トヨタのここにきての「株主優待策」実施の意図はどこにあるのか!?

2025年10月26日 20:32

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 トヨタ自動車(7203、東証&名証プライム市場)が今年3月、株主優待策を開始することは知っていた。保有株数&保有期間に応じ、トヨタ版:電子マネー(TOYOTA Wallet)を供給するというもの。

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 スマホのアプリを介し、トヨタの販売店や、所定のスーパー、コンビニなどでサービスが享受できる、かつ「富士スピードウェイの耐久レース向けのペアチケット」を供与という枠組みだ。

 その際は「こんな時価総額が大きい会社は、株主優待など実施しないはずだが」と思いながら、右から左に聞き流していた。しかし7カ月余りが過ぎた10月21日、ダイヤモンドオンラインで『トヨタはなぜ「太っ腹」な株主優待を始めたのか?「そりゃそうだ」と思える納得の理由』という記事に出会った。

 それも著者は株主優待交換サイト「プレミアム優待倶楽部」を運営する、ウィルズ(4482、東証グロース市場)のCEO:杉本光生氏。一読し、改めてトヨタに関する株主関連の動きを調べてみた。関心を覚えたのは、以下の2点だった。

<外国人持ち株比率>: 昨年5月13日で4分の1を超えていた(今年3月末で24.96%)。トヨタは「トランプ関税下」でも名実ともに、世界第1位の自動車メーカー。外国人投資家の持株比率が高まるのは当然と言える。が、周知の通り外国人投資家は「配当」最重視。株主優待策の類は「ノーサンキュー」。機に応じては「資金は配当に回すべき」という提案を株主総会に持ち出してもくる。では、株主優待策は何故なのか。

 逆に考えれば「もの言う株主」になりかねない、経営の独立性が危機に晒されかねない「外国人株主比率上昇」に対する警戒策!?・・・

<少子化対策>: 少子高齢化の進捗に、トヨタが危惧を抱いている・・・。とりわけ国内の自動車需要を支える若者層の取り込み。若者の「トヨタ需要」を盛り上げるための、そのココロに矢を射るような株主優待策。言い換えれば「外国人持ち株比率」の頭を抑え、国内の若者をとらえる施策。

 あながち的外れではないと思うがいかに・・・。

 そこで改めて、これまで一度も対峙したことがない「株式投資の対象:トヨタ」を俎上に載せてみた。

 本稿作成中の株価は、3000円トビ台。予想税引き後配当利回り2.5%余り。年初来高値3127円(1月7日)から安値2226円(4月7日)まで下押した後の戻り場面。IFIS目標平均株価3270円を勘案すると「◎」とは言えないかもしれないが「〇」か、過去9年10カ月弱の修正済み株価パフォーマンスは2倍強・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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