SEMICON Taiwan 2026開幕、AI半導体の焦点は演算性能から「データ転送」へ

2026年9月2日 00:10

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記事提供元:Tech Times

半導体の国際展示会「SEMICON Taiwan 2026」に先立つフォーラムが、2026年8月31日に台湾・台北で始まった。9月2日から4日までのメイン展示と合わせ、AI半導体を支える先端製造、シリコンフォトニクス、広帯域メモリ、異種統合、先端パッケージングなどが議論される。

AIシステムの性能を左右する要素は、個々のチップの演算能力だけではない。多数のアクセラレータやメモリ、ネットワークスイッチの間で大量のデータを移動させるための帯域幅、遅延、消費電力が、システム全体の性能と規模を制約する重要な課題になっている。

■過去最大規模で開催

SEMICON Taiwan 2026のメイン展示は、9月2日から4日まで台北南港展覧館のホール1とホール2で開催される。国際フォーラムは8月31日に始まり、展示最終日の9月4日まで続く。

主催するSEMIによると、2026年は1,300社を超える出展企業が4,300以上のブースを構え、65カ国から10万人を超える専門家の参加を見込む。出展企業数とブース数はいずれも過去最高となる見通しだ。会場では量子技術、スマートファブ、チップレットなどの新たな専門エリアも設けられる。

AIと高性能コンピューティングの需要拡大は、半導体製造への投資も押し上げている。SEMIの2026年第2四半期時点の見通しでは、世界の300mmファブ向け前工程装置投資は2026年に1,420億ドルに達すると予測されている。1ドル=160円で換算すると約22兆7,200億円となる。

■AIシステムで重みを増すデータ転送

大規模なAIシステムでは、多数のGPUや専用アクセラレータを接続し、計算途中のデータを継続的にやり取りする。演算器の処理能力を高めても、アクセラレータ間やメモリとの間で十分な速度のデータ転送ができなければ、システム全体の性能を引き出せない。

電気信号を使う接続では、伝送速度と距離が大きくなるにつれて信号損失への対処が難しくなる。高速なSerDesでは、信号を補償する等化回路や再生成するリタイマーなども必要になり、それらが消費電力や実装面積を増やす要因となる。

もっとも、AIシステム内の銅配線が一斉に光接続へ置き換わるわけではない。サーバー内やラック内の短距離接続では銅配線が引き続き重要であり、より長い距離や高い帯域幅を必要とする部分では光接続が使われる。用途と距離に応じて電気接続と光接続を組み合わせることが、システム設計の中心的なテーマになっている。

■CPOで電気信号の経路を短縮

こうした課題への対応策として注目されているのが、CPO(Co-Packaged Optics)である。CPOは、光信号を送受信する光エンジンをネットワークスイッチ用ASICなどの近くに配置し、パッケージ内または同一モジュール内で統合する技術だ。

従来の着脱式光トランシーバーでは、ASICから基板上の電気配線を経由して前面パネルのトランシーバーまで信号を送る。CPOでは光変換をASICの近くに移すことで、高速な電気信号が通る距離を短くできる。これにより、帯域幅の拡大とデータ転送に伴う消費電力の抑制を両立しやすくなる。

一方、光回路と電子回路を近接して実装するには、製造、組み立て、熱管理、光ファイバーとの接続、ウェーハ段階での検査などを一体的に設計する必要がある。CPOの普及は光素子の性能だけでなく、量産時の歩留まりや検査方法、パッケージングを含むサプライチェーン全体に左右される。

■TSMCのCOUPEも量産化が焦点

TSMCは、電子回路と光回路を異種統合するプラットフォーム「COUPE(Compact Universal Photonic Engine)」を開発している。電子ICとフォトニックICを近接して統合し、AIや高性能コンピューティングに必要な高速・低消費電力の光接続に対応する構想だ。

TSMCの公開情報では、同社の65nmシリコンフォトニクス技術はすでに量産されており、シリコンフォトニクスと高性能コンピューティング向け半導体を組み合わせる3D積層技術の開発も進められている。COUPEについては2026年中の量産開始が見込まれていると報じられているが、具体的な顧客製品や生産規模は明らかになっていない。

量産化に向けては、ウェーハレベルの検査、光ファイバーを接続するファイバーアレイユニット、高速光パッケージの組み立てなどが重要な課題となる。SEMICON Taiwan 2026のSilicon Photonics Global Summitでは、システム設計から光部品、製造装置、検査、パッケージングまで、シリコンフォトニクスを構成する各層が取り上げられる。

■先端プロセスと異種統合を一体で議論

8月31日のIC Forumでは、FinFETからGAAナノシートへのトランジスタ構造の移行、背面電源供給、High-NA EUV露光、原子層堆積、エッチング、EDAなど、次世代AI半導体を支える技術が議題となった。

一方、異種統合では、異なるプロセスで製造した演算、入出力、メモリ、光通信などのダイを一つのパッケージに組み合わせる。すべての機能を最先端プロセスの単一ダイに載せるのではなく、機能ごとに適した製造技術を選べることが特徴だ。

SEMICON Taiwan 2026では、Heterogeneous Integration Global Summitや3DIC Global Summit、FOPLP Innovation Forumを通じ、チップレット間の接続、3D積層、放熱、基板、検査、ファンアウト型パッケージングなどが議論される。

■メモリもシステム設計の一部に

AIでは、演算器だけでなく、学習や推論に必要なデータを供給するメモリの帯域幅と容量も重要になる。特にHBMは、GPUなどの演算器の近くに複数のDRAMを積層し、広いインターフェースを通じて大量のデータを転送する。

9月1日のMemory Executive Summitには、Google、Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology、Sandisk、Phison Electronics、Macronix、d-Matrix、Solidigmなどの関係者が登壇する。メモリを単独の部品として扱うのではなく、演算器、ソフトウェア、パッケージングを含むシステム設計の早い段階から最適化することが主要なテーマとなる。

異種統合、HBM、3D積層、シリコンフォトニクスは別々の技術分野に見えるが、AIシステム内でデータを必要な場所へ効率よく運ぶという点で共通している。SEMICON Taiwan 2026のフォーラム構成は、半導体の競争軸が単一チップの微細化だけでなく、複数のチップをどのように接続し、システムとして機能させるかへ広がっていることを示している。

■9月2日にメイン展示とCEOサミット

9月2日にはメイン展示が開幕し、CEO SummitとEcosystem Executive Summitが初めて終日形式で開催される予定だ。GoogleのAI・インフラストラクチャ担当シニアバイスプレジデント兼チーフテクノロジストであるAmin Vahdat氏が、アジアで初となる公開基調講演を行う。

午後にはMicrosoft、Micron Technology、Broadcom、Infineon Technologies、Meta、NVIDIAの幹部が登壇し、クラウド基盤、アクセラレーテッドコンピューティング、メモリ、光インターコネクト、電力、システム共同設計などを取り上げる予定だ。

最終セッションでは、MediaTek、TSMC、ASE、Unimicron Technology、Foxconnの幹部が、IC設計、ウェーハ製造、組み立て・検査、基板、電子機器製造にまたがる台湾のサプライチェーンについて議論する。

会期後半には、先端テスト、材料、計測、半導体サイバーセキュリティ、エネルギー、持続可能性などを扱うフォーラムも予定されている。AI半導体の性能を実際のシステムで引き出すには、チップの設計や製造だけでなく、接続、メモリ、電力、冷却、検査を含む技術基盤の協調が欠かせない。SEMICON Taiwan 2026は、その競争がチップ単体から半導体エコシステム全体へ広がっていることを映す場となる。

元記事: SEMICON Taiwan 2026 Kicks Off: AI Chips’ Bottleneck Is Wires Connecting Them

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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