【分析】米国、サムスンとSKハイニックスにメモリ工場建設を要請―韓国内800兆ウォン投資との両立が焦点

2026年8月26日 15:36

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記事提供元:Tech Times

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米政府が、韓国のサムスン電子とSKハイニックスに対し、米国内でメモリ半導体の生産を拡大するよう働きかけている。両社は韓国南西部に計800兆ウォン(約91兆9000億円)規模を投じる計画を掲げており、米国での追加投資には建設費や電力、用水、人材、サプライチェーンの確保が課題となる。

一方、韓国の金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源相が8月にハワード・ラトニック米商務長官と協議した米国向け戦略投資の第1号案件は、エネルギー分野を中心に調整されている。半導体工場の建設要請と米韓の戦略投資協議は、現時点では分けて見る必要がある。

■米商務長官が韓国メモリ大手に米国生産を要請

ラトニック商務長官は7月、ニューヨーク州クレイで開かれた米マイクロン・テクノロジーの工場建設イベントで、サムスン電子とSKハイニックスを米国に呼び込み、生産施設を建設してもらいたいとの考えを示した。

ラトニック長官は、マイクロンが先行すれば競合企業も追随せざるを得なくなるとの趣旨を述べ、両社と協議していることも明らかにした。ただし、建設する工場の場所や規模、製品、投資時期などの具体的な条件は公表していない。

米国が重視しているのは、AIシステムやデータセンター、電子機器の供給網を支えるメモリ半導体の国内生産能力である。サムスン電子とSKハイニックスは世界のDRAM市場で大きなシェアを占めており、AIアクセラレーターに使われる高帯域幅メモリ(HBM)でも主要な供給者となっている。

サムスン電子は米テキサス州テイラーに先端ロジック半導体を生産する工場を建設している。同社はテイラーと既存のオースティン拠点を含む計画に370億ドル(約5兆8800億円)以上を投じるとしているが、現在公表されている計画はDRAMやNANDフラッシュの量産工場ではない。

SKハイニックスもインディアナ州ウェストラファイエットに38億7,000万ドル(約6150億円)を投じ、HBM向けの先端パッケージング施設と研究開発拠点を建設している。2026年8月27日に起工式を開き、2028年下半期の稼働を目指す計画だ。

同施設が担うのは、製造済みのメモリダイを積層し、HBM製品へ仕上げるパッケージング工程である。シリコンウェハー上にDRAMの回路を形成してメモリダイを製造する前工程とは役割が異なる。

■米韓の戦略投資協議はエネルギー分野が中心

金正官産業通商資源相は8月16日から19日まで米ワシントンを訪れ、ラトニック商務長官と2日間にわたって米国向け戦略投資の候補案件や実施日程を協議した。

8月20日に帰国した金長官は、協議で「重要かつ有意義な進展」があったと説明し、9月にオンライン会合を開いて最終合意を目指す考えを示した。米韓は前年、韓国による総額3,500億ドル(55兆6000億円)の対米投資枠組みに合意している。

もっとも、金長官によると、今回のラトニック長官との会談では半導体産業への言及はなく、協議はエネルギー分野に集中した。韓国産業通商資源部も、半導体が戦略投資の第1号案件として協議されているとの見方を否定している。

このため、9月に発表される可能性がある第1号投資案件を、サムスン電子やSKハイニックスによる米国メモリ工場の建設計画とみなすことはできない。米政府によるメモリ生産拡大の要請は確認されているものの、両社が新たな米国工場を正式決定した段階ではない。

金長官はジェイミソン・グリア米通商代表部代表とも会談し、米韓間で合意した15%の関税上限を再確認した。トランプ米大統領は以前、米国内で製造する企業を除外しつつ、輸入半導体に約100%の関税を課す構想に言及しているが、対象製品や適用条件を含む制度の詳細には不透明な部分が残る。

■韓国では800兆ウォン規模の半導体計画

韓国では、サムスン電子とSKハイニックスが韓国南西部の湖南圏に計800兆ウォンを投じ、半導体工場4棟を整備する計画を示している。サムスン電子とSKハイニックスが、それぞれ400兆ウォン規模を投じて2棟ずつ建設する構想である。

建設地には光州軍空港の敷地が選ばれ、工場用地の造成と軍施設の移転を並行して進める計画だ。韓国側は、先に確保できる土地から工事に着手し、2029年の第1期工場完成を目標としている。

一方、大規模なメモリ工場の稼働には安定した電力と大量の工業用水が欠かせない。第1段階の工場2棟だけでも2GWの電力と日量20万トンの用水を確保する方針が示されており、軍施設の移転や行政手続きと並んで、インフラ整備が計画の進捗を左右する。

韓国国内で大規模な生産能力を整備しながら、米国でも前工程のメモリ工場を建設する場合、両社は設備投資の配分を改めて検討する必要がある。米国でどの程度の支援や顧客需要が得られるかも、投資判断の重要な条件になる。

■前工程ファブには電力・用水・人材が必要

メモリ半導体の前工程ファブでは、露光や成膜、エッチングなど多数の工程を通じて、シリコンウェハー上にDRAMやNANDフラッシュの回路を形成する。建物や製造装置だけでなく、電力、超純水、特殊ガス、化学材料、保守体制、プロセス技術者を含む産業基盤が必要になる。

これに対し、HBMの先端パッケージングでは、複数のDRAMダイを垂直に積層し、高速でデータをやり取りできる製品に仕上げる。前工程とパッケージングは一体となってHBMの供給を支えるが、投資規模や必要な設備、技術者の構成は異なる。

SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長は8月のCNBCとのインタビューで、米国を含む複数地域について前工程ファブの候補地を検討していると説明した。米国での建設に取り組む意思を示す一方、適切な場所を見つけるのは難しいとも述べている。

崔会長は、立地を選ぶうえで電力、用水、土地、労働力、関連企業による産業生態系が重要になると指摘した。韓国で工場を建設する場合と比べて米国では費用が大きくなるとの認識も示しており、SKハイニックスが米国で前工程ファブを建設するかどうかは、なお検討段階にある。

米CHIPS・科学法に基づき、SKハイニックスのインディアナ州施設には最大4億5,800万ドルの直接支援と、最大5億ドルの融資が決まっている。ただし、これは先端パッケージング施設を対象とした支援であり、前工程ファブへの追加支援は別途検討する必要がある。

■高騰するDRAMと変化する競争環境

米国による国内生産拡大の働きかけは、AIデータセンター向けを中心にメモリ需要が増え、DRAMの供給が逼迫する中で進んでいる。

調査会社TrendForceによると、2026年第1四半期の汎用DRAM契約価格は前四半期比で約93~98%上昇した。AIサーバー向けの需要拡大に加え、メモリ各社が収益性の高いサーバー向け製品を優先したことで、パソコンやスマートフォン向けを含む供給が限られた。

Counterpoint Researchの調査では、2026年第1四半期のDRAM売上高シェアはサムスン電子が38%で首位となり、SKハイニックスが続いた。中国の長鑫存儲技術(CXMT)も売上高シェアを前年同期の約3%から8%へ拡大し、第4位となった。

CXMTは中国国内のスマートフォンやサーバー向け需要を取り込んでいるが、HBMを含む先端メモリ分野で韓国勢と同じ製品を同規模で供給しているわけではない。同社によるHBM市場への本格参入は今後数年の計画として位置付けられている。

供給が限られる局面で輸入半導体に高率の関税が導入されれば、米国で半導体や電子機器を調達する企業のコストが増える可能性がある。一方、米国内での生産能力の構築には長い期間を要するため、関税政策と設備投資が短期間で同じ効果をもたらすわけではない。

■焦点は具体的な投資条件

米政府がサムスン電子とSKハイニックスに米国でのメモリ生産を求めていることは明らかになっている。一方、求められている工場の規模や製品、稼働時期、政府支援の内容について正式な合意は発表されていない。

サムスン電子はテキサス州でロジック半導体の生産体制を整備し、SKハイニックスはインディアナ州でHBMの先端パッケージング拠点を建設している。これらに加えてメモリ前工程ファブへ投資するかどうかは、電力や用水、人材、建設費、顧客需要、政策支援を総合した判断となる。

9月には米韓の戦略投資枠組みに基づく第1号案件がまとまる可能性があるが、協議の中心はエネルギー分野である。メモリ工場をめぐっては、両社の検討が具体的な投資計画に進むかどうかが次の焦点となる。

■注目ポイントQ&A

●米国はサムスン電子とSKハイニックスに何を求めているのですか?

ラトニック商務長官は、両社に米国内でメモリ半導体の生産施設を建設してもらいたいとの考えを示しています。ただし、工場の規模や製品、投資時期などの具体的な条件は公表されていません。

●両社はすでに米国に半導体工場を持っているのではありませんか?

サムスン電子はテキサス州でロジック半導体の工場を建設しています。SKハイニックスはインディアナ州でHBM向けの先端パッケージング施設を建設していますが、DRAMウェハーを製造する前工程ファブではありません。

●9月に米国メモリ工場の建設が発表されるのですか?

現時点では確認されていません。9月の合意を目指している米韓の戦略投資案件はエネルギー分野が中心で、韓国政府は半導体が第1号案件として協議されているとの見方を否定しています。

●SKハイニックスは米国で前工程ファブを建設するのですか?

崔泰源会長は米国を含む候補地を検討していると説明していますが、建設を正式決定したとは発表していません。電力、用水、土地、人材、建設費、産業基盤などが判断条件になります。

●中国のCXMTは韓国のメモリ大手にどこまで迫っていますか?

CXMTのDRAM売上高シェアは2026年第1四半期に8%へ拡大しました。ただし、HBMを含む先端メモリ市場への本格参入は今後の計画であり、現時点の汎用DRAMでの成長と先端HBMでの競争力は分けて見る必要があります。

元記事: Washington Demands Samsung, SK Hynix Build US Memory Fabs After Korea’s $577B Chip Bet

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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