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AI企業Anthropicが、英AIインフラ企業Nscaleから6年間にわたり約460メガワット(MW)の計算能力を借りる契約を結んだと、Bloombergやロイター、CNBCが報じた。契約総額は約450億ドル(約7兆1,550億円、1ドル=159円換算)で、米ウェストバージニア州のモナーク・コンピュート・キャンパスにNvidiaの次世代AI基盤「Vera Rubin」を導入し、2027年後半の利用開始を予定しているという。
Nscaleの株主であるノルウェーのAker ASAは、同キャンパスで約450億ドルの計算能力契約が成立したと開示したが、顧客名は明らかにしていない。NscaleとAnthropicも契約の詳細を公式発表しておらず、Anthropicが顧客であることや460MW、6年間という条件は、事情を知る関係者に基づく報道である。
■Microsoftの意向表明からAnthropicとの大型契約へ
モナーク・コンピュート・キャンパスでは当初、Microsoftが最大1.35ギガワット(GW)のAI計算能力を利用する計画だった。Nscaleは2026年3月、Microsoftとの意向表明書を締結したと発表し、NvidiaのVera Rubin NVL72を使った設備を2027年後半から段階的に提供する方針を示していた。
意向表明書は最終的なサービス契約ではなく、当事者間の基本的な方針や交渉内容を示す文書である。Bloombergなどによると、Microsoftは2026年夏にモナークでの計画を進めないことを決め、Anthropicが第1期の最初の建物に相当する約460MWを借りることになったという。
Microsoftが計画を見送った理由は公表されていない。したがって、同社のAI投資全体の縮小や、モナーク特有の事情が原因だったと現時点で判断することはできない。
今回報じられた460MWは、キャンパス第1期に計画されている3棟のうち1棟分に当たる。残る設備については2028年までの整備が想定されているが、建設状況や必要な許認可、機器の供給によって予定が変わる可能性がある。
■最大8GW超を想定するモナーク・キャンパス
モナーク・コンピュート・キャンパスは、ウェストバージニア州メイソン郡にある最大2,250エーカー、約9.1平方キロメートルの敷地で開発されている。Nscaleは2026年3月、American Intelligence & Power Corporationの買収を通じて同キャンパスを取得した。
Nscaleは、同拠点を米国初の州認定AIマイクログリッドと説明し、将来的には8GWを超える電力供給能力へ拡張できるとしている。同社の計画では、データセンターと発電設備を一体的に整備し、大規模なAI学習や推論に必要な電力と計算能力を提供する。
報道によると、第1期のデータセンターと専用発電設備を含む開発費は約710億ドル(約11兆2,890億円)に達し、そのうち約470億ドル(約7兆4,730億円)がAIチップに充てられる見通しだ。いずれも将来の建設・調達計画に基づく推計であり、実際の支出額は設備構成や導入時期によって変動し得る。
■Vera Rubin NVL72を460MW規模で導入
Anthropic向けと報じられた設備には、NvidiaのVera Rubin NVL72が使われる見込みだ。NVL72は、1ラックに72基のRubin GPUと36基のVera CPUを統合し、液冷方式を採用する大規模AIシステムである。
Nvidiaの公表値では、1ラック当たり最大3.6エクサフロップスのNVFP4推論性能と、最大2.52エクサフロップスのNVFP4学習性能を備える。これらは低精度演算を用いた理論上の最大値であり、実際の処理性能はAIモデルやソフトウェア、システム構成によって異なる。
記事公開時点ではVera Rubinの生産システムが顧客への導入段階に入りつつあるものの、モナークが必要とする460MW規模の設備は今後整備される。Anthropicが利用を始める時期について、関係者は2027年後半を見込んでいると報じられている。
■天然ガス中心の自家発電設備を計画
モナークでは、地域の商用電力網とは別に、大規模な自家発電設備を設ける計画だ。ウェストバージニア州環境保護局への許可申請によると、第1期は天然ガスを燃料とするレシプロエンジン864台を中心に、非常用電源や消防設備、暖房などに使う天然ガス・ディーゼル設備120台を追加し、発電容量を合計2.16GWとする。
自家発電方式には、大規模な送電網接続を待たずに電源を整備しやすく、既存の電力利用者への負担を抑えられるという事業者側の狙いがある。一方、大量の天然ガスを継続的に使用するため、温室効果ガスや大気汚染物質、騒音などの環境影響が審査対象となる。地元住民や環境団体からも、排出量や生活環境への影響を懸念する意見が出ている。
ウェストバージニア州では、2025年成立の州法House Bill 2014によって、認定マイクログリッド制度と大規模データセンター向けの枠組みが設けられた。同法は州による認定や規制の仕組みを定める一方、認定された施設に対する自治体の土地利用規制などを制限している。
■450億ドル契約はNscaleのIPO計画にも影響
Nscaleは米国での新規株式公開を検討しており、早ければ2026年9月にも実施する可能性があると報じられている。ただし、上場時期は正式に確定しておらず、準備状況や市場環境によって延期される可能性もある。
同社は上場候補の投資家に対し、複数年契約を合計した契約済み売上高が約510億ドル(約8兆1,090億円)に達すると説明していた。一方、Anthropicが顧客と報じられた450億ドルの契約が、この510億ドルに含まれているかどうかは明らかになっていない。
契約済み売上高は、将来の複数年契約の総額であり、会計上すでに売上高として認識された金額ではない。報道によると、Nscaleの実際の売上高は2025年通年で約3,300万ドル(約52億4,700万円)、2026年第1四半期で約3,700万ドル(約58億8,300万円)、第2四半期で1億ドル(約159億円)超だった。
第2四半期の売上高を単純に年換算すれば4億ドル超となるが、契約済み売上高との単純比較には注意が必要だ。大型契約から売上高を得るには、データセンターを完成させ、発電設備やAIシステムを稼働させて顧客へのサービス提供を始める必要がある。
Nscaleは2026年3月、Aker ASAと8090 Industriesが主導するシリーズCで20億ドル(約3,180億円)を調達し、企業評価額は146億ドル(約2兆3,214億円)となった。Nvidia、Dell、Lenovo、Nokiaなどもこの資金調達に参加している。
■Anthropicが将来の計算能力を先行確保
AnthropicはClaudeやコーディング支援ツールClaude Codeの利用拡大に対応するため、複数の半導体メーカーやクラウド・インフラ企業との契約を進めている。今回のNscaleとの取引も、稼働開始より1年以上前に将来の計算能力を確保する取り組みの一つと位置付けられる。
ただし、450億ドルは6年間の契約総額であり、契約時に全額を一括して支払う投資額を意味するものではない。また、Nscaleの設備が完成する前の段階にあるため、最終的な供給量や利用開始時期は、建設、電源、許認可、Vera Rubinシステムの調達状況に左右される。
Nscaleにとっては、モナークの最初の建物を利用する大口顧客を得ることで、同拠点の需要を示せる。一方、Anthropicにとっては、今後必要となるAI計算能力の供給先を分散する効果がある。両社の計画が予定通り進むかどうかは、2027年後半までの設備整備とサービス開始が焦点となる。
■注目ポイントQ&A
●AnthropicとNscaleの契約は正式に確認されていますか?
Aker ASAは、Nscaleがモナーク・キャンパスで約450億ドルの計算能力契約を獲得したと開示しています。ただし、顧客名は公表していません。Anthropicが顧客であること、契約期間が6年間であること、約460MWを利用することは、関係者への取材に基づきBloomberg、ロイター、CNBCなどが報じています。
●Microsoftは1.35GW分の正式契約を解除したのですか?
正式契約の解除と確認されているわけではありません。NscaleとMicrosoftが2026年3月に発表したのは、最大1.35GWの提供に向けた意向表明書です。その後、Microsoftが計画を進めないことにしたと報じられていますが、理由は公表されていません。
●510億ドルの契約済み売上高は、すでに得た売上高ですか?
いいえ。複数年契約から将来得る予定の総額で、すでに会計上認識された売上高とは異なります。また、今回の450億ドルの契約が510億ドルの数字に含まれているかどうかも明らかになっていません。
●Anthropicはいつからモナークの計算能力を利用できますか?
報道では2027年後半からの利用開始が見込まれています。約460MWは第1期の最初の建物に相当しますが、稼働時期は建設や発電設備、許認可、Vera Rubinシステムの供給状況によって変わる可能性があります。
●モナークの電力はすべて天然ガスで賄われますか?
主力となる864台の発電エンジンは天然ガスを使用する計画です。これとは別に予定されている120台には、天然ガス設備だけでなく、非常用電源や消防設備などに使うディーゼル設備も含まれます。
元記事: After Microsoft Exited, Anthropic Signed $45B Deal Anchoring Nscale’s IPO
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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