Chrome 151が重大な脆弱性2件を修正、OpenAI研究者はFirefox 154にも同日貢献

2026年8月20日 17:15

印刷

記事提供元:Tech Times

(Unsplash)

(Unsplash)[写真拡大]

Googleは2026年8月18日、デスクトップ版Chrome 151の安定版セキュリティアップデートを公開した。修正された脆弱性は15件で、WebGLとWebGPU実装「Dawn」に存在する、深刻度「Critical」のバッファオーバーフロー2件が含まれる。

WindowsおよびMac向けの修正版は151.0.7922.169または151.0.7922.170、Linux向けは151.0.7922.169で、数日から数週間かけて順次配信される。Android版151.0.7922.169も同日公開され、Google Playで数日かけて提供される予定だ。

今回の更新では、OpenAIのCodex Securityが報告したWebGLの脆弱性も修正された。同日公開されたFirefox 154のセキュリティアドバイザリでも、OpenAIのAmy Burnett氏が報告者として複数の脆弱性に記載されている。

■WebGLとDawnの2件を「Critical」と評価

CVE-2026-76034は、ブラウザで2Dや3Dグラフィックスを扱うWebGLに存在するバッファオーバーフローである。ChromeのCVE情報では、細工されたHTMLページを通じて、遠隔の攻撃者がサンドボックス外で任意のコードを実行できる可能性があると説明されている。Googleが2026年7月15日に報告した。

CVE-2026-76036は、ChromeのWebGPU実装であるオープンソースライブラリ「Dawn」のバッファオーバーフローだ。WebGPUは、WebアプリケーションからGPUを利用して描画や汎用計算を行うためのWeb標準で、Dawnはその処理をChrome上で支える主要コンポーネントの一つである。Googleが7月28日に報告した。

いずれもChromeのセキュリティ評価では「Critical」に分類されている。2026年8月20日時点で、CISAの既知の悪用脆弱性カタログには掲載されておらず、公開されているCVE情報でも悪用状況は「確認なし」とされている。もっとも、悪用が確認されていないことは安全性を意味しないため、利用者は修正版を適用する必要がある。

■Chromeのサンドボックス外でのコード実行につながる恐れ

Chromeは複数のプロセスを使い分け、Webサイトを処理するレンダラープロセスなどの権限をサンドボックスで制限している。仮にWebページを処理するコンポーネントで任意コード実行が起きても、サンドボックスはOSや利用者データへの影響を抑える防御層として機能する。

今回の2件について公開されたCVE情報は、細工されたHTMLページによってサンドボックス外で任意コードを実行できる可能性を記載している。このため、一般的なサンドボックス内のコード実行にとどまる脆弱性よりも影響が大きいと評価されている。

一方、Chromeのプロセスごとのサンドボックス構成はOSによって異なる。GPUプロセスはWindows、macOS、ChromeOSなどではサンドボックス化されている一方、Androidではサンドボックス構成が異なるため、単純に「GPUプロセスは常にサンドボックスの外側にある」と説明することはできない。利用者にとって重要なのは、該当するChromeを修正版へ更新することだ。

■15件のうち13件は「High」

今回の更新では、2件のCriticalに加えて、13件のHigh脆弱性が修正された。対象はCORS、CredentialProvider、USB、Media、GPU、ANGLE、Skia、WebGL、V8など、Chromeの幅広いコンポーネントに及ぶ。

JavaScriptおよびWebAssemblyエンジンのV8では、計算処理の誤り1件と型の取り違え2件が修正された。CVE-2026-76043はV8の不正確な計算、CVE-2026-76047とCVE-2026-76038は型の取り違えとして登録されている。

このほか、CORSの不適切な実装であるCVE-2026-76033、CredentialProviderのリンク追跡に関するCVE-2026-76037、USB処理の競合状態であるCVE-2026-76044、Coreの参照解決エラーであるCVE-2026-76039、Browserコンポーネントの解放後メモリ使用であるCVE-2026-76040などが修正対象となった。

Mediaの不適切な実装であるCVE-2026-76035、GPUの未初期化リソース使用であるCVE-2026-76042、ANGLEのバッファオーバーフローであるCVE-2026-76046、Skiaの情報漏えいであるCVE-2026-76041も含まれる。

Googleは、大半の利用者が修正版へ更新するまで、一部の不具合情報や関連リンクへのアクセスを制限する場合があるとしている。第三者ライブラリに同じ問題が残っている場合も、詳細の制限を継続することがある。

■OpenAIのCodex SecurityがWebGLの脆弱性を報告

Highに分類されたCVE-2026-76045は、WebGLに存在する解放後メモリ使用の脆弱性である。解放済みのメモリ領域をプログラムが再び参照することで、メモリ破壊や意図しない処理につながる可能性がある。

Googleのアドバイザリでは、報告者として「OpenAI Codex Security(amyb)」が記載されている。公開されたCVE情報によると、細工されたHTMLページを通じてサンドボックス内で任意コードを実行できる可能性があり、Chrome 151.0.7922.169より前のバージョンが影響を受ける。

Codex Securityは、OpenAIが2026年3月に研究プレビューとして発表したアプリケーションセキュリティエージェントである。リポジトリを分析してプロジェクト固有の脅威モデルを構築し、脆弱性の候補を探索、検証したうえで修正案を提示する仕組みを採用する。

Chromeの公式アドバイザリは、脆弱性の報告者がCodex Securityをどのように使用したかや、人間とAIの具体的な作業分担までは明らかにしていない。それでも、AIを利用したセキュリティ研究組織からの報告が、Chrome安定版の正式な修正項目として記録された事例として注目される。

■Firefox 154でもAmy Burnett氏の報告を採用

Mozillaも8月18日、Firefox 154を公開し、セキュリティアドバイザリMFSA 2026-74を発表した。このアドバイザリでは、OpenAIのAmy Burnett氏が4件のHigh脆弱性の報告者として記載されている。

対象は、WebAssemblyの解放後メモリ使用であるCVE-2026-74936、JavaScriptのガベージコレクションに関する解放後メモリ使用であるCVE-2026-74937、同じくガベージコレクションの緩和策回避であるCVE-2026-74938、DOMのCoreおよびHTMLコンポーネントにおける解放後メモリ使用であるCVE-2026-74944だ。

Burnett氏はOpenAIでCodex Securityに携わるセキュリティ研究者で、公開プロフィールでは10年以上の脆弱性研究経験を持ち、DARPAのAI Cyber Challengeに参加した経歴が紹介されている。

ChromeとFirefoxの公式アドバイザリに同日掲載されたことは、AIを取り入れた脆弱性研究が、異なるブラウザのコードベースを対象とする実務的なセキュリティ検証に活用されていることを示す一例となった。ただし、各脆弱性の発見や検証にAIがどの程度寄与したかは、公開情報からは判断できない。

■Chromeを最新版へ更新する方法

デスクトップ版Chromeでは、画面右上のメニューから「設定」を開き、「Chromeについて」を選択すると更新を確認できる。更新ファイルがダウンロード済みの場合は再起動を求められるため、ブラウザを再起動して適用を完了する。

修正済みのバージョンは、WindowsとMacが151.0.7922.169または151.0.7922.170、Linuxが151.0.7922.169である。これより新しい安定版が配信されている場合は、その最新版を適用する。

Android版はGoogle PlayでChromeの更新状況を確認する。Chrome 151.0.7922.169は数日かけて順次配信されるため、端末や地域によって表示時期が異なる場合がある。

企業や組織で管理している端末では、自動更新の延期設定や段階配信の影響で適用が遅れる可能性がある。管理者は端末管理システムで導入済みバージョンを確認し、組織の更新方針に沿って修正版以降への移行を進める必要がある。

■注目ポイントQ&A

●今回の更新でCriticalの脆弱性2件は修正されますか?

はい。CVE-2026-76034とCVE-2026-76036は、WindowsおよびMacではChrome 151.0.7922.169または151.0.7922.170、LinuxとAndroidでは151.0.7922.169で修正されています。これより新しい安定版が提供されている場合は、最新版へ更新してください。

●2件の脆弱性はすでに攻撃に使われていますか?

2026年8月20日時点で、公開されているCVE情報では悪用状況は「確認なし」とされ、CISAの既知の悪用脆弱性カタログにも掲載されていません。ただし、今後の悪用を防ぐためにも更新は必要です。

●Codex Securityがクレジットされたことにはどのような意味がありますか?

Googleの公式アドバイザリに「OpenAI Codex Security(amyb)」が脆弱性の報告者として記載された点が注目されます。一方、公式情報は発見過程におけるAIと人間の具体的な役割までは説明していません。

●FirefoxではAmy Burnett氏が何件の脆弱性を報告しましたか?

Firefox 154の公式セキュリティアドバイザリでは、Amy Burnett氏が4件のHigh脆弱性の報告者として記載されています。

●Android版Chromeにも同じ修正が含まれますか?

はい。GoogleはAndroid版151.0.7922.169を8月18日に公開し、特に断りがない限り対応するデスクトップ版と同じセキュリティ修正を含むと説明しています。Google Playで更新が利用可能になり次第、適用してください。

元記事: Chrome Update Patches Two Sandbox-Escape Flaws, Codex Security Gets First Browser Credit

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード