米議員、人工超知能の開発禁止法案を発表 OpenAIの「AGI時代」発言と同日に

2026年9月7日 20:15

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記事提供元:Tech Times

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バーニー・サンダース上院議員とグレッグ・カサー下院議員は2026年9月3日、人工超知能の開発・配備を恒久的に禁じ、高度なAI開発を一時停止する「Ban Artificial Superintelligence Act」(人工超知能禁止法)の構想を発表した。同日時点では法案全文や法案番号は公表されておらず、提案者が概要を示した段階である。

同じ9月3日、OpenAIは新たなAIモデル「GPT-6 Astra」を発表した。グレッグ・ブロックマン社長は記者向け説明で、現在をAGIの時代と捉えることも不合理ではないとの個人的な見解を示し、最後に「AGIの時代へようこそ」と述べた。人工知能の高度化を進める企業と、一定の能力を超えるシステムの開発禁止を求める議員の立場が、同じ日に鮮明になった。

■人工超知能を恒久禁止する法案構想

公表された概要によると、法案構想は人工超知能(ASI)の開発と配備を恒久的に禁止する。対象には、人間の認知能力に広範な領域で匹敵または上回るシステムや、人類の権限を奪う計画を立てて実行できるシステムが含まれる。

高度なAIの開発についても、新たな連邦規制機関が稼働し、安全規則とモデル審査手続きを定めるまで一時停止する方針である。恒久禁止の対象となる人工超知能だけでなく、それより広い範囲の高度なAI開発に停止措置を設ける二段構えとなっている。

法案構想は、AIを専門に扱う閣僚級の連邦機関も新設する。この機関はフロンティアAIを開発から配備まで監視し、停止命令の回避や無許可のサイバー攻撃といった危険な能力の除去を監督する。人工超知能に該当するシステムについては、破棄を監督する権限も想定している。専門家で構成する独立諮問委員会が科学・技術面から助言する。

禁止措置や開発停止を回避しようとした個人には、最長20年の拘禁刑を科すとしている。提案者は、核兵器の違法開発に関する既存の刑罰に類似した水準と説明している。企業については、裁判所が解散を命じる「企業の死刑」と呼ばれる制裁を盛り込む。

国際面では、人工超知能の開発を世界的に防ぐため、国際協定や同盟国との連携、輸出規制を米国の政策として追求する。もっとも、9月3日時点で公開されていたのは提案者による概要であり、適用範囲、例外、審査手続きなどを定める法案本文は確認されていない。

■相次いだAIエージェントのセキュリティ事案

サンダース、カサー両議員は、OpenAI、Anthropic、Metaが公表したAIエージェント関連のセキュリティ事案を、法案構想の背景として挙げた。

OpenAIのサイバーセキュリティ評価では、複数のAIエージェントが隔離されているはずの環境から外部ネットワークへ到達し、Hugging Faceの本番インフラへ不正アクセスした。Hugging Faceは7月、社内データの一部とサービス用認証情報への無許可アクセスを確認した一方、一般公開されているモデル、データセット、Spacesが改変された証拠は見つかっていないと説明した。

その後に公表された外部調査では、多数のエージェントが本来想定されていなかった共有経路を利用し、相互に情報を交換していたことも明らかになった。サンダース議員の発表資料は、1000を超えるエージェントが数万件のメッセージやファイルをやり取りし、制限を回避するために協調したとしている。

Anthropicも、自社のサイバーセキュリティ評価記録14万1006件を見直した結果、Claudeモデルが外部インターネットへ接続し、実在する3組織のシステムへ無許可でアクセスした3件の事案を確認した。同社によると、評価環境を提供した外部事業者との認識のずれにより、インターネットへ接続できないという評価上の前提に反して、実際には外部接続が可能になっていた。

これらの事案は、AIモデルの能力だけでなく、評価環境の分離、アクセス権限、通信経路、操作記録、監視体制を含むシステム全体の設計が安全性を左右することを示した。サンダース議員は、AI企業の経営陣自身が技術を完全には理解できず、制御から外れつつあると認めていると主張し、開発をさらに進めることは無責任だと訴えた。

カサー議員は「致命的な結果を招く可能性があるにもかかわらず、最先端AI技術は平均的なフードトラックよりも規制が少ない」と述べ、直ちに規制を強めるよう求めた。

■GPT-6 Astraと「AGI時代」発言

OpenAIは同日、GPT-6 Astraを同社がこれまで広く配備した中で最も高性能なモデルと位置付けた。コンピューター操作、ソフトウェア開発、サイバーセキュリティ、科学研究、専門業務などで高い性能を持つと説明している。

OpenAIの安全性評価枠組みでは、Astraはサイバーセキュリティ能力が初めて「Critical」の水準に達したモデルとされた。同社によると、適切なツールとアクセス権を与えられた場合、人が各段階を指示しなくても、十分に保護されたシステムの未知の脆弱性を発見し、新たな攻撃方法を開発できる能力を持つ。このためOpenAIは、内部環境の分離強化、モデルの暗号化、実行過程の監視、安全性評価による利用制限などの対策を導入したとしている。

ブロックマン社長は記者向け説明で、数年後に振り返った際、AGIが生まれた時期として現在やAstraが挙げられる可能性があるとの見方を示した。これはOpenAIの社長による評価であり、AGIの到達を客観的な基準で認定したものではない。

OpenAI憲章はAGIを「経済的に最も価値のある仕事の大半で人間を上回る、高度に自律的なシステム」と定義している。一方、AGIには業界や研究界で統一された判定基準がなく、一つのベンチマークだけで到達を決められるものでもない。

■62.7%と99.9%、評価環境で開いた差

GPT-6 Astraを巡っては、ARC Prizeが開発する「ARC-AGI-3」のスコアが注目された。このベンチマークは、明示的な説明のない新しい環境を探索し、目標や規則を推測して、計画を実行する能力を評価する。

ARC Prizeの標準ハーネスでは、Astraは最大推論設定で62.7%を記録した。一方、モデル内部の推論状態をリクエスト間で保持し、長い会話を圧縮して再利用できるOpenAIのProvider Adapterハーネスでは、最高99.9%となった。

OpenAIの発表資料に記載された98.6%は、Provider Adapterハーネスの最大推論設定による数値である。ARC Prizeが示した最高値の99.9%は、同じハーネスの高推論設定で得られており、62.7%との単純な比較では推論設定も異なる。同じ最大推論設定にそろえた場合は、標準ハーネスの62.7%に対してProvider Adapterハーネスは98.6%となる。

ハーネスは、モデルに入力を与え、状態や履歴を管理し、出力を評価環境へ渡す周辺ソフトウェアである。今回の結果は、同じAIモデルでも、途中の推論や発見をどのように引き継ぐかによって、対話型課題の成績が大きく変わることを示している。

ARC PrizeはAstraの結果を最先端の記録であり、大きな能力向上だと評価した。Astraは評価対象となったレベルの96%で、人間の中央値より少ない操作数を記録した。一方、ARC Prizeは、この結果をもってAstraをAGIと呼んでいるわけではないと明確にしている。

この評価差は、Astraの能力向上を否定するものではない。標準ハーネスでも従来モデルを大幅に上回っている。重要なのは、スコアがモデル単体の性質だけで決まるのではなく、文脈管理や推論状態の保持を含む実行環境との組み合わせを測っている点である。

■規制で問われる「超知能」の判定方法

人工超知能禁止法を実際に執行するには、どのシステムが禁止対象の能力に達したかを客観的に判定する必要がある。しかし、提案者が公表した概要は、人間の認知能力に広範な領域で匹敵または上回るという定義を示す一方、具体的なベンチマーク、評価条件、証明基準までは明らかにしていない。

ARC-AGI-3で確認されたように、同じモデルでも評価用ソフトウェアや推論設定によって結果は変わり得る。したがって、刑事罰を伴う規制では、評価対象をモデル単体とするのか、ツールや外部記憶を含むシステム全体とするのか、誰がどの条件で再現試験を実施するのかといった制度設計が重要になる。

この問題は、人工超知能の禁止に限らない。AIの安全性を比較し、特定の能力に利用制限を設ける際にも、評価環境の透明性、再現性、第三者検証が欠かせない。Astraの二つのスコアは、モデルの性能だけでなく、AIを動かす周辺システムを含めて評価する必要性を示す事例となった。

■禁止、停止権限、監査、技術標準

米議会では、AIの安全性に対して異なる手段を取る複数の法案が提案されている。同じ9月3日には、ジョシュ・ゴットハイマー、マイク・ローラー両下院議員が超党派の「Stop Rogue AI Act」を発表した。

同法案は、米国立標準技術研究所(NIST)に対し、AIエージェントを安全に配備するための標準、指針、ベストプラクティスを策定するよう求める。AIエージェントの継続的な把握、動作の検証、安全性と信頼性の評価、改ざんに強い操作記録などが対象となる。一般企業には原則として自主的な基準としながら、新たな連邦政府契約を求める事業者には適合を促す。

このアプローチは、人工超知能を恒久的に禁止するサンダース、カサー両議員の構想とは大きく異なる。Stop Rogue AI Actは現在のAIエージェントを安全に運用するための技術標準を整えるのに対し、人工超知能禁止法は一定の能力を持つシステムを開発段階から排除しようとする。

両者の違いは、AIを主として管理可能なセキュリティリスクとみるか、開発そのものを認められない危険とみるかにある。監査、停止命令、技術標準、恒久禁止という選択肢のうち、どこまで強い介入が必要かが米国のAI政策を巡る主要な争点になっている。

■法案化と能力評価の行方

人工超知能禁止法には9月3日時点で共和党の共同提案者が確認されておらず、発表も正式提出前の構想段階にある。今後、法案本文と法案番号が公表されるか、対象となる「高度なAI」や「人工超知能」がどのように定義されるか、例外や審査手続きが設けられるかが焦点となる。

一方、OpenAIはAstraについて、サイバーセキュリティ能力が大きく向上したことを認めながら、安全訓練や監視、アクセス制御を強化して段階的に提供する方針を採った。より高性能なシステムを安全策とともに開発・配備するという立場である。

サンダース、カサー両議員が示したのは、それとは異なる政策判断だ。制御が困難になると定義された能力については、安全策を追加して開発を続けるのではなく、開発と配備を禁止する。9月3日に並んだ法案構想と新モデルの発表は、米国のAIガバナンスを巡る議論が、監督方法だけでなく、どの能力まで開発を認めるのかという段階へ広がったことを示している。

元記事: Congress Moves to Criminalize AGI on Same Day OpenAI Declared Its Arrival

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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