Xがブラジル選挙向けフィルターのコードを公開、実装には地域限定や広告除外を確認できず

2026年8月18日 15:33

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記事提供元:Tech Times

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X(旧Twitter)の推薦アルゴリズムを公開するGitHubリポジトリに、ブラジルの2026年選挙に関連する665アカウントを対象としたフィルターが追加された。政府や公的機関の要求がコードを通じて可視化される可能性を示す一方、公開された実装だけではブラジル国内への限定や有料プロモーションの除外を確認できず、実際の運用状況にも不明な点が残る。

■665アカウントを指定するフィルターを公開

Xの公開リポジトリ「xai-org/x-algorithm」には、Rustで記述された「Brazil2026ElectionFilter」が追加されている。コードは665件のユーザーIDを集合として保持し、それぞれに対応するとされるユーザー名をコメントに記載している。

フィルターは、対象リストに含まれるアカウントを利用者がフォローしていない場合、そのアカウントによる投稿を推薦候補から取り除く。対象アカウントの投稿だけでなく、そのアカウントの投稿をリポストまたは引用した投稿、対象アカウントを会話の祖先に含む返信も削除対象になる。

一方、利用者が対象アカウントをフォローしていれば、そのアカウントについてフィルターは適用されない。したがって、このコードが行うのはアカウントへのアクセスを全面的に遮断する措置ではなく、主としてフォローしていない利用者への推薦を抑える処理である。

ブラジルの2026年総選挙は、第1回投票が10月4日、必要な場合の第2回投票が10月25日に実施される予定だ。

■コメントと実装の間に残る不一致

コード冒頭のコメントには、推薦システムを利用するサービス提供者が、選挙裁判所に報告されたチャンネルやプロフィールを推薦結果から除外し、有料でのブーストは例外とする趣旨の説明がある。

しかし、公開時点の実装には、広告や有料プロモーションを判定して除外処理を回避する条件は見当たらない。コードが参照しているリンクもブラジル高等選挙裁判所の候補者データセットであり、コメントに記された義務の条文や個別命令を直接示すものではない。

また、このフィルター本体には利用者の国コードを調べる処理がなく、ブラジル国内だけに適用する条件も実装されていない。別のレイヤーで地域を限定している可能性はあるものの、公開されたフィルターからは確認できない。

そのため、公開コードから確実に読み取れるのは、指定された665アカウントに関係する投稿を、フォロー関係に応じて推薦候補から除くロジックである。実際のXで有効になっているか、どの地域に適用されるか、有料投稿が別の段階で除外対象から外れるかまでは、このファイルだけでは判断できない。

■オープンソース化で見えるもの

このコードの公開には、プラットフォーム上の表示制御を外部から点検する手掛かりを増やす意味がある。リストの件数、フィルターが参照するフォロー関係、リポストや引用投稿の扱いなどは、ソースコードから具体的に確認できる。

Xのリポジトリには、投稿候補の取得、スコアリング、フィルタリング、可視性判定など、「おすすめ」フィードを構成する複数の要素が含まれている。Phoenix推薦システムについても、モデルや学習処理、Rustによる提供エンジンなどが公開されている。

もっとも、公開リポジトリだけで実際のサービス運用を完全に再現できるわけではない。X固有のデータ供給基盤、クラスタ運用、内部テレメトリーなどは含まれておらず、公開されたコードと本番環境の設定やデータを切り分けて見る必要がある。

■インドでは命令内容に厳格な秘密保持

政府要求の透明性を考える上で対照的なのがインドである。同国の情報技術法第69A条は、主権や国家の安全、公共秩序などを理由として、政府がオンライン情報へのアクセス遮断を命じる権限を定めている。命令に従わない仲介事業者には、最長7年の拘禁刑と罰金が科される可能性がある。

同条に基づく2009年のブロッキング規則では、受け付けた要求や苦情、それに対して講じた措置について厳格な秘密保持を維持するよう定めている。この制度の下では、対象となったアカウントや命令内容を、ブラジル向けフィルターのように公開コードへ列挙することは難しい。

2025年7月には、Xが、インド政府からロイターとロイター・ワールドを含む2,355アカウントについて国内でのアクセスを遮断するよう命じられたと公表した。Xによれば、命令は情報技術法第69A条に基づき、1時間以内の対応を求めるものだった。

これに対し、インド電子・情報技術省は、7月3日に新たなブロッキング命令を出した事実はないと説明した。同省はロイターを遮断する意図はなく、アカウントへのアクセスを復旧するようXに働きかけたとしている。ロイターの2アカウントはその後、インド国内で再び閲覧可能になった。

この件ではXとインド政府の説明が食い違っており、命令の具体的な対象コンテンツや経緯は公開情報から確定できない。命令に秘密保持が課される制度そのものが、外部検証を難しくしている。

■透明化は政府要求の拒否を意味しない

フィルターや対象リストの公開は、Xが政府や公的機関からの要求を拒否したことを意味しない。コードの公開によって分かるのは、主にどのような条件と処理で推薦候補を除いているかである。

政府要求による国別のアクセス遮断は、推薦フィードのフィルターとは異なる仕組みで行われる場合がある。あるアカウントが「おすすめ」に表示されないことと、その国からアカウント自体へアクセスできないことは、技術的にも利用者への影響でも同じではない。

利用者自身に付与された可視性関連のラベルを確認するための「Under the Hood」に関するコードもXのリポジトリで公開されている。ただし、プラットフォーム独自のラベルを表示する機能と、秘密扱いの政府命令を開示する機能は区別する必要がある。

■透明性を評価するにはコードと運用の両方が必要

オープンソース化は、推薦システムをめぐる議論を抽象的な説明から具体的な実装の検討へ進める。今回のフィルターでは、対象数やフォローによる例外、引用や返信への影響をコードから確認できるようになったことが、その意義に当たる。

同時に、コメントに書かれた方針が実装に反映されているか、国別の適用条件がどこにあるか、公開コードが本番環境で有効かという点は別途確認しなければならない。政府要求をコードに記載できる法制度と、命令内容を秘密にする法制度との差も、プラットフォーム単独の透明化では埋められない。

Xが公開したブラジル選挙向けフィルターは、政府や公的機関に関係する表示制御を外部から検討する材料を提供した。その一方で、コードの公開だけをもって「政府から要求された検閲がすべて明確に見えるようになった」と評価することはできない。透明性の実効性は、対象リストの根拠、実装と本番運用の一致、政府命令を開示できる法的環境まで含めて判断する必要がある。

■注目ポイントQ&A

●公開されたフィルターは何をしますか?

665アカウントのうち、利用者がフォローしていないアカウントによる投稿を推薦候補から除きます。対象アカウントに関係するリポスト、引用投稿、一部の返信も削除対象になります。

●ブラジル国内だけに適用されるのですか?

公開されたフィルター本体には、利用者の国を判定する処理がありません。別の設定や処理によって地域を限定している可能性はありますが、このファイルだけでは確認できません。

●有料プロモーションは対象外ですか?

コードのコメントには有料ブーストを例外とする説明がありますが、公開されたフィルター本体には有料投稿を判定して処理を回避する条件がありません。別の処理で対応しているかどうかも確認できません。

●対象アカウントをフォローすれば表示されますか?

このフィルターのロジックでは、利用者が対象アカウントをフォローしている場合、そのアカウントは除外されません。ただし、国別の法的遮断など、別の仕組みによる制限まで解除するものではありません。

●なぜインドでは同様の情報公開が難しいのですか?

情報技術法第69A条に基づく2009年の規則が、ブロッキング要求や講じた措置について厳格な秘密保持を定めているためです。個別命令の対象や内容を公開コードに記載することは、この制度と衝突する可能性があります。

元記事: X Published Brazil’s Election Censorship Filter in Code; India’s Secrecy Law Prevents This

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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