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独ツァイス、韓国に半導体イノベーションセンターを開設――AIメモリ供給網に深く食い込む狙い

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ドイツの光学機器大手カールツァイス(ZEISS)の半導体製造技術部門は2026年7月9日、韓国の龍仁(ヨンイン)に同社初となるグローバル「半導体イノベーションセンター」を開設した。この施設は、世界の高帯域幅メモリ(HBM)の過半数を供給するサムスン電子とSKハイニックスの製造拠点の至近に位置する。最先端のAIアクセラレータに不可欠なHBMの生産ペースを左右する重要な装置開発が、顧客である韓国メーカーの目の前で行われることになる。
■AIチップ増産に伴う韓国進出の必然性
ツァイスが今回開設した施設は、単なる営業拠点ではない。同社は装置開発サイクルの中核、すなわち装置メーカーと半導体メーカーのエンジニアが同じ部屋で実際の生産サンプルを使いながら装置を調整するプロセスを、最先端AIチップが製造されている現場へと移転させた。ツァイスの光学システムは、オランダASML製のすべての極端紫外線(EUV)露光装置に搭載されており、その露光装置が世界の先端半導体の大部分を製造している。したがって、装置開発の拠点を韓国のファブ(工場)の隣に移すことは、AIハードウェアの生産規模を決定づける制約要因のすぐそばに開発機能を置くことを意味する。
韓国における2026年の半導体投資の勢いは凄まじい。2026年6月、李在明(イ・ジェミョン)大統領は、サムスングループとSKハイニックスによる新規メモリファブ、先端パッケージング施設、AIデータセンターインフラへの数百兆ウォン規模の投資を柱とする国家メガプロジェクトの枠組みを発表した。
ツァイスにとって実務上最も重要なのは、この枠組みによって開発・製造スケジュールが大幅に前倒しされることだ。SKハイニックスの龍仁半導体クラスターは、当初2045年を予定していた4つのファブの完成目標を2033年へと12年間も前倒しした。最初のファブは2027年に稼働予定であり、SKハイニックスが7月10日にナスダック市場への上場(IPO)で調達した過去最高額の265億ドル(約4兆2930億円、1ドル=162円換算)の大部分は、このファブとASML製EUV装置の購入に充てられる。一方、サムスンも平澤(ピョンテク)キャンパスの最終フェーズであるP5ファブ1およびファブ2の建設を同時に進めている。
これほどのペースで資本が投入される中では、試作テスト、パラメータ調整、歩留まりデータの収集、装置の認定といった装置サプライヤーとファブの間のフィードバックループを圧縮しなければならない。韓国のエンジニアがウェーハをドイツ、米国、イスラエルにあるツァイスの施設に送り、時差や通関の遅れを挟んで結果を待つという従来のモデルは、もはや通用しない。ツァイス・コリアの半導体ビジネスユニット担当バイスプレジデントであるマシュー・ウィルソン氏は、7月10日にソウルのウェスティン朝鮮ホテルで行われた記者会見で、「韓国の顧客は、ドイツの技術に『韓国のスピード』でアクセスすることを求めていた」と語った。
■3D X線測定・検査プラットフォーム「NLX-100」の役割
龍仁のセンターに最初に導入された装置は、300mmウェーハ対応の3D X線測定・検査プラットフォーム「ZEISS NLX-100」だ。この装置が必要とされる背景には、先端パッケージング技術がチップ検査にもたらした変化がある。
従来の平面的なチップ製造では、完成したダイの検査は表面のパーティクルやパターンの欠陥を調べるだけで済んだ。しかし、HBMのように複数のダイを垂直に積層する場合、重大な欠陥は目に見える表面ではなく、積層の内部に発生する。完全に接合されていないマイクロバンプ、わずかにズレたシリコン貫通電極(TSV)、銅インターコネクト層の空隙(ボイド)などだ。これらの内部構造を破壊せずに画像化する唯一の方法がX線である。
NLX-100は「ラミノグラフィ」と呼ばれる技術を採用している。平坦な300mmウェーハをX線ビームに対して垂直に回転させるのが困難な標準的なコンピュータ断層撮影(CT)とは異なり、ラミノグラフィは回転軸を傾けることで、平坦な物体の3次元再構成を可能にする。異なる角度から撮影された数千枚のX線投影データは、ツァイス独自のAI搭載解析ソフトウェア「ZEISS INSPECT」によって3Dモデルへと合成される。
ここで課題となるのが、放射線の照射量(ドーズ)だ。はんだバンプを使用せずに銅パッド同士を直接接合する「ハイブリッド銅接合」により、接合部の寸法がシングルミクロン領域に微細化するにつれ、接合品質を確認するために必要なX線の解像度は高くなる。しかし、解像度を上げると放射線照射量が増え、検査対象のチップ自体を損傷するリスクが生じる。ツァイスSMTの先端パッケージング部門責任者であるミヒャエル・ヘンシェル氏は記者会見で、「プロセスが微細化するにつれてX線の解像度を上げる必要があるが、高い放射線量はチップを損傷する可能性がある。ツァイスは設計の初期段階から、この課題に対処するために放射線照射量を精密に制御するシステムを構築した」と説明した。
■化学薬品を使わずにウェーハの反りを修正する「DUNE 100」
2つ目の装置「ZEISS DUNE 100」は、ウェーハの「反り(ワーページ)」という別の不良モードに対処する。HBMの積層数が増えるにつれ(現在のHBM3Eでは12枚のDRAMダイを垂直に積層)、材料間の熱膨張差や接合剤による応力などによって、300mmウェーハ全体に歪みや反りが発生する。ウェーハが反った状態で露光や接合、ダイシングなどの次工程に進むと、パターンのズレや歩留まりの低下を招く。
従来の対策は、スラリー(研磨剤)を用いてウェーハ表面を平坦に削る化学機械研磨(CMP)だった。しかし、CMPはウェーハ全体の高低差を平均化する大まかなプロセスであり、すでに平坦な隣接領域を削ることなく、特定のダイ領域の局所的な応力パターンを精密に狙い撃ちすることはできない。また、スラリーの化学物質による新たな汚染リスクも生じる。
DUNE 100は、化学薬品を使用せずにウェーハの反りを修正する。ウェーハの形状を高精度に測定し、局所的な処理を施すことで、既存の変形を打ち消す補正応力パターンを適用する。これにより、ウェーハ全体の反りと、特定のダイ領域内の局所的な歪みの両方を1ステップで処理できる。ツァイスの半導体ファブソリューション部門責任者であるカロリーネ・ピグドン氏は、反りが「接合プロセスの歩留まりに極めて大きな影響を与える」と指摘し、DUNE 100について「業界初の製品であり、現在は競合が存在しない」と自信を見せた。
■次世代フォトマスク補修装置「MeRiT AE」
3つ目の装置は、フォトマスク補修装置「ZEISS MeRiT AE」だ。これは現行の「MeRiT LE」プラットフォームの次世代版にあたる。この装置のプロトタイプが同センターに導入されたことは、ツァイスの開発の方向性を示す重要なシグナルである。
業界が「High-NA EUV」(現行の数値口径0.33から0.55へと向上させ、10ナノメートルを大幅に下回る微細化を実現するASMLの次世代露光装置プラットフォーム)へと移行するにつれ、フォトマスクの欠陥に対する許容値はさらに厳しくなる。MeRiT AEはこの環境向けに特別に設計されており、High-NA生産に必要な歩留まりで、極小の重大欠陥を補修する拡張機能を備えている。
High-NA EUVが本格的な量産に入る前に、この装置を龍仁のセンターに導入することで、韓国のマスクショップは顧客に近い環境で早期に装置にアクセスできるようになり、認定サイクルを短縮することが可能になる。
■共同評価プログラム(JEP)による開発期間の圧縮
このクリーンルームは単なる装置の展示場ではない。ツァイスが構築している「共同評価プログラム(JEP)」と呼ばれる運用モデルこそが、このセンターを単なる遠隔地の出先機関以上の存在にしている。
JEPモデルのもとでは、サムスンやSKハイニックスなどの韓国顧客のエンジニアが、龍仁の施設でツァイスのエンジニアと共同で、実際のHBM積層サンプルやパッケージ基板などを用いて装置の評価を行う。評価から得られた知見は、ドイツのオーバーコッヘンにあるツァイス本社に送られ、中央のSMTエンジニアリング組織の開発サイクルに組み込まれる。
ヘンシェル氏は、「顧客とのコラボレーションを通じて得られた研究開発の成果は、ドイツのツァイス本社と共有される。このプロセスにより、顧客のニーズに合わせた半導体製造技術をより迅速に開発でき、装置が十分な技術的成熟度に達すれば、顧客の量産ファブへと移管できる」と述べた。
ツァイスは今後10年間で同センターに大幅な投資を行う計画だが、具体的な拡張の規模や時期は顧客の需要に応じて決定される。ウィルソン氏は、「韓国の顧客との地域密着型の共同研究開発モデルが成功すれば、将来的にはセンターを拡張する可能性がある。ただし、拡張の規模やスケジュールは現時点では確定していない」とした。
■注目ポイントQ&A
●ツァイスは半導体製造においてどのような役割を果たしていますか?
ツァイスの半導体製造技術部門(Carl Zeiss SMT)は、ASML製のすべてのEUV露光装置の心臓部である光学システム(サブナノメートル単位の精度で製造されるミラーやレンズ)を独占的に製造しています。ASMLはCarl Zeiss SMTの株式を24.9%保有しており、両社は強固な提携関係にあります。
●3D X線ラミノグラフィとは何ですか?なぜ照射量(ドーズ)の制御が重要なのですか?
ラミノグラフィは、300mmウェーハのような平坦で広い物体のために設計されたX線画像化技術です。HBMなどの積層チップ内部の欠陥を非破壊で検査できますが、高解像度を得るために放射線照射量を増やすとチップを損傷するリスクがあります。そのため、ツァイスの「NLX-100」では精密な照射量制御が極めて重要になります。
●DUNE 100はどのようにして化学薬品を使わずにウェーハの反りを修正するのですか?
従来の化学機械研磨(CMP)のようにウェーハ全体を削るのではなく、DUNE 100はウェーハの正確な3次元形状を高精度に測定し、局所的な処理によって反りを打ち消す補正応力を適用します。これにより、スラリーによる汚染リスクなしに、1ステップで反りを修正できます。
元記事: ZEISS Moves EUV Tooling Development to Korea, Embedding in AI Memory Supply Chain
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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