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Disney+、「パワーレンジャー」実写リブートを見送り 他社IPゆえの採算性が課題に

(Hasbro.com)[写真拡大]
Disney+が計画していた「パワーレンジャー」の実写リブートシリーズについて、企画開発を先に進めない方針を決めたと米Deadlineが報じた。米TheWrapも関係者への取材を基に、プロジェクトが開発段階を終えることなく終了すると伝えている。2024年にはNetflix向けの別企画も打ち切られており、大手配信サービスによる実写リブートは再び頓挫することになった。
■クリエイティブではなく「採算性」が要因に
Disney+向けの実写シリーズでは、『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』を手掛けるジョナサン・E・スタインバーグとダン・ショッツが脚本、製作総指揮、ショーランナーを担当し、20th Televisionとハズブロ・エンターテインメントが開発に参加していた。
企画見送りはクリエイティブ上の問題ではなく、事業面と予算面の判断だったと報じられている。大規模な実写スーパーヒーロー作品には多額の制作費が必要になる一方、「パワーレンジャー」のIPを所有しているのはディズニーではなくハズブロである。このため、自社IPを映像、商品、ゲーム、テーマパークなどに展開する場合に比べ、ディズニーにとって投資を回収できる範囲が限られることが課題になったとみられる。
大手配信サービスでの企画が終了するのは今回が初めてではない。Netflixでは、ジェニー・クラインをショーランナー、ジョナサン・エントウィッスルを監督・プロデューサーとして、約4年間にわたり別のシリーズが開発されていたが、2024年6月に打ち切られた。同企画も撮影開始には至っていない。
■自社IPを重視する配信プラットフォーム
ディズニーがマーベルや「スター・ウォーズ」のシリーズを制作する場合、番組そのものに加え、映画、商品、ゲーム、テーマパークなど、自社が保有するIPの価値向上につなげられる。
これに対し、「パワーレンジャー」はハズブロが所有するIPである。具体的な契約条件は公表されていないものの、ディズニーがIPを所有する作品と比べれば、制作費を投じた後に活用できる権利や収益機会は限定される。
ディズニーのヒュー・ジョンストンCFOは2025年11月、2026年度のコンテンツ予算を約240億ドル(約3兆8,160億円、1ドル=159円換算)とする方針を示すとともに、コンテンツ支出をD2C事業の収益成長を上回るペースでは増やさない考えを説明していた。収益性が重視される環境では、高額な制作費を必要とする他社IP作品は、投資判断がより厳しくなりやすい。
■30年以上を支えた「スーパー戦隊」活用モデル
「パワーレンジャー」は1993年の開始以来、東映の「スーパー戦隊シリーズ」からスーツ、怪人、ロボット、戦闘場面などの映像やデザインを活用し、米国の俳優によるドラマ部分を追加撮影する制作方式を採ってきた。
この方式では、日本側の作品として制作されたアクション映像を利用できるため、すべてのスーツ、セット、怪人、巨大ロボット戦を米国側で新規制作する場合に比べ、コストを抑えやすかった。実物のスーツやミニチュアを用いる日本の特撮技法は、「パワーレンジャー」の映像表現を形作る重要な要素にもなっていた。
一方、Disney+向けのリブート企画は、独自のスーツやゾード、怪物を設計し、アクション場面も新たに撮影する構想だったとされる。従来の映像活用方式から離れれば、米国側で負担する制作費が増え、通常の大型実写スーパーヒーロー作品に近い予算が必要になる。
日本では、50年間続いた「スーパー戦隊シリーズ」が『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』で一区切りとなり、2026年2月から新たな特撮シリーズ「PROJECT R.E.D.」が始動した。第1弾の公式名称は『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』で、同年7月まで放送された。
これにより、今後の「パワーレンジャー」が従来と同じ形で最新のスーパー戦隊作品を素材として利用することは難しくなった。ただし、過去のスーパー戦隊映像や「PROJECT R.E.D.」作品を利用できるかどうかは、東映、ハズブロなど権利者間の契約次第であり、映像活用方式そのものが完全に不可能になったとまでは断定できない。
■ハズブロによる買収後のブランド展開
ハズブロは2018年、サバン・プロパティーズなどから「パワーレンジャー」を含む複数の資産を約5億2,200万ドル(約830億円、1ドル=159円換算)で取得した。
その後、ハズブロは玩具事業の方針を見直し、「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」などで知られるプレイメイツ・トイズに「パワーレンジャー」の玩具製造・販売を許諾した。一方、ハズブロは映像作品などのエンターテインメントに関する権利を引き続き保有している。
ブランド展開が途絶えたわけではない。玩具やコミック、過去作品のライセンス展開は続いている。しかし、大規模な実写シリーズへの投資を判断する際には、近年の映画興行や視聴実績、商品展開を含めた商業的な見通しが問われる。
2017年公開の映画『パワーレンジャー』は、約1億ドルの制作費に対し、世界興行収入が約1億4,200万ドルだった。続編を前提としたシリーズ展開には至らず、現代の観客に向けた大規模リブートの実績としては厳しい結果になった。
なお、ディズニーはかつて「パワーレンジャー」を所有していた。2001年にFox Familyの買収を通じて権利を取得し、複数のテレビシリーズを制作した後、2010年にハイム・サバン側へ売却している。現在はハズブロがIPを所有しているため、ディズニーが自社IPとして制作することはできない。
■実写復活に残された選択肢
今後の選択肢の一つは、ハズブロが制作費の一部を負担する共同制作である。複数の放送局や配信サービスが制作費を分担する国際共同制作も、単独のプラットフォームに負担が集中する構造を緩和できる可能性がある。
アニメーション作品として展開する方法も考えられる。一般にアニメーションは、大量の実写セットやスーツ、VFXを必要とする大型実写作品より予算を管理しやすい。比較的小規模な作品で新たな物語やデザインに対する反応を確かめてから、実写化を検討する方法もある。
劇場映画も候補となる。2024年にはハズブロとパラマウントによる新作映画の検討が報じられたが、正式な製作発表には至っていない。さらにパラマウント・スカイダンスは2026年2月、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収契約を締結しており、スタジオ全体の開発方針が今後の企画に影響する可能性がある。
もう一つは、玩具、コミック、旧作のライセンスを中心とする現在の展開を維持することだ。ハズブロにとっては、不利な条件で映像化を急ぐより、条件の合う制作会社や配信先が現れるまで権利を保持する選択肢もある。
NetflixとDisney+による二つの実写企画が開発段階で終了したことは、作品やファン層の価値そのものを否定するものではない。一方で、高額な制作費を必要とする作品を、IPを所有しない配信会社が単独で負担することの難しさを示している。将来の実写化には、制作費と権利収益をより対称的に分担できる契約が必要になりそうだ。
■注目ポイントQ&A
●なぜDisney+は「パワーレンジャー」のシリーズ化を見送ったのですか?
クリエイティブ上の問題ではなく、事業面と予算面での判断だったと報じられています。大型実写作品には多額の制作費が必要ですが、IPを所有するのはハズブロであり、ディズニーが自社IP作品と同じ範囲で投資効果を得ることはできません。
●今後、実写版「パワーレンジャー」が配信される可能性はありますか?
可能性は残されています。ただし、ハズブロによる共同出資、複数社による共同制作、劇場映画による商業性の実証など、制作会社や配信サービスの負担を抑える仕組みが必要になると考えられます。
●今後も日本の特撮映像を利用できますか?
「スーパー戦隊シリーズ」は『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』で一区切りとなったため、従来と同じ方式で毎年の新作映像を利用することは難しくなっています。ただし、過去作品や「PROJECT R.E.D.」の映像を利用できるかどうかは権利者間の契約によるため、現時点で完全に不可能とは断定できません。
●現在、「パワーレンジャー」を所有しているのはどの会社ですか?
ハズブロです。同社は2018年にサバン側からブランドを取得しました。玩具の製造・販売はプレイメイツ・トイズに許諾していますが、映像作品などのエンターテインメントに関する権利はハズブロが保持しています。
元記事: Power Rangers Reboot Falls at Disney+: Hasbro’s IP Deal Dooms Both Streaming Bids
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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