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【分析】米インテル、次世代プロセス「14A」は復権の足掛かりになるか―欠陥密度と顧客協議に進展

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米半導体大手インテル(Intel)の次世代製造プロセス「Intel 14A」で、欠陥密度が同社の想定を上回るペースで低下している。最高財務責任者(CFO)のデービッド・ジンズナー氏は2026年8月26日のDeutsche Bank Technology Conferenceで、欠陥低減の進み方について、Intelでは22nmプロセス以来の水準だと説明した。
外部顧客との協議も増え、技術データの確認だけでなく、確保できる生産能力や供給体制に話題が移りつつあるという。ただし、顧客が生産能力について質問していることは、発注や量産契約の成立を意味しない。14Aは2027年にリスク生産へ入り、2028年に大量生産を始める計画であり、量産時の歩留まりや外部顧客の採用状況は今後の焦点となる。
■欠陥低減は「22nm以来」のペース
ジンズナー氏によると、14Aの欠陥密度はIntelが設定した目標曲線を上回って改善しており、欠陥を減らすペースも近年の同社プロセスより速い。同氏は「このようなパフォーマンスは22nm以来見ていない」と述べ、Intelが14Aの開発状況に自信を深めていることを示した。
22nmは、Intelが3次元構造のトライゲート・トランジスタを商用プロセッサへ導入した世代である。2012年4月に発売された第3世代Coreプロセッサ「Ivy Bridge」に採用され、その後に他社がFinFETを量産へ導入するまで、Intelはトランジスタ技術で先行した。
今回の説明は、14Aの欠陥密度そのものが22nmと等しいという意味ではない。異なる時代、異なるプロセスを同じ数値で比較したものでもなく、開発段階で欠陥を減らしていくペースをIntel社内の過去の実績と比較した発言である。
欠陥密度は、ウェハーの単位面積あたりに存在する製造上の欠陥数を示す。一般に欠陥が減れば、正常に動作するチップを得られる割合である歩留まりの改善につながる。一方、実際の歩留まりはチップ面積や設計、欠陥の位置、製造工程などにも左右されるため、開発段階の欠陥密度だけで量産の成否を判断することはできない。
22nmの開発当時から検査装置や欠陥の分類方法も進歩している。ジンズナー氏の発言は14Aの進捗を示す社内比較として注目されるが、異なる時代のプロセスを完全に同じ条件で評価した結果ではない。
■顧客協議はデータ確認から供給能力の検討へ
ジンズナー氏は、Intel Foundryと外部顧客との協議が大幅に増えたとも説明した。リップブー・タンCEOらは顧客と毎週面会しており、話題はプロセスデータの確認から、確保できる生産能力や供給の見通しへ移っているという。
ファウンドリを利用する企業は、性能や消費電力、設計ルール、製造上のリスクなどを評価したうえで、製品の投入時期に必要な生産能力を検討する。供給能力に関する質問が出ていることは、顧客がより具体的な設計・調達計画を検討している可能性を示す。
もっとも、Intelはこの発言で顧客名や予約量、契約件数を明らかにしていない。「どれだけの生産能力を得られるか」という協議と、製造契約の締結や生産枠の正式予約は分けて見る必要がある。
Intel社内の製品部門でも14Aを使った製品設計が進んでいる。ジンズナー氏は、社内チームは製造プロセスを厳しく評価する立場にあるとしたうえで、14A向けの設計が始まったことが自信につながったと述べた。
■PDK 0.9を10月に提供予定
Intelは14A向けプロセス・デザイン・キット(PDK)0.9を2026年10月に提供する予定だ。PDKは、半導体設計者が特定の製造プロセスに合わせて回路を設計するためのルール、トランジスタモデル、検証用データ、設計ライブラリなどをまとめた開発環境である。
ジンズナー氏によると、PDK 0.5から0.9への更新は、0.9から1.0への更新よりも大きな段階となる。0.9の提供は、顧客が量産を念頭に置いた設計を具体化していくうえで重要な節目となる。
Intelは2027年に14Aのリスク生産を開始し、2028年に大量生産へ移行する方針を示している。こうした計画に必要な装置や工場能力を確保するには長い準備期間が必要なため、同社はすでにサプライヤーへの発注や設備投資の判断を進めている。
■14Aを支えるRibbonFET 2とPowerDirect
Intel 14Aは、第2世代のゲート・オール・アラウンド型トランジスタ「RibbonFET 2」と、裏面電源供給技術「PowerDirect」を採用する。
ゲート・オール・アラウンドは、電流が流れるチャネルをゲートが取り囲む構造である。トランジスタが微細化しても電流を制御しやすくすることを目的としており、Intel 18Aでは第1世代のRibbonFETが導入された。14Aでは、その次世代版となるRibbonFET 2を採用する。
PowerDirectは、Intel 18AのPowerViaに続く裏面電源供給技術である。チップの表側で信号配線と電源配線を混在させる従来の構成に対し、電力を裏側から供給することで、表側の配線資源を信号に利用しやすくする。
Intelは、14Aが18Aと比べて同じ消費電力で15~20%の性能向上、同じ性能で25~35%の消費電力削減、最大30%のチップ密度向上を実現すると見込んでいる。これらは2025年4月時点のIntel社内分析に基づく目標値であり、実際の効果は製品設計や動作条件によって異なる。
■High-NA EUVを14Aに導入
14Aでは、ASMLが開発するHigh-NA EUV露光技術も利用される。High-NA EUV装置は開口数を従来のEUV装置の0.33から0.55へ高め、より微細なパターンを形成できるようにする。
ASMLの「TWINSCAN EXE:5200B」は、8nmの解像度と高いイメージングコントラストを掲げ、2nm未満のロジックプロセスや先端DRAMの量産を想定している。微細なパターンを単一露光で形成できれば、複数回の露光を組み合わせる工程を減らし、製造工程の複雑さを抑えられる可能性がある。
IntelはHigh-NA EUV装置を早期に導入し、量産工程への適用に向けた研究開発を進めてきた。14Aにおける具体的な使用層数や、High-NA EUVが歩留まりと製造コストに与える効果は、今後の工程開発と量産実績によって明らかになる。
■TSMCも裏面電源供給と次世代プロセスを準備
競合するTSMCは、裏面電源供給技術を取り入れた「A16」を2026年後半に生産可能な状態にする計画を示している。A16はナノシート型トランジスタと裏面電源レールを組み合わせ、表側の配線資源を信号線へ振り向けることで、性能や配線密度を高める設計だ。
TSMCは次世代の「A14」を2028年に量産する計画も公表している。同社によると、A14はN2と比べ、同じ消費電力で10~15%の性能向上、同じ性能で25~30%の消費電力削減、20%を超えるロジック密度の向上を目標とする。
IntelとTSMCではノードの命名方法や性能の測定条件が異なるため、「14A」と「A14」という名称だけで性能を直接比較することはできない。最終的な競争力は、性能、消費電力、密度に加え、歩留まり、コスト、生産能力、設計環境、納期などを含めて評価されることになる。
■EMIB-Tは2027年後半から収益拡大を想定
ジンズナー氏は、次世代の先進パッケージング技術「EMIB-T」についても成長への期待を示した。EMIBは、パッケージ基板に埋め込んだ小型のシリコンブリッジを介し、複数の半導体ダイを高速に接続するIntelの技術である。
先進的なAIプロセッサでは、演算用のダイと広帯域メモリを高密度に接続する必要がある。EMIB-Tは、こうした複数ダイを組み合わせる製品に向けた技術として、Intel Foundryの重要な事業領域となる。
IntelはEMIB-Tの売上高が2027年後半から拡大し始め、2028年に継続的な事業規模へ達し、2029年に本格化すると見込む。ジンズナー氏は、顧客1社あたり年間数十億ドル規模の事業となる可能性や、粗利益率約40%、営業利益率約30%という目標を示した。
これらはIntelによる将来予測であり、確定した売上高ではない。実際の事業規模は、顧客の採用、製品需要、歩留まり、生産能力などに左右される。
■量産実績と外部顧客の獲得が次の焦点
22nm以来という欠陥低減ペースは、過去にプロセス開発の遅延を経験したIntelにとって重要な進捗指標である。一方、14Aが事業として成功するには、開発段階の改善を量産時の安定した歩留まりにつなげる必要がある。
外部顧客が供給能力について具体的な質問を始めたことも前進ではあるが、現時点で公表されている情報から、契約や生産枠の確保まで進んだと判断することはできない。PDK 0.9の提供後に顧客の設計活動がどこまで進み、どの企業が14Aで量産へ移るかが商業面の焦点となる。
Intelは14Aの大量生産を2028年に計画している。同年にはTSMCもA14の量産を予定しており、Intelが技術開発の進展を安定した量産能力と顧客獲得へ結び付けられるかが、先端ファウンドリ市場での競争力を左右する。
■注目ポイントQ&A
●Intel 14Aの欠陥低減が「22nm以来」とはどういう意味ですか?
14Aの欠陥密度が22nmと同じ数値になったという意味ではありません。現在の開発段階で欠陥を減らしているペースが、Intelの過去のプロセスの中では22nm以来の良好な水準にあるという、同社CFOの説明です。
●顧客は14Aの生産能力をすでに予約しているのですか?
Intelは、顧客が確保可能な生産能力や供給体制について質問するようになったと説明していますが、具体的な予約量や契約件数は公表していません。顧客との協議が具体化していることと、正式な発注や量産契約は区別する必要があります。
●Intel 14Aはいつ量産されますか?
Intelは2027年にリスク生産を開始し、2028年に大量生産へ移行する計画です。設計に使うPDK 0.9は2026年10月の提供が予定されています。
●14AはTSMCのプロセスより優れているのですか?
現時点では一概に判断できません。IntelはRibbonFET 2、PowerDirect、High-NA EUVなどを14Aの主要技術に位置付けていますが、量産時の歩留まり、コスト、生産能力、顧客製品での性能などは今後確認されることになります。
元記事: Intel 14A Defect Drop Rivals 22nm Era: Customers Now Asking for Capacity, Not Data
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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