Meta、豪州で16歳未満と判断した75万超のアカウントを削除―登録後のAI検知と年齢制限の課題

2026年8月17日 11:38

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記事提供元:Tech Times

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Metaは、豪州のソーシャルメディア最低年齢制度への対応として、FacebookとInstagramで16歳未満の利用者に属すると判断した75万件超のアカウントへのアクセスを停止した。対象期間は2025年12月1日から2026年6月30日までで、同社は現在も対策を継続している。

一方、豪州のオンライン安全規制当局であるeSafety Commissionerが実施した施行3か月後の調査では、10〜15歳の81.5%が少なくとも一つの年齢制限対象プラットフォームを利用していた。アカウントの削除・停止件数と、子どもによる実際のサービス利用は異なる指標であり、丢者の隔たりは年齢確認の仕組みと政策効果を評価するうえで重要な論点となっている。

■Metaが削除した75万超のアカウント

Metaは2026年8月12日、豪州で16歳未満の利用者に属すると判断したFacebookとInstagramのアカウント75万件超へのアクセスを停止したと発表した。

集計期間は2025年12月1日から2026年6月30日までで、2025年12月10日に制度が施行される前に停止した50万件超も含まれる。Metaによれば、その後も対象アカウントの検知と停止を続けており、件数は今後も増える見通しだ。

豪州の制度は、16歳未満の人がソーシャルメディア上のアカウントを作成・保有できないよう、対象プラットフォームに「合理的な措置」を講じることを求めている。16歳未満の本人や保護者を処罰する制度ではなく、ログインせずに公開コンテンツを閲覧することまで一律に禁止するものでもない。

このため、Metaが公表したアカウント停止件数と、eSafetyの調査が測定したサービス利用率は直接対応する数字ではない。停止後に別のアカウントが作成される場合に加え、アカウントを持たずに公開コンテンツへアクセスする場合もあるためだ。

■MetaのAIはどのように年齢を推定するのか

Metaが豪州向けに説明した対策では、AIを利用して投稿、コメント、プロフィールの自己紹介文、画像や動画のキャプションなどを分析する。誕生日の祝い方や学年への言及といった文脈上の手掛かりから、アカウントが16歳未満の利用者に属する可能性を評価する仕組みだ。

この方法は、本人が登録した生年月日だけに頼るものではない。一方、投稿やプロフィールなど、アカウント作成後に得られる情報も検知材料としているため、利用開始と同時にすべての対象者を判定する方式ではない。

Metaはこのほか、保護者や一般利用者が年齢要件を満たしていない疑いのあるアカウントを通報しやすくした。通報後の審査にはAIによる確認を追加し、過去に停止された利用者が新しいアカウントを作成する行為を検知・防止するシステムも強化したという。

さらに、豪州のApple App Storeでは、FacebookとInstagramの対象年齢表示を16歳以上に変更した。Metaは2026年6月から7月にかけて、保護者向けの周知キャンペーンも実施し、同社によると約130万人に情報を届けた。

ただし、Metaは今回の発表で、AIによる年齢推定の正確性、誤判定率、検知方法別の停止件数を公表していない。自動検知と利用者からの通報が、それぞれ何件の停止につながったのかも明らかではない。

■81.5%という利用率が示すもの

eSafetyは、豪州のソーシャルメディア最低年齢制度について、施行前と施行3か月後の子どもや保護者の状況を比較する長期評価を進めている。

2026年7月31日に公表された初期報告によると、10〜15歳の子どもによる年齢制限対象プラットフォームの利用率は、施行前の85.9%から3か月後には81.5%となった。4.4ポイントの低下である。

アカウント保有率は同じ期間に10.4ポイント低下しており、実際の利用率より大きな変化が確認された。この差からは、アカウントを持っていることと、プラットフォームを利用することを分けて測る必要性が分かる。

調査では、利用を続けていた子どもの半数以上が、プラットフォームから年齢を確認されなかったと回答した。18.2%は年齢確認を受けたものの、16歳以上と判定されたと答えている。

VPNを利用したと回答した割合は7.4%だった。もっとも、これらの回答だけから年齢確認を回避できた原因を一つに特定することはできない。自己申告した生年月日、プラットフォームの推定結果、保護者の関与、別アカウントの利用など、複数の経路が考えられる。

eSafetyの報告書も、今回のデータを制度の長期的な成否を確定するものではなく、施行初期の利用状況や変化を把握するための結果と位置付けている。

■「合理的な措置」と年齢確認技術

豪州のオンライン安全法は、対象プラットフォームに対し、16歳未満の豪州居住者がアカウントを作成・保有することを防ぐための「合理的な措置」を求めている。

法律は特定の一つの年齢確認技術を一律に義務付けていない。政府発行の身分証明書だけを年齢確認手段とすることも認めておらず、プラットフォームには合理的な代替手段の提供が求められる。

年齢確認には、申告された生年月日、アカウント上の行動やコンテンツからの年齢推定、第三者による年齢確認、端末やアプリストアから提供される年齢情報など、複数の方法が考えられる。それぞれ、精度、プライバシー、導入負担、誤判定への対応という異なる課題を持つ。

年齢の条件を満たしていることだけを示し、氏名や生年月日などの情報をサービス運営者へ直接伝えない仕組みも、プライバシーに配慮した方法として研究・開発されている。ただし、豪州の法律はゼロ知識証明など特定の暗号技術を義務付けているわけではない。

Metaの発表内容からは、利用開始後に得られる情報を使った継続的な検知が主要な対策の一つであることが読み取れる。これが豪州法上の「合理的な措置」として十分かどうかについては、当局の調査と個別の事実関係に基づく判断が必要となる。

■アプリ側か、端末側か

Metaは、個々のアプリがそれぞれ年齢を確認するのではなく、端末のOSやアプリストアから年齢に関する情報を提供する仕組みを支持している。

同社は、利用者が端末を設定したりアプリを入手したりする段階で年齢を確認し、各サービスには必要最小限の年齢情報だけを渡す方が、同じ確認を繰り返す負担を抑えられると主張している。

一方、どの情報を端末やアプリストアが保持し、どの範囲の開発者へ提供するかについては、プライバシーや責任分担をめぐる論点が残る。現在の豪州法で16歳未満のアカウントを防ぐ義務を負うのは、年齢制限対象プラットフォームの事業者である。

端末側とアプリ側のどちらか一方に対策を集約するのではなく、登録時の確認、利用開始後の継続的な推定、保護者や利用者からの通報、再登録の防止を組み合わせる設計も考えられる。重要なのは、各手段の精度や限界を検証可能な形で示すことだ。

■罰則強化法案を豪州上院が審議

豪州政府は2026年6月、ソーシャルメディア最低年齢制度の執行を強化する法案を議会へ提出した。法案は下院を通過し、記事公開時点では上院で審議されている。

政府発表では、組織的な違反に対する最高民事罰を4,950万豪ドルから9,900万豪ドルへ引き上げる。米ドル換算では約3,500万ドルから約7,000万ドル、1ドル159円で換算すると約55億7,000万円から約111億3,000万円に相当する。

法案には、eSafety Commissionerの情報収集権限を拡大する規定も含まれる。プラットフォームだけでなく、年齢確認事業者やアプリストア事業者などの第三者からも、法令順守の確認に必要な情報や文書を取得しやすくする狙いがある。

上院の環境・通信法制委員会は、2026年8月25日までに法案に関する報告書を提出する予定だ。

eSafetyは、Facebook、Instagram、Snapchat、TikTok、YouTubeの5サービスについて、最低年齢制度に違反している可能性を調査している。調査中であることは、各サービスの違反が確定したことを意味しない。

■削除件数だけでは政策効果を測れない

Metaの75万件超という数字は、同社が多数のアカウントを検知・停止したことを示す。一方、それだけで16歳未満の利用が同じ規模で減ったことまでは示さない。

eSafetyの初期調査では、アカウント保有率が10.4ポイント低下した一方、利用率の低下は4.4ポイントだった。政策効果を検討するには、削除・停止されたアカウントの数だけでなく、利用率、再登録、ログインしない利用、年齢確認の誤判定などを継続的に把握する必要がある。

子どもの利用先が年齢制限の対象外となる別のサービスへ移る可能性も評価対象となる。特定サービスの一覧を基準とするだけでは、機能の近い新サービスや利用行動の変化を十分に捉えられない場合があるためだ。

豪州で始まった制度の評価は、単に年齢確認を厳しくするかどうかだけではなく、プライバシーを保護しながら年齢条件を確認する方法、誤判定を訂正する手続き、複数のサービス間での責任分担をどう設計するかという議論につながっている。

■注目ポイントQ&A●Metaは豪州でどのように16歳未満のアカウントを検知していますか?

Metaは、投稿、コメント、自己紹介文、キャプションなどをAIで分析し、誕生日や学年への言及といった文脈上の手掛かりから年齢を推定しています。利用者や保護者からの通報、通報に対するAIを組み合わせた審査、削除後の再登録を防ぐ仕組みも使用しています。

●Metaの75万件超という数字は、16歳未満の利用者が同じ人数だけ減ったことを意味しますか?

意味しません。公表されたのはアカウントへのアクセスを停止した件数であり、固有の利用者数や実際の利用減少数とは異なります。別アカウントの作成や、ログインせずに公開コンテンツを閲覧する場合もあるため、利用率とは分けて考える必要があります。

●なぜeSafetyの調査では81.5%が利用を続けていたのですか?

調査はアカウント保有だけでなく、年齢制限対象プラットフォームを利用したかどうかを尋ねています。年齢確認を受けなかったという回答や、16歳以上と判定されたという回答もありました。ただし、調査結果だけから一つの原因を特定することはできません。

●プライバシーに配慮した年齢確認方法はありますか?

必要な年齢条件を満たしていることだけを伝え、氏名や生年月日などをサービス側へ渡さない方式が研究・開発されています。ゼロ知識証明などの暗号技術はその一例ですが、豪州法が特定の方式を義務付けているわけではありません。

●豪州ではSNSの閲覧自体が禁止されているのですか?

一律に禁止されているわけではありません。制度は、年齢制限対象プラットフォームに対し、16歳未満の豪州居住者がアカウントを作成・保有することを防ぐ合理的な措置を求めています。本人や保護者に罰則を科す制度ではなく、ログインを必要としない公開コンテンツは引き続き閲覧できます。

元記事: Meta Removed 756,000 Australian Teen Accounts: Its AI Catches Them After Sign-Up

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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