米ロビンフッド株、暗号資産取引の減速で100ドル割れ―NFL予測市場と州規制を巡る司法判断が焦点

2026年8月18日 21:31

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記事提供元:Tech Times

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米オンライン証券ロビンフッド・マーケッツの株価は、2026年8月17日の終値で96.25ドルと100ドルを下回った。暗号資産取引が減速する一方、イベント契約を扱う予測市場は急速に収益源としての存在感を増している。9月9日に開幕するNFLの取引需要と、予測市場に州の賭博規制を適用できるかを巡る司法判断が、今後の事業成長を見極める材料となる。

■暗号資産取引の減速はロビンフッド以外にも波及

ロビンフッドが公表した2026年7月の月次データによると、暗号資産の想定取引高は109億ドルで、前年同月比62%減、前月比33%減となった。内訳はロビンフッドのアプリ経由が43億ドル、傘下の暗号資産取引所ビットスタンプ経由が66億ドルだった。

同社の暗号資産関連収益は、2026年第2四半期にも前年同期比38%減の1億ドルとなっている。暗号資産取引の減速が、ロビンフッドの取引関連収益に対する逆風になっていることは明確だ。

同様の動きはスイスのオンライン銀行スイスクオートでも確認できる。同社の2026年上半期の暗号資産純収益は、前年同期の4,310万スイスフランから66.2%減の1,460万スイスフランとなった。暗号資産取引高も前年同期比63.5%減の25億8,000万スイスフランに縮小した。

スイスクオートは、暗号資産価格の下落や顧客の取引参加の減少などを受け、2026年の純収益見通しを従来の7億6,000万スイスフランから約7億3,000万スイスフランへ引き下げた。異なる顧客層と事業構造を持つ両社で暗号資産取引が大幅に減少していることは、市場環境が複数の取引プラットフォームに影響していることを示す。

もっとも、2社の減少率が近いことだけで、ロビンフッド固有の要因が存在しないと断定することはできない。今後は暗号資産市場全体の動向に加え、ロビンフッドのアプリとビットスタンプの取引状況を分けて見る必要がある。

■予測市場は暗号資産を上回る収益源に

暗号資産が減速する一方、ロビンフッドでは予測市場で売買されるイベント契約が急成長している。イベント契約とは、スポーツの勝敗や経済指標など、将来の出来事の結果に応じて決済されるデリバティブである。

2026年第2四半期のイベント契約収益は1億5,600万ドルとなり、暗号資産の1億ドルと株式の1億2,900万ドルを上回った。第1四半期と第2四半期を合わせたイベント契約収益は約2億6,000万ドルとなる。

バーンスタインのアナリスト、ガウタム・チュガニ氏は、ロビンフッドの2026年通期の予測市場収益を5億8,600万ドルと予想している。この予想に達するには、単純計算で下半期に約3億2,600万ドルの収益が必要になる。ただし、これはロビンフッドが示した業績目標ではなく、特定のアナリストによる予想である。

7月に取引されたイベント契約は61億件で、6月から5%減少した一方、前年同月の20倍に増えた。FIFAワールドカップ開催期間中の水準からは減速したものの、前年との比較では依然として大幅な拡大が続いている。

■9月9日開幕のNFLが次の需要を試す

2026年のNFLレギュラーシーズンは、9月9日のシアトル・シーホークス対ニューイングランド・ペイトリオッツ戦で開幕する。全18週、272試合の日程が組まれており、各チームは17試合を戦う。

NFLは試合が毎週開催されるため、予測市場にとって単発の大会とは異なる継続的な取引機会になる。レギュラーシーズンに加え、プレーオフとスーパーボウルまで取引需要が続く可能性がある。

一方、NFL関連の契約取引がどの程度の収益を生むかは、現時点では見通せない。契約数が増えても、契約の種類や料金、取引経路によってロビンフッドが受け取る収益は変わる。NFL開幕後の月次データと第3四半期決算では、取引件数だけでなく、イベント契約収益との関係が注目される。

11月の米中間選挙もイベント契約の題材となり得るが、下半期に約3億2,600万ドルを追加できるかどうかは、NFLや選挙に関する需要に加え、ロビンフッドが契約から得る単位当たりの収益にも左右される。

■合弁会社ロゼラで取引所と清算機能を確保

ロビンフッドは従来、カルシなど外部の取引所で扱われるイベント契約を顧客に提供していた。現在は、サスケハナ・インターナショナル・グループとの合弁会社を通じて、取引所と清算機関の運営にも関与している。

この合弁会社は2026年1月、MIAXデリバティブ取引所の発行済み株式の90%を取得した。MIAX側は10%を保有し続けている。買収後にロゼラへ改称された同社は、米商品先物取引委員会に登録された指定契約市場とデリバティブ清算機関を運営する。

ロビンフッドは合弁会社の支配パートナーであり、顧客への販売窓口だけでなく、商品の設計、上場、取引執行、清算を含む基盤に関与できるようになった。この垂直統合は、商品開発に対する柔軟性を高め、外部取引所との収益分配に依存していた従来よりも有利な採算を得るための基盤となる。

ただし、合弁取引所を持つこと自体が一定の収益を保証するわけではない。収益への効果は、自社取引所で処理される契約の割合、料金体系、流動性、運営費用などによって変わる。

■州の賭博規制を巡る司法判断

予測市場事業では、連邦法と州法の関係も重要な論点となっている。ロビンフッド、カルシ、Crypto.comの関連会社は、商品取引所法に基づいて米商品先物取引委員会が規制するイベント契約に対し、州が賭博規制を適用できるかを争っている。

米連邦第9巡回区控訴裁判所は2026年4月、ネバダ州を相手取った複数の訴訟について合同で口頭弁論を開いた。事業者側は連邦法が州法に優先すると主張し、ネバダ州側は、商品取引所法には州の賭博規制を排除する明確な規定がないと主張している。判決日は公表されていない。

別の訴訟では、ニューヨーク南部地区連邦地裁が7月7日、カルシによる仮差し止めの申し立てを退けた。裁判所はこの段階で、商品取引所法がニューヨーク州の賭博法執行に優先するとの主張について、カルシが本案で勝訴する可能性を十分に示していないと判断した。これは仮差し止めを巡る判断であり、関連する法的争い全体が最終決着したことを意味しない。

第9巡回区控訴裁判所の判断は、同巡回区内での州規制と連邦規制の関係に大きな影響を与える可能性がある。事業者側の主張が認められれば連邦登録市場としての運営基盤が強まり、認められなければ州ごとに契約の提供範囲や利用条件を調整する必要性が高まる。

いずれの判断が出ても、それだけで全米の法的問題が一括して解消されるとは限らない。ほかの地域でも関連訴訟が進んでいるため、各裁判所の判断や今後の規制対応を継続して見る必要がある。

■オプション取引が事業の下支えに

2026年7月末のロビンフッドの入金済み口座を持つ顧客数は2,850万人で、前年同月から約177万人増加した。この顧客数にはトランプ・アカウントは含まれていない。

プラットフォーム上の総資産は3,550億ドルで、前年同月比19%増、前月比4%減だった。7月からは、ロビンフッドが保管するトランプ・アカウントの資産が総資産に含まれているため、それ以前の月との比較には注意が必要だ。純入金額にも7月から同口座への拠出が含まれている。

株式の想定取引高は3,330億ドルで前年同月比59%増、前月比15%減となった。オプション契約は3億2,400万件で、前年同月比66%増、前月比2%増となり、過去最高を更新した。

暗号資産、イベント契約、株式、オプションで方向が分かれていることは、ロビンフッドの収益源が多様化していることを示す。特にオプション収益は第2四半期に3億4,200万ドルに達しており、暗号資産取引の落ち込みを部分的に補う事業となっている。

■RVIIの上場は別の観点で評価が必要

ロビンフッド・ベンチャーズ・ファンドIIは、8月13日にニューヨーク証券取引所で取引を開始した。新規公開価格は1株25ドルで、公開後のファンド規模は2億2,550万ドルとなった。引受会社が追加購入オプションを全て行使した場合は、最大2億5,550万ドルとなる。

RVIIは、初期段階の未上場企業を組み入れる事業開発会社型のクローズドエンド・ファンドである。上場後の市場価格は、組み入れ企業の評価額だけでなく、需給や投資家心理によって純資産価値を上回ったり下回ったりする可能性がある。

このため、RVIIの短期的な値動きを、ロビンフッド本体の予測市場事業や暗号資産事業に対する評価と直接結び付けるのは適切ではない。未上場企業への投資には評価の不確実性と長い投資期間が伴うため、ファンドの費用体系や開示資料を含めて判断する必要がある。

■100ドル割れの株価をどう見るか

8月17日時点で、S&Pグローバルの集計に基づく28人のアナリストの平均目標株価は119.82ドルだった。96.25ドルの終値に対する上昇余地は約24.5%となる。ただし、目標株価は各社の前提や集計方法によって異なり、将来の株価を保証するものではない。

現在の株価と目標株価の差を、予測市場の収益未達や司法判断に対する市場の評価だけで説明することはできない。株価には、暗号資産市場、金利、競争環境、費用、規制、投資家のリスク選好など複数の要因が反映される。

今後の主な確認材料は、NFL開幕後のイベント契約数と収益、第3四半期の暗号資産関連収益、ロゼラで処理される取引の拡大、第9巡回区控訴裁判所を含む関連訴訟の進展である。暗号資産取引が減速するなか、予測市場とオプションがどこまで収益の多角化に寄与できるかが、ロビンフッドの次の成長局面を左右する。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の証券の売買を推奨するものではない。

■注目ポイントQ&A

●ロビンフッドの暗号資産取引減少は同社だけの問題ですか?

同社だけに限定された動きとはみられません。スイスクオートでも2026年上半期の暗号資産純収益が前年同期比66.2%減、取引高が63.5%減となりました。ただし、2社の減少率が近いことだけで、ロビンフッド固有の要因を完全に否定することはできません。

●下半期に予測市場で3億2,600万ドルを追加できますか?

現時点では判断できません。3億2,600万ドルは、バーンスタインの通期予想5億8,600万ドルから上半期実績を差し引いた金額です。NFLや米中間選挙に関する取引需要に加え、契約当たりの収益やロゼラで処理される取引の割合が影響します。

●第9巡回区控訴裁判所が連邦法の優先を認めなかった場合、何が起きますか?

州による賭博規制の適用可能性が高まり、州ごとに提供できる契約や利用条件を調整する必要が生じる可能性があります。ただし、具体的な影響は判決の対象と範囲、その後の訴訟や規制当局の対応によって異なります。

●最初に注目すべき材料は何ですか?

時期が明確なのは9月9日のNFL開幕です。開幕後の月次データではイベント契約数を確認できますが、収益への本格的な影響は四半期決算と合わせて判断する必要があります。第9巡回区控訴裁判所の判決日は公表されていません。

元記事: Industrywide Crypto Slump Has Robinhood Pinned Below $100 as NFL Season Becomes Key Test

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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