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ATLASが2つのZボソンと光子の同時生成を確認、標準模型の予測と一致

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大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のATLAS実験は、1回の陽子・陽子衝突から2つのZボソンと1つの光子が同時に生成される「ZZγ生成」の初めての実験的証拠を報告した。8つの候補事象を検出し、統計的有意性は4.4シグマに達した。測定値は素粒子物理学の標準模型による予測と一致しており、電弱相互作用のゲージ構造を検証する新たな観測対象が加わった。
■8事象から得られたZZγ生成の証拠
ATLASの論文は2026年8月27日付の学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。解析には、2015年から2018年に重心系エネルギー13 TeVで収集されたLHCのRun 2全データが使われた。積分ルミノシティーは140 fb⁻¹である。
研究チームは、2つのZボソンがそれぞれ電子またはミューオンの対に崩壊し、さらに高エネルギーの光子を伴う事象を調べた。最終状態には4つの荷電レプトンと1つの光子が現れるため、発生頻度は低い一方、検出器内で識別しやすく、背景事象を抑えやすい。
すべての選択条件を適用した結果、8つの候補事象が残った。背景事象の推定値は0.92±0.15事象で、信号を含む標準模型の予測は約8事象だった。観測された超過の統計的有意性は4.4シグマ、事前に予想された有意性は4.0シグマとなった。
4.4シグマは、背景事象だけを仮定した場合に、今回と同程度以上の超過が統計的な揺らぎとして生じる確率が約18万分の1であることに相当する。素粒子物理学では通常、5シグマに達した結果を「発見」または「観測」と呼ぶため、ATLASは今回の結果を「証拠」と位置づけている。
■4つのレプトンと光子を捉える
解析対象は、陽子・陽子衝突からZZγが生成され、2つのZボソンが電子またはミューオンへ崩壊する過程である。4電子、4ミューオン、2電子・2ミューオンという3種類の組み合わせが含まれる。
光子には横運動量20 GeV超という条件が設けられた。また、Zボソンの崩壊で生じた電子やミューオンから放射された光子をできるだけ除外し、ZZγが一体として生成される事象を選びやすくしている。主要な背景の一つは、陽子の構成粒子から生じるジェットが光子として誤認される事象である。
電子とミューオンは、ATLASの内部飛跡検出器、電磁カロリメータ、ミューオン分光器などに特徴的な信号を残す。これらの粒子の運動量から不変質量を再構成することで、2組のレプトンがそれぞれZボソンの崩壊に由来するかを判定できる。
ATLASは、実データの信号領域を確認する前に、シミュレーションと制御領域のデータを使って事象選択や背景推定を確定するブラインド解析を採用した。解析条件を固定してから信号領域を開いたところ、標準模型の予測と整合する8事象が確認された。
■測定した断面積は標準模型と一致
ATLASが測定したフィデューシャル断面積は0.144 fbで、統計的不確実性は上側が0.065 fb、下側が0.051 fb、系統的不確実性は上側が0.008 fb、下側が0.004 fbだった。標準模型による予測値は0.130±0.006 fbであり、測定結果と一致している。
フィデューシャル断面積とは、検出器で実際に測定できる粒子の運動量や方向などについて、あらかじめ定めた範囲内での生成確率を表す。今回の測定は8事象に基づくため、誤差の大部分はデータ数の少なさに由来する統計的不確実性が占めている。
ZZγは、3つの電弱ゲージボソンが同時に生成されるトライボソン過程の一つである。こうした過程には、陽子を構成するクォークから光子が放射されるダイアグラムのほか、4つのゲージボソンが関与する四点ゲージ結合を含むダイアグラムなどが寄与する。ATLASの信号定義には、Zボソンとヒッグスボソンが生成され、ヒッグスボソンがZボソンと光子へ崩壊する寄与も約1%含まれる。
標準模型では、中性ゲージボソンだけからなる三点ゲージ結合はツリーレベルでは現れない。一方、ZZγ生成そのものが四点ゲージ結合だけを経由するわけではない。今回の測定はまずZZγ生成過程を実験的に確立する段階にあり、将来さらに多くの事象を集めれば、四点ゲージ結合を含む標準模型のゲージ構造や、標準模型からのずれを調べる手掛かりになる。
■CMSも独立に証拠を報告
同じ8月27日付の「Physical Review Letters」には、CMS実験によるZZγ生成の測定結果も掲載された。CMSは、2016年から2018年に収集した積分ルミノシティー138 fb⁻¹のデータを解析し、ZZγ生成について観測3.7シグマ、予想3.1シグマの証拠を報告した。
CMSが用いたフィデューシャル領域はATLASと完全には同一ではない。CMSが測定した断面積は60 fbの1000分の1に当たる60 abで、統計的・系統的な不確実性を合わせた範囲内で、標準模型の予測値47.56 abと整合している。
ATLASとCMSは異なる検出器と解析手法を持つ独立した実験である。ATLASが4.4シグマ、CMSが3.7シグマの証拠をそれぞれ得たことで、ZZγ生成が一方の検出器や解析方法だけに依存した結果ではないことを確かめる材料が得られた。ただし、両実験の数値を単純に足し合わせて有意性を算出することはできず、観測を確立するには統計的な手順に基づく正式な結合解析や追加データが必要になる。
■Run 3と高輝度LHCで精密測定へ
LHCのRun 3は2026年6月に終了し、加速器は高輝度LHCへの改修を進める第3次長期停止期間に入った。Run 3ではRun 2より高い13.6 TeVの重心系エネルギーで衝突データが収集されており、今後の解析によってZZγ候補事象が増えると期待される。
ATLASの公式説明では、Run 3と将来の高輝度LHCのデータにより、ZZγ生成の観測を確立し、電弱セクターをさらに詳しく検証できるとしている。今回の結果だけから、追加データによっていつ5シグマに到達するかを確定することはできないが、データ量の増加は現在の測定を支配する統計的不確実性の縮小につながる。
高輝度LHCは2030年6月の運転開始が予定されている。より大きなデータセットが得られれば、ZZγ生成断面積を高い精度で測定するとともに、異常四点ゲージ結合など、標準模型を超える物理が電弱相互作用に及ぼし得る影響を詳しく調べられるようになる。
8つの事象から始まった今回の測定は、標準模型の予測と矛盾する兆候を示していない。今後は、ZZγが生成されることの確認から、その生成確率や運動学的な特徴が標準模型の予測にどこまで正確に従うかを検証する段階へ進む。
元記事: Two Z Bosons and Photon Produced Together: LHC Finds First Evidence of ZZgamma in Eight Events
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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