過去3年で最も下落した投信は「資源ツインαファンド(レアル)」 82%減に

2020年5月16日 08:39

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 筆者が投資情報会社「モーニングスター」で確認したところ、過去3年間で最も下落した投資信託はT&Dアセットマネジメントの「資源ツインαファンド(通貨選択型)レアル」だった。

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 同投信の3年間の下落率は約82%で、2015年の設定からでは約90%の下落だ。14日の基準価額は170円となり、時価総額はわずか9,000万円となっている。

 同投信は「原油」と「金」、および米ドル・円の「通貨」カバードコール戦略を基本とし、さらに米ドル・ブラジルレアルの為替取引を行っている。

 原油とブラジルレアルの下落が損失の主な原因で、金価格の上昇もカバードコール戦略で恩恵が限定されたようだ。

■先物の値下がりがオプション収入を超える

 カバードコール戦略は、先物の買いと同時に、同指数のコールオプションを売却する投資戦略だ。値上がり益を放棄する一方、オプション売りによる収入(オプション料)が期待できる。

 カバードコール戦略は恒常的なインカム収入がある一方、値上がり益は放棄しているため、価格の上下が小さい相場で最も効果を発揮する。下落局面でもオプション収入があるが、それ以上に先物が下落すると損失が発生する。

 損失の主な原因となったと考えられるのが原油だ。2017年5月のWTIは約48ドルだが、14日は27.73ドルで取引を終えている。約42%の下落で、先物の損失をオプション収入で補うことができなかったようだ。

 また通貨選択の部分にあたるブラジルレアル買い・米ドル売り取引も損失の原因となったようだ。2017年5月は1レアル0.31ドルだったが、現在は約0.17ドルと、約45%安いレートで推移している。通貨選択の収入以上に、為替の損失が発生した可能性が高い。

■カバードコールは値上がりの恩恵受けづらい

 金価格は過去3年間で約36%上昇したが、カバードコール戦略を取っているため値上がりの恩恵が受けられない。同投信の場合、金の投資比率が原油の3分の1程度となっている点も災いした。

 カバードコール戦略は、価格の上昇も下落も見込めない相場で最も効果を発揮する。しかし、値上がり益を放棄している点、また値下がり局面では損失が発生する可能性に注意が必要だ。(記事:ファイナンシャルプランナー・若山卓也・記事一覧を見る

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