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米コムキャスト、モバイル回線が初の1000万件突破 Peacockは四半期初の黒字
米通信・メディア大手コムキャスト(Comcast)が2026年第2四半期決算を発表し、Xfinity Mobileの回線数が初めて1000万件を超えた。Peacockも2020年の開始以来初の四半期黒字を計上した。一方でブロードバンド契約者の減少は続いており、約1年後の完了が見込まれるNBCUniversalとSkyの分離を前に、事業ごとの明暗がより鮮明になっている。
■モバイルとPeacockが節目、分離を前に市場予想を上回る材料
Xfinity Mobileは2026年第2四半期に過去最高となる44万8000回線を純増し、Comcastの無線回線数は初めて1000万件を超えて1020万件に達した。3年前には660万回線だったことを踏まえると、伸びは大きい。
Peacockも2020年の開始以来初めて四半期ベースで黒字化し、売上高19億ドル(約3116億円、1ドル=164円換算)、調整後EBITDAは1億8900万ドル(約310億円)となった。牽引役となったのは、Telemundoによるスペイン語のFIFAワールドカップ中継と、リアリティー番組「Love Island USA」だった。
この発表を受け、米最大のケーブル事業者であるComcast(NASDAQ: CMCSA)の株価は木曜の時間外取引開始前におよそ3%上昇したが、その後反落し、通常取引では小幅安で引けた。
こうした節目は、Comcastが進める大規模な事業再編の最中に訪れた。NBC UniversalとSkyを独立した上場企業として非課税でスピンオフする計画を発表しており、完了はおよそ1年後になる見込みだ。今回の2026年第2四半期は、その発表後では初の四半期決算に当たる。結果として、将来それぞれ単独企業となる事業の土台は、投資家が織り込んでいたよりも強いものになった。
■決算の主要指標
2026年6月30日に終了した四半期の連結売上高は299億4000万ドル(約4兆9102億円)、調整後EBITDAは89億ドル(約1兆4596億円)、調整後EPSは1.04ドルだった。EPSはウォール街予想の0.97ドルを上回った。
フリーキャッシュフローは46億ドル(約7544億円)で、前年同期比2.3%増だった。株主還元は21億ドル(約3444億円)で、このうち配当が12億ドル(約1968億円)、自社株買いが9億ドル(約1476億円)だった。ただし会社分離のプロセスを管理するため、自社株買いはその後停止している。
最終利益は見かけ上、前年の111億ドルから35億ドルへ大きく減ったように見える。ただしこの比較は、2025年のHulu持ち分売却に伴う94億ドルの一時利益によって大きくゆがんでいる。2026年1月のVersantケーブルネットワーク事業のスピンオフと、2026年5月のSky Germany売却を調整したプロフォーマベースでは、売上高は実際には4.7%増加した。
■Xfinity Mobileはなぜ記録的な四半期になったのか
Xfinity Mobileの回線数は第2四半期に計1020万件を突破し、四半期の純増数は44万8000件だった。これは同社として過去最高の単四半期実績であり、2025年第2四半期の37万8000件増から一段伸びた。
増加ペースは急だ。2023年に660万件だった回線数は、2024年末には780万件となり、現在は1000万件を超えた。ただし、Comcastのブロードバンド提供エリア内で見た無線回線の浸透率はなお7%未満にとどまっており、Xfinity Mobileをまだ使っていない既存ブロードバンド顧客が大きな未開拓基盤として残っている。
記録更新の原動力は、新規および既存のブロードバンド契約者に対し、モバイル通信を1年間無料で提供する販促策だった。この施策をComcastが経済的に成立させられる理由は、同社の無線事業モデルにある。
■MVNOモデルとWi-Fiオフロードの仕組み
Xfinity MobileはMVNO(仮想移動体通信事業者)であり、自前で基地局を保有せず、Verizonの携帯通信網を卸料金で借りている。MVNO自体は珍しくないが、Comcastの特徴は、このVerizonの回線利用と、米国内2300万カ所超の自社Wi-Fiホットスポットへの自動オフロードを組み合わせている点にある。
顧客のスマートフォンが自宅のWi-Fi、Comcastブランドの拠点、あるいは提携ホットスポットにつながっている間は、Verizonの卸回線容量を使わない。つまり、Wi-Fi接続時間が長いほど、Comcastの1ユーザー当たり卸コストは下がる。
これが1年無料施策の採算ロジックだ。データ通信の大半を自宅やホットスポットのWi-Fiで使う顧客は、売上がゼロの1年間でもComcastの負担が比較的小さい。Xfinityホットスポットで最大ギガビット級の速度を提供する「WiFi PowerBoost」機能も、このオフロードを後押ししている。
2025年7月にはComcastとCharterが、既存のVerizonとの住宅向け契約とは別に、T-Mobileと新たな複数年のMVNO契約を締結した。これはComcast Business Mobileブランドの法人向け5Gサービス提供を目的とするもので、2026年に展開開始が見込まれている。これによりネットワーク冗長性は高まり、無線事業の対象は法人市場にも広がる一方、業界アナリストがVerizonにとって不利な契約になり得ると表現してきたVerizonとのMVNO関係には圧力もかかる。
無線サービス売上高は前年同期比14.2%増の10億700万ドル(約1651億円)となり、端末販売の増加を反映する無線機器売上高は28.8%増の4億400万ドル(約663億円)だった。無料1年の顧客が販促期間終了後にどの程度有料プランへ移行するか、また1回線当たり売上高がどの水準になるかは、第3四半期決算が初の本格的な試金石になる。共同CEOのBrian Roberts氏とMike Cavanagh氏は決算説明会で、無料回線の有料転換が始まる第3四半期には、無線サービス売上高とコンバージェンス指標の改善を見込んでいると述べた。
■ブロードバンドは減少幅こそ縮小も、構造的な圧力は続く
ブロードバンドは依然として最も構造的な逆風を受ける事業だ。2026年第2四半期の米国内住宅向けブロードバンド契約者数は16万7000件の純減で、2025年第2四半期の20万1000件純減より3万4000件改善したものの、減少は続いた。
収益面の基調はさらに厳しい。米国内ブロードバンド売上高は前年同期比5.5%減の62億8000万ドル(約1兆2999億円)となった。顧客流出に加え、平均顧客単価(ARPU)を意図的に引き下げていることが要因だ。Comcastは販売戦略を見直し、無線とのセット販売を前提に、シンプルな複数年の価格固定プランへ軸足を移した。ブロードバンド単価の低下を受け入れる代わりに、解約率の低下と、2サービス利用顧客の生涯価値向上を狙う。
この転換を迫っている競争は一時的ではなく構造的だ。T-MobileとVerizonを中心とする固定無線アクセス事業者は、全米で合計1500万件超の加入者を抱え、過去2年にわたりケーブル事業者の領域へ積極的に攻勢をかけてきた。Recon Analyticsの独立調査では、2025年1月から2026年3月までの数十万件規模の米国家庭向けインターネット回答を分析した結果、顧客満足度はケーブル事業者がブロードバンド技術の中で最も低く、ケーブルを離れた顧客の37.4%が光回線へ、14.3%が固定無線へ移ったとしている。
さらにAT&Tは2026年3月、1Gbpsの光回線と無制限無線サービスを定額で束ねる単一契約型バンドル「OneConnect」を開始し、Comcastのコンバージェンス戦略に正面から対抗した。
無線サービスはブロードバンド売上高の前年同期比減少分のおよそ3分の1を埋め合わせた。一方、法人向け接続サービスを扱うBusiness Services Connectivityは明確な好調分野で、売上高は3.7%増の26億7000万ドル(約4379億円)、調整後EBITDAは5.0%増の15億2000万ドル(約2493億円)、EBITDAマージンは56.7%へ拡大した。
■Peacockは開始6年で初の四半期黒字
今回の決算で象徴的な意味合いが最も大きいデータの1つは、Peacockが黒字化したことだ。少なくともこの2年、黒字化は常に目前にあるようで実現していなかった。
2026年第2四半期のPeacockは売上高19億ドル(約3116億円)、調整後EBITDAは1億8900万ドル(約310億円)だった。有料契約者は200万人純増し、合計4800万人に達した。前年同期比でみると収益改善幅は2億9000万ドルで、2025年第2四半期は1億100万ドルの調整後EBITDA赤字だった。Reutersによると、有料契約者の純増200万人は、アナリスト予想のおよそ50万人の約4倍に当たる。
追い風となったのは、ライブスポーツと人気リアリティー番組が重なったことだ。Peacockは、米国、カナダ、メキシコの共催となった2026年FIFAワールドカップについて、Telemundoのスペイン語中継を配信した。開催国である米国では多くの試合がゴールデンタイムに組まれ、視聴を押し上げた。
同社の公式リリースによると、この大会はスペイン語メディア史上で最も視聴されたサッカー中継上位10試合を生み、スペイン対アルゼンチンの決勝だけでTelemundoとPeacockを合わせ2390万人を集めた。全104試合を通じたTelemundoの平均視聴者数は630万人で、2022年大会比143%増だった。大会全体では、Comcastのより広いメディア部門に4億4000万ドル(約722億円)の増収効果をもたらした。
NBAプレーオフと「Love Island USA」も、ワールドカップ期間外を含めて契約者増の勢いを支えた。ただし共同CEOのMike Cavanagh氏は、Peacockの利益はスポーツ日程とコンテンツ投入時期によって四半期ごとに変動すると投資家に注意を促している。ワールドカップやNBAプレーオフのない2026年第3四半期に、第2四半期の利益水準が自動的に再現されるわけではない。
■スタジオは好調、テーマパークはやや軟調
映画スタジオ事業は非常に強い四半期となった。「The Super Mario Galaxy Movie」は年初来の世界興行収入が10億ドル(約1640億円)を突破し、マリオ関連作品の劇場興行収入累計は20億ドル(約3280億円)を超えた。低予算のインディー系スリラー「Obsession」は世界興行収入4億ドル(約656億円)超となり、Focus Featuresの同レーベル史上最高の興行成績となった。スタジオ売上高は25%増の30億ドル(約4920億円)、調整後EBITDAは前年の6100万ドルから2億200万ドル(約331億円)へ3倍超に増えた。
一方、コンテンツ&エクスペリエンス部門で唯一やや弱かったのはテーマパークだった。売上高は2.7%増の24億1000万ドル(約3952億円)にとどまり、EBITDAはわずかに低下した。経営陣は短期的な弱さの背景としてマクロ経済要因を挙げつつ、2025年5月にオーランドで開業した大規模新テーマパーク「Epic Universe」を含む長期的な機会には自信を示した。
■NBCUniversal分離後の姿
今回の第2四半期決算は、Comcastが2026年6月29日にNBCUniversalとSkyを独立上場企業として非課税スピンオフすると発表して以降、初めて公表した決算だ。スピンオフ完了は約1年後の見込みで、規制当局の承認、取締役会の承認、税務意見、資金調達の手配が条件となる。
分離後、新たな独立NBCUniversalには、NBCとTelemundoの放送ネットワーク、Peacock、Bravo、Universalの映画・テレビスタジオ、Universalテーマパーク、Skyが入る。残るComcastは、ブロードバンド、無線、法人向けサービスに注力する。現在Comcast共同CEOのMike Cavanagh氏が新NBCUniversalのCEOに就き、Comcastの元CFOであるMichael Angelakis氏が残るComcastを率いる。Brian Roberts氏は両社の経営に引き続き深く関与する。
Comcastは、スピンオフ完了後もNBCUniversal株を最大19.9%、最長1年間保有する計画で、時間をかけて税効率の高い形で資金化する意向だ。
分離の戦略的な理屈は、四半期を追うごとに明確になっている。今回の第2四半期決算は、ブロードバンド、無線、法人向けサービスからなる接続事業が、単四半期で46億ドル(約7544億円)という安定したフリーキャッシュフローを生み出している一方、メディアとエンターテインメント資産は、黒字化したPeacockと回復したスタジオ事業を含め、ヒット依存の上振れ余地を持つことを示した。こうした性質の異なる事業を、規制色のあるインフラ事業と同時に市場が評価するのは容易ではない。
停止した自社株買いは、分離の資金手当てに伴う実務上の対応を反映したものであり、事業運営の健全性に対するシグナルではない。
■注目ポイントQ&A
●Xfinity Mobileはどのネットワークを使い、なぜ1年間無料を提供できるのですか?
Xfinity MobileはMVNOとしてVerizonの携帯通信網を借りて運営されています。同時に、米国内2300万カ所超のComcastのWi-Fiホットスポットへ自動的にオフロードする仕組みがあり、自宅やホットスポットのWi-Fi利用中はComcastに卸の携帯回線コストがほぼ発生しません。このため、通信の多くをWi-Fiで行う顧客であれば、1年間無料でも採算を取りやすい構造です。施策の狙いはブロードバンド顧客を無線へ引き込むことであり、無料期間終了後にどれだけ有料転換するかが第3四半期の焦点になります。
●Peacockの初の四半期黒字は、安定黒字化を意味しますか?
まだそうとは限りません。2026年第2四半期の1億8900万ドルの調整後EBITDA黒字は、FIFAワールドカップ、NBAプレーオフ、「Love Island USA」が重なったことに大きく支えられました。Mike Cavanagh氏も、利益はスポーツ日程やコンテンツ時期によって四半期ごとに変動すると説明しています。ワールドカップやNBAプレーオフのない第3四半期は低い水準になる見通しで、第2四半期はスポーツ中心戦略が規模と黒字を生み得ることを示した一方、閑散期にもそれを継続できるかはなお見極めが必要です。
●回線品質評価が高いのに、なぜブロードバンド契約者が減っているのですか?
競争要因が、もはや単純な通信性能だけではないためです。T-MobileやVerizonの固定無線アクセスは、契約のシンプルさや低価格を武器に加入者を拡大しています。AT&TのOneConnectも、光回線と無制限無線の定額セットとして、価格とサービス統合の両面でComcastと競合します。今回の記事の本論では、契約者減少の背景をこうした構造的競争に求めています。
●NBCUniversalのスピンオフ中、既存顧客への影響はありますか?
Xfinityのブロードバンド、無線、法人向けサービスの顧客に、直ちに何かが変わるわけではありません。分離されるのは企業の所有構造であり、配信や販売の関係そのものではありません。残るComcastは商業契約に基づいてNBCUniversalのコンテンツを引き続き扱うため、顧客側でサービス中断が起きる想定ではありません。手続きには約1年を要する見込みで、規制当局や取締役会の承認などが必要です。
元記事: Comcast Crosses 10 Million Wireless Lines, Peacock Posts First-Ever Quarterly Profit
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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