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HBO新作『ランタンズ』米批評家から高評価、BCI研究から読み解くパワーリングの現在地

(Hbo.com)[写真拡大]
米HBOの新作DCドラマ『ランタンズ(Lanterns)』のレビューが解禁され、米レビュー集約サイトのRotten Tomatoesでは、35件のレビューに基づき89%の「Certified Fresh」を獲得した。Metacriticでも72点となっており、カイル・チャンドラーとアーロン・ピエールの演技や、地に足のついた犯罪捜査劇としての構成が評価されている。
全8話の本作は、米国で2026年8月16日午後9時(東部時間)にHBOで放送・配信を開始する。日本では8月17日からHBO Max on U-NEXTで独占配信される。
■批評家が評価した2人のランタンと時系列構成
本作は1996年、2016年、2026年の3つの時間軸を行き来しながら、ハル・ジョーダンとジョン・スチュワートの関係を描く。シーズンの大部分を占める2016年のネブラスカ州ラッシュビルでは、2人が地球外の要素を伴う殺人事件の捜査に乗り出す。
RogerEbert.comのブライアン・タレリコは、本作を「自信に満ち、引き込まれる」と評価し、「予想していたものとは少しずつ違う作品だ」と述べている。探偵ドラマ、世代交代を巡る物語、宇宙規模の神話が組み合わさり、単純なスーパーヒーロー作品には収まらない構成になっているという。
批評家から特に支持されているのが、主演2人の対照的な人物像だ。チャンドラー演じるハル・ジョーダンは、かつて選ばれた英雄でありながら、自分が交代させられるかもしれないという不安と疲労を抱える。一方、ピエール演じるジョン・スチュワートは、軍人としての経験や建築を学んだ背景に裏打ちされた規律を備えた新人として登場する。
2人の違いは、リングによって生み出されるコンストラクトにも表れる。元テストパイロットのハルは、その場の状況へ即応するように力を使う。ジョンの造形には、建築家のように構造を組み立てていく発想が反映される。共通の道具でありながら、使い手の経験や思考によって出力が変わることが、2人の人物像を視覚的に際立たせている。
■思考を動作へ変えるBCIとの共通構造
パワーリングは、装着者の意志を読み取り、光る構造物であるコンストラクトとして具現化する。この「意図を読み取り、外部の動作や形へ変換する」という流れは、現実の脳コンピューターインターフェース(BCI)にも通じる。
BrainCoは2026年7月、上海で開催された世界人工知能大会(WAIC)で、非侵襲型の脳波(EEG)ヘッドセットを使ってロボットを操作する研究開発プラットフォームを発表した。同社によると、脳波から運動や制御の意図をAIで読み取り、ロボットへの命令に変換するまでの処理時間は200ミリ秒未満だという。会場では、ロボットアームがカップやリンゴをつかむデモが行われた。
このシステムは、脳波を取得し、AIが意図を推定し、外部装置が実行するという3段階で動作する。パワーリングも、装着者の意志を入力として受け取り、それを目に見える作用へ変換する点では、同じ方向の情報処理を大きく発展させた装置として眺められる。
こうした視点から見ると、ハルとジョンのコンストラクトが異なる理由にも説得力が生まれる。リングは単に決まった武器を呼び出すのではなく、使い手の意図や発想を出力へ反映するインターフェースとして機能する。瞬時の判断に長けたハルと、構造を思い描くジョンの違いが、そのままリングの使い方に現れるのである。
■「ハードライト」を連想させる光子研究
リングによって作られるコンストラクトは、光でありながら物体のように形を保ち、盾や武器として作用する。こうした「ハードライト」のイメージを連想させる研究として、光子同士の相互作用を生み出す量子光学の実験がある。
ハーバード大学とMITの研究チームは、極低温の原子からなる特殊な媒質を利用し、通常は互いに通り抜ける光子を強く相互作用させ、結合状態を形成することに成功した。この状態は「光子分子」とも呼ばれ、媒質中の光子が質量を持つ粒子のように振る舞う現象を示している。
光を単に周囲を照らすものとしてではなく、相互作用し、まとまりを持つものとして扱う点は、パワーリングのコンストラクトを考える上で興味深い補助線になる。リングを取り巻く緑色のエネルギー場を、光の振る舞いを変化させる特殊な環境になぞらえれば、光が形を保つという映像表現にも量子光学のイメージを重ねられる。
本作では、リングの仕組みを台詞で詳細に解説するより、ハルとジョンが生み出すコンストラクトの形や使い方を通じて見せている。人物の意志や思考が視覚的な形となり、それぞれに異なるアクションを生み出すことが、リングを単なる万能兵器ではなくキャラクター表現の一部にしている。
■映像的スペクタクルより犯罪捜査を重視
批評家からは、テーマを台詞で説明しすぎる場面や、犯罪捜査劇と宇宙的な神話がかみ合うまでに時間がかかる点も指摘されている。シーズンの大部分は米国中西部の限られた地域で展開し、コンストラクトを使った大規模なアクションは終盤に比重が置かれている。
そのため、本作は『マイティ・ソー』のような宇宙規模のスペクタクルより、『TRUE DETECTIVE』を思わせる重厚な犯罪ドラマに近い。派手なリングの力を中心にした作品を期待すると、序盤は抑制的に感じられる可能性がある。
一方、第3話では、ハルとジョンが異なる環境で経験してきた恐怖と、それにどう対処してきたかが掘り下げられる。リングが選ぶのは恐怖を知らない人物ではなく、恐怖の中でも行動できる人物だというグリーン・ランタンの主題が、2人の人生の違いを通じて具体化される。
若い黒人海兵隊員として生きてきたジョンと、白人テストパイロットとして英雄になったハルでは、恐怖を経験してきた場面も、それに求められた対応も異なる。意志の力という共通の基準を、異なる社会的背景を持つ2人に当てはめることで、リングに選ばれることの意味を人物ドラマとして掘り下げている。
■再編が続くDCUで重要な作品に
『ランタンズ』は、DCユニバース(DCU)の今後を占う重要なテレビシリーズでもある。DC Studiosが2023年に発表した『Waller』と『Paradise Lost』については、2026年8月、現在は企画が進行していないと複数の海外メディアが報じた。
また、パラマウントは2026年2月、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーを買収する契約を締結したと発表している。企業再編が進む中、DCUのテレビシリーズにも、それぞれの企画が単独で視聴者と批評家の支持を得られるかがこれまで以上に問われる。
『ランタンズ』のRotten Tomatoesにおける89%という初期評価は、『クリーチャー・コマンドーズ』の95%や『ピースメイカー』シーズン2の94%には及ばないものの、『スーパーマン』の83%を上回る。Empireのアモン・ウォーマンは、本作をDCUにとって「待望の勝利」と評価している。
今回の批評家評価で見えてきたのは、リングの派手さだけに頼らず、ハルとジョンの心理や世代交代を中心に据えた方向性が支持されていることだ。BCIや量子光学の研究を重ねて見ると、パワーリングは「意志の力」という抽象的な概念を、読み取り、変換し、形として出力する装置として映る。
思考が動作へ変わり、光が相互作用し、使い手の経験が出力の違いとなって現れる。現実の科学に見られるこうした要素は、リングの仕組みを直接説明する答えではなく、その発想をより深く楽しむための手掛かりになる。『ランタンズ』は、その力をキャラクターと物語の中でどう見せるかに重点を置いた作品となっている。
元記事: Lanterns HBO Review: 89% Critics Confirm Ring Neuroscience Holds Onscreen
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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