことが明らかになった。
 (下)へ続く(矢牧滋夫)

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