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イスラエル・イラン紛争で、気になる原油価格の行方は?
●イスラエルがイラン攻撃で原油価格急上昇
6月13日にイスラエルがイランの核施設を空爆して始まったイスラエルとイランの抗争は、イランも徹底抗戦を続けており、収束はまだ見えない。
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イスラエルの攻撃により、イランでは科学者や軍幹部が殺害された。両国の紛争により、中東情勢悪化の懸念からWTI原油先物が一時8%近く上昇し、北海ブレントも4%上昇するなど、緊張感が高まっている。
トランプ米大統領は、SNSでイランに対して“無条件降伏”を要求。イラン側は最高指導者ハメネイ師が「イランは決して降伏しない。シオニスト(イスラエル)を罰しなければならない」と主張するなど、混沌としている。
2023年10月から続く、イスラエルとイランが支援するイスラム組織ハマスとの紛争は、新たな局面を迎えた。原油価格の上昇が続き、世界経済への影響も懸念される。
●追い込まれているイラン
イラン側は、施設が攻撃を受けて壊滅的な打撃を受けたことで、劣勢は明白と見られている。
米国ウォールストリートジャーナルは、イランが敵対行為の停止や核協議の再開を、アラブ諸国を通じて米国やイスラエルに呼び掛けていると報じた。
トランプ大統領も、イランがイスラエルとの対立緩和の話し合いを望んでいると発言し、これらの動きがリスク後退と受け取られ、WTI原油先物が1.7%下落する場面もあった。
●短期での決着も!?米国の参戦も?
イラン側の戦力は見通せないが、イスラエルの攻撃により、ミサイル発射装置の4割が破壊されたとの見方もある。
一部の報道では、イラン側が長期戦は得策でないと判断している可能性も報じられている。
ただし、双方ともに引くに引けない事情がある。
イスラエル世論は今回の攻撃を7割が支持している。政権運営に苦慮しているネタニヤフ政権にとって、あっさりと矛を収めると政権崩壊の恐れもある。
イランにとっても弱気な姿勢は国内からも批判を浴び、体制が転覆するリスクもあり、交戦を継続するのか譲歩するのか悩ましいところではある。
最悪な事態はホルムズ海峡封鎖ではあるが、それはイランにとっても自殺行為であり、そこまで踏み切ることは考えづらい。
米国も軍事介入の可能性も示唆しており、2週間以内に決断すると声明を出している。
落としどころを探る駆け引きは続きそうで、米国の参戦次第ではあるが、原油価格もWTIでは70ドル~80ドルでの攻防となりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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