NASAのオーロラ観測ロケット、打ち上げ期間を再設定

2019年3月23日 20:04

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アラスカから撮影されたオーロラの様子。(c) Dora Miller

アラスカから撮影されたオーロラの様子。(c) Dora Miller[写真拡大]

 NASAは、オーロラゾーン上昇ロケット実験(AZURE)の打ち上げ期間を、3月23日から4月10日に再設定したことを発表した。この打ち上げミッションは当初、2018年3月に予定されていたが、悪天候のために中止となっていた。

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 AZUREは、地球の磁力線が集中する極カスプと呼ばれる部分で起こるプロセスについて調査を行う。高度に関しては、地球の表面から100キロメートルから500キロメートルにある電離層に注目している。

■オーロラとは
 オーロラは極地の空に見られる神秘的な発光現象として知られる。実は、オーロラの美しい光は、太陽風と地球の磁気圏・大気圏との攻防がもたらしている。

 太陽風とは太陽から飛来する荷電粒子の軍勢である。地球に進撃してくる太陽風は地球を取り巻く磁気圏という磁場の壁によってさえぎられ、進路を曲げらる。しかし太陽風は、膨大なエネルギーを持つため、一部の粒子は磁気圏のすき間をかいくぐり、磁力線に沿って地球の極地の大気圏に侵入。ここで太陽風の粒子と地表を守る最後の砦である大気の粒子が衝突する。この衝突によって酸素原子や窒素分子が発光する。これがオーロラである。

■電離層
 オーロラは、地表からの高度80キロメートル~500キロメールで発生する。500キロメールと超えると大気がまばらで衝突する粒子がほとんどない状態となるため、オーロラは発生しない。また80キロメールより下には、太陽風の荷電粒子は入ってこられない。それまでに大気の粒子と衝突するからである。

 このオーロラが発生する領域は電離層と言われる自由電子が多いエリアと一致している。この層では、大気中の酸素や窒素の原子・分子が太陽光に含まれる紫外線を吸収し、そのエネルギーによって電子を放出している。この電離層の粒子の動きを把握することはオーロラの影響を本当に理解するためには不可欠である。

 AZUREによる観測結果は、オーロラエネルギーがどこにどのように堆積されるかを明らかにし、オーロラの力が大気に及ぼす影響をよりよく理解するための鍵となるだろう。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る

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