米Marvell、GoogleのTPU向けカスタム半導体を設計へ―Amazon・MSに続く大型提携

2026年8月20日 17:26

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記事提供元:Tech Times

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米半導体メーカーのマーベル・テクノロジー(Marvell Technology)は、GoogleのTPU(Tensor Processing Unit)エコシステムに関連するカスタム半導体製品を開発する商用契約を締結した。契約はAI推論アクセラレーターだけでなく、ストレージ、ネットワーク、メモリ周辺のコントローラーやニアメモリコンピュート製品にも及ぶ。

Marvellは契約に関連して、Googleが最大5897万907株を1株206.58ドルで取得できるワラントを発行した。権利の大部分はGoogle向けカスタム製品の売上高に連動して確定するため、Googleの潜在的な株式保有とMarvellからの調達規模を結び付ける構造になっている。

■GoogleのTPUエコシステムに関連する幅広い製品を開発

Marvellが米証券取引委員会に提出したForm 8-Kによると、両社は2026年7月29日に商用契約を締結し、Marvellは8月18日にGoogleへワラントを発行した。契約拡大が公表された8月19日、Marvellの株価は上昇した。

契約対象には、AI推論アクセラレーター、ストレージコントローラー、ネットワークインターフェースコントローラー、メモリインターフェースコントローラー、ニアメモリコンピュートが含まれる。一方、どの世代のTPUに各製品が採用されるのか、個別製品の量産時期や売上高の見通しは開示されていない。

Googleは長年、カスタムAI半導体でBroadcomとも協業してきた。今回の契約はBroadcomとの関係を置き換えるものとしてではなく、GoogleがTPUを中心とするAI基盤で利用する半導体の開発・調達先を広げる動きと捉えられる。

MarvellはAmazon Web ServicesやMicrosoft向けにもカスタム半導体事業を展開している。Googleとの契約によって、米国の主要クラウド事業者にまたがる顧客基盤がさらに広がることになる。

■最大5897万株のワラント、調達実績に応じて権利確定

ワラントの行使価格は1株206.58ドルで、対象は最大5897万907株である。全株をこの価格で行使する場合の支払額は約121億8000万ドル、1ドル159円で換算すると約1兆9366億円となる。

この金額はGoogleが直ちに取得する株式の時価や、Marvellが受け取る確定売上高を意味するものではない。Googleが実際に取得できる株数は権利確定条件に左右され、行使時には対象株数に行使価格を掛けた資金を支払う必要がある。

対象株式のうち136万867株は、商用契約の締結後1年間に四半期ごとの均等分割で権利が確定する。残る5761万40株は240の均等なトランシェに分けられ、MarvellがGoogleおよびその関連会社への対象製品から5億ドルの売上高を認識するごとに、1トランシェの権利が確定する。

売上連動部分の対象期間はMarvellの2027年度第3四半期から2033年度末までである。240の条件をすべて満たすには、対象期間中に累計1200億ドル、約19兆800億円の対象売上高が必要になる。これは契約で保証された購入額ではなく、ワラントの全権利確定に必要な売上条件を計算した上限規模である。

ワラントは2026年8月18日に発行され、原則として2033年8月18日に期限を迎える。全株が権利確定して行使された場合には発行済み株式数が増えるため、既存株主の持分が希薄化する可能性がある。

■AI推論を支えるメモリとデータ移動の技術

今回の契約には、演算装置そのものだけでなく、データを保存し、移動し、演算装置へ供給するための半導体が含まれる。大規模言語モデルの推論では、モデルの重みや会話履歴に対応するKVキャッシュなど、大量のデータをメモリから繰り返し読み出す必要がある。このため、演算性能に加えてメモリ容量、帯域幅、データ移動の効率がシステム全体の性能を左右する。

ニアメモリコンピュートは、データの近くに一定の演算機能を配置することで、プロセッサーとメモリの間を移動するデータ量や待ち時間、消費電力を抑えることを目指す設計思想である。Marvellの提出書類はGoogle向け製品の具体的な構成を明らかにしていないが、契約対象にこの分野を含めたことは、TPUの周辺でメモリアクセスを効率化する半導体も協業範囲に入ることを示している。

Marvellは2026年8月、AI向けメモリ・ストレージ製品群として、PCIe 6.0対応SSDコントローラー「Bravera SC6」、CXL対応製品「Structera」、光接続技術「Photonic Fabric」などを発表した。これらは個別にGoogle向けと確認された製品ではないものの、同社がカスタム半導体事業と並行して強化している技術領域を示している。

Bravera SC6は、AI、クラウド、企業向けシステムを想定したPCIe 6.0対応SSDコントローラーである。Marvellは2026年第4四半期にサンプル提供を開始する計画を示している。

StructeraはCXL(Compute Express Link)を利用するメモリ拡張やニアメモリ処理の製品群である。CXLはPCI Expressの物理層を基盤に、プロセッサー、アクセラレーター、メモリなどを接続する業界標準で、メモリ資源を演算装置からより柔軟に拡張、構成するために利用される。

CXLスイッチを組み合わせることで、複数ホストから利用できるメモリ構成や、用途に応じて容量を割り当てるプール型の構成も可能になる。固定的に各サーバーへ搭載する場合と比べ、ワークロードの需要に合わせてメモリ資源を有効利用しやすくなるという発想だ。

■XConnの技術を取り込み、CXLとPCIe接続を強化

Marvellは2026年2月、PCIeおよびCXLスイッチ半導体を手掛けるXConn Technologiesの買収を完了した。買収により、Marvellは自社のCXLメモリ拡張コントローラーとXConnのスイッチ製品を組み合わせ、AIデータセンター向けの接続製品を拡充する。

MarvellはXConn製品による売上寄与が2027年度第3四半期に始まり、同年度第4四半期には年率換算で5000万ドル、2028年度には1億ドルに達すると予想している。これらは会社側の見通しであり、Googleとの契約から生じる売上高とは区別して見る必要がある。

光接続技術もMarvellのAIインフラ戦略を構成する分野である。電気信号だけでなく光を用いて高速にデータを運ぶことで、アクセラレーターやメモリを大規模に接続する際の帯域幅や消費電力の課題に対応する。カスタム半導体、メモリ接続、ストレージ、光インターコネクトを組み合わせ、AIシステム内の複数のデータ経路へ製品を提供することが同社の狙いとなる。

■大型契約の可能性と株式希薄化を併せ持つ構造

Google向けワラントの特徴は、約1200億ドルという全権利確定条件の大きさだけでなく、その条件が実際の対象売上高に連動している点にある。Googleが対象製品を多く購入し、Marvellが売上高を認識するほど、Googleが取得できる株式数も増える。

一方、提出書類は1200億ドルの購入をGoogleに義務付けておらず、短期的な売上高も保証していない。個別製品の開発完了、採用、量産、調達の進展に応じて、権利が段階的に確定する長期的な仕組みである。

Marvellの2026年度通期売上高は81億9500万ドルで、前年比42%増だった。同社はAI需要を成長要因に挙げている。Googleとの契約はそのカスタム半導体事業を広げるものだが、業績への具体的な寄与時期や規模については今後の開示が焦点となる。

■注目ポイントQ&A

●MarvellとGoogleは何を共同開発しますか?

GoogleのTPUエコシステムに関連するカスタム半導体です。AI推論アクセラレーターのほか、ストレージ、ネットワーク、メモリの各種コントローラーやニアメモリコンピュートが契約対象に含まれます。個別製品の採用先や量産時期は開示されていません。

●約122億ドルのワラントはGoogleが受け取る株式の価値ですか?

約121億8000万ドルは、最大5897万907株を行使価格の1株206.58ドルで全株取得する場合にGoogleが支払う金額です。株式の市場価値やMarvellの確定売上高を表すものではありません。

●1200億ドルの売上高は契約で保証されていますか?

保証されていません。売上連動部分を構成する240のトランシェについて、1件当たり5億ドルの条件をすべて満たした場合の累計額です。実際の権利確定数は対象期間中の売上実績によって決まります。

●ワラントは既存株主にどのような影響を与えますか?

権利が確定したワラントが行使されると新たな株式が発行されるため、既存株主の持分が希薄化する可能性があります。一方、売上連動部分の権利確定にはGoogle向け対象製品の売上計上が必要です。

●CXLはAIインフラでどのように使われますか?

プロセッサーやアクセラレーターから利用できるメモリ容量を拡張したり、スイッチを介してメモリ資源を柔軟に構成したりするために使われます。大容量メモリを必要とするAI推論で、メモリの配置や利用効率を改善する手段の一つです。

元記事: Marvell Lands Google AI Chip Deal, Closing the Custom Silicon Hyperscaler Sweep

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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