Siriが記事を使うたびに対価、Appleがニュース媒体と新契約を協議か

2026年8月14日 15:54

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記事提供元:Tech Times

(Photo: Tim Gouw)

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Appleは、AIを活用した新しいSiriに最新ニュースや情報を提供するため、ニュースパブリッシャーと複数年のコンテンツライセンス契約を協議していると報じられた。固定額ではなく、パブリッシャーのコンテンツがSiriで使用された場合に報酬を支払う変動型の仕組みを提案しているという。契約先や最終条件は明らかになっておらず、協議内容は今後変更される可能性がある。

■交渉の概要

WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の報道によると、Appleは新しいSiriに最新ニュースや情報へのアクセスを持たせるため、複数のメディア企業に接触している。協議されているのは複数年のコンテンツライセンス契約で、パブリッシャーのコンテンツが使用された場合に支払いを行う変動報酬モデルだという。

Appleは、こうした支払いに充てる予算として9桁規模の金額を検討していると報じられている。9桁規模とは少なくとも1億ドルで、1ドル=159円で換算すると約159億円となる。ただし、これは確定済みの契約総額や最低保証額ではなく、協議段階で検討されている予算規模である。AppleはWSJの取材にコメントしなかった。

WSJはNews Corp傘下の媒体である。News CorpはAppleと既存の商業関係があり、OpenAIとも複数年のコンテンツ契約を締結している。今回の協議についてはTechCrunchや9to5Macなども報じているが、いずれも主な情報源はWSJの報道であり、Appleによる正式発表ではない。

■AIニュースライセンスの経済学を変える変動報酬

AI企業とニュースパブリッシャーのコンテンツ契約では、一定額を支払ってコンテンツへのアクセス権などを得る方式が広く採用されてきた。OpenAIとNews Corpの契約は5年間で2億5000万ドル(約397億5000万円)以上の価値があると報じられている。AmazonとThe New York Times(NYT)の契約についても、年間2000万〜2500万ドル(約31億8000万〜39億7500万円)規模と報じられた。

Appleが検討しているとされる仕組みは、パブリッシャーのコンテンツがSiriで実際に利用された場合に報酬を支払う点が特徴だ。固定額だけで評価するのではなく、利用状況を報酬に反映させるモデルといえる。

この仕組みは、読者によるコンテンツの利用状況が収益分配に影響するApple News+と比較されている。Apple News+は2019年に始まったが、AppleがSiri向けに協議している契約は別の製品を対象とする別個の取り決めになるとみられる。

新しいSiriは、iOS 27、iPadOS 27、macOS 27、watchOS 27、visionOS 27で展開される予定だ。AppleはWWDC 2026で、個人のコンテキストの理解、画面上の情報の認識、Web上の幅広い情報を使った回答など、新しいSiriの機能を発表している。

今回報じられた契約が実現すれば、Siriが変化の速いニュースや時事情報を扱う際に、ライセンスを受けたパブリッシャーのコンテンツを利用できるようになる。ただし、情報を取得する具体的な技術方式や、利用回数の計測・帰属方法は公表されていない。

■パブリッシャーにとっての新たなリスク

利用状況に応じた報酬は、Siriで頻繁にコンテンツを利用されるパブリッシャーにとって、収益を伸ばす機会になり得る。一方、利用頻度が低ければ報酬も限られる可能性がある。

特に重要になるのが、どのパブリッシャーのコンテンツを使用したと判定するのか、利用回数をどのように記録するのかという点だ。報酬が利用実績に連動する場合、計測方法の透明性や、パブリッシャーが結果を検証できる仕組みが契約上の論点となる。

Appleが固定額による最低保証を提示しているかどうかは、現在確認できる報道では明らかになっていない。このため、具体的な収益機会やリスクは最終的な契約条件によって変わる。

Apple News+は、利用状況に応じて収益を分配する既存例の1つだ。もっとも、一部のパブリッシャーからは収益性に対する不満も報じられている。Digidayの2025年4月の報道では、ある大手パブリッシャーがApple Newsで得られる広告収入について、自社サイトで同等のトラフィックを得た場合を大きく下回ると説明した。The Hillの担当者も、トラフィックが前年同期比で23%増えた一方、収益分配は「かなり保守的」だったと述べている。

■Siri AIの成否を握る最新情報

AppleがWWDC 2026で発表したSiri AIは、会話能力、個人のコンテキストの理解、画面上の情報の認識、アプリをまたいだ操作などを特徴とする。ニュースや現在進行中の出来事について回答するには、更新された情報へ適切にアクセスする仕組みが重要になる。

Appleの公式発表では、新しいSiriが次世代のApple Intelligenceを利用し、Web上の幅広い情報から最新の回答を提供できると説明されている。一方、元記事が記載していた「1.2兆パラメータ」「GoogleのGeminiを基盤とするカスタムモデル」「Nvidia B200 GPU」「年間約10億ドルのライセンス料」という仕様や金額は、今回確認したAppleの公式発表では示されていないため、断定できない。

ニュースパブリッシャーとの契約は、Siriが参照できる最新情報の範囲と信頼性を高める取り組みと位置付けられる。ただし、契約交渉は継続中であり、参加するパブリッシャーや提供方法は公表されていない。

■過去の通知要約問題と信頼性

Appleは2024年、Apple Intelligenceの通知要約機能を提供した。この機能では、複数のニュース通知をAIが短くまとめた結果、元の報道と異なる内容が表示される事例が発生した。

広く報じられた事例では、UnitedHealthcareのBrian Thompson CEO殺害事件の被告であるLuigi Mangioneが自身を撃ったかのような誤った要約が、BBC Newsの通知に関連して表示された。また、逮捕状が出たというニュースをBenjamin Netanyahuが逮捕されたと要約するなど、事実関係を変えてしまう事例も報告された。

BBCは、AppleのAIによる要約が元のBBCコンテンツを反映せず、場合によっては完全に矛盾していると批判した。国境なき記者団も、信頼できる情報を受け取る公衆の権利に対する危険があるとして対応を求めた。

AppleはiOS 18.3などで、ニュースおよびエンターテインメント分野の通知要約を一時的に利用できないようにした。機能そのものをニュースアプリから恒久的に削除したと確認されたわけではなく、Appleは改善後に再び提供する方針を示していた。

この問題は、報道機関の名称が表示された通知をAIが不正確に要約した場合、利用者が誤った情報を報道機関自身の発信と受け取る可能性を示した。ライセンスを受けた最新コンテンツをSiriで利用する構想には、こうした問題の再発を防ぐ狙いもあると考えられるが、正確性を保証する具体的な仕組みは明らかになっていない。

■移行期にあるAIライセンス業界

ニュース企業とAI企業の間では、コンテンツの利用を認めるライセンス契約が相次いでいる。OpenAIはNews Corpと複数年契約を結び、WSJ、New York Post、Barron's、MarketWatchなどのコンテンツを対象としている。この契約は5年間で2億5000万ドル以上の価値があると報じられた。

AmazonもNYTと、Alexaなどの製品や基盤モデルでコンテンツを利用する契約を結んでいる。一方、NYTはOpenAIとMicrosoftに対し、記事を許可なくAIモデルの開発に使用したとして著作権訴訟を提起している。ライセンス契約を選ぶ媒体と、訴訟によって権利を主張する媒体に対応が分かれている。

Appleが検討している変動報酬モデルは、コンテンツが実際に使用された場合に支払いを行う点で、固定額中心の契約とは異なる。ただし、支払い単価、最低保証の有無、対象となる使用方法、計測結果を監査する権利などの条件は報じられていない。

Appleは、どのパブリッシャーが協議に参加しているかを明らかにしていない。WSJが関係者の話として報じたところでは、契約が正式にまとまるまで条件が変更される可能性がある。

パブリッシャーがこの方式を受け入れ、Appleが利用状況と報酬の算定方法について十分な透明性を確保できれば、AIによるニュースコンテンツ利用の対価を決める新たな方式となる可能性がある。一方、その影響は実際の契約条件と運用実績を確認するまで判断できない。

■注目ポイントQ&A

●Appleの提案する支払いモデルは、他のAIパブリッシャー契約とどう違うのですか?

Appleが提案していると報じられたのは、パブリッシャーのコンテンツがSiriで使用された場合に支払いを行う変動報酬モデルです。一定額で幅広いコンテンツ利用を認める契約とは異なり、利用状況が報酬に反映される点が特徴です。ただし、固定額の最低保証がないとは確認されておらず、具体的な条件は明らかになっていません。

●クエリ課金ライセンスとは何ですか?

この記事では、Siriの回答でパブリッシャーのコンテンツが使用された場合に、利用状況に応じて対価を支払う仕組みを指します。APIコールごとの課金に似た考え方ですが、Appleが具体的に何を1回の利用として数えるのか、どのように情報源を特定するのかは公表されていません。

●ニュース通知のAI要約では何が問題になったのですか?

2024年末から2025年初めにかけて、Apple Intelligenceがニュース通知を誤って要約し、元の記事にはない内容を表示する事例が報告されました。BBCなどの批判を受け、AppleはiOS 18.3などでニュースおよびエンターテインメント分野の通知要約を一時停止しました。今回報じられた契約はSiriにライセンス済みの最新情報を提供する構想ですが、それだけで誤回答を防げるかどうかは確認されていません。

●Apple News+のパブリッシャーにも同じ契約が適用されるのですか?

Apple News+と今回報じられたSiri向け契約は、対象となる製品と利用方法が異なる別の取り決めです。Apple News+に参加しているだけでSiri向け契約が自動的に適用されるとは報じられていません。対象媒体、収益分配の方法、最低保証や監査権の有無などは今後の契約条件によります。

元記事: Apple Proposes Pay-Per-Query Model in Nine-Figure Siri News Publisher Talks

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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