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オルカンとS&P500、両方保有の意味 重なる中身と分かれる投資思想
全世界株式型のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー、愛称オルカン)と、米国株式型のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)。新NISAで個人投資家の資金を最も集める2本は、2026年5月末時点で、いずれも純資産総額が12兆円を超える。
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どちらを選ぶか決めきれず、「両方持てば安心」と考える投資家は少なくない。
だが2本は、それぞれ単体ですでに十分に分散されている。両方を組み合わせても、分散がさらに広がるわけではない。
■1本で完結する分散 2本の中身を確かめる
オルカンは日本を含む先進国・新興国の株式に投資し、組入銘柄数は2,463に及ぶ(2026年5月末時点)。国・地域別では米国が62.4%を占め、新興国も12.2%を占める。
一方のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、米国の大型株503銘柄で構成される。投資先は米国に限られるが、情報技術から金融、ヘルスケアまで全業種に広がる。
いずれも為替ヘッジは行わない。2本とも、それ単体で分散投資が完結する器である。
■重なる中身 両方買いが生むのは「米国への偏り」
ここに見落とされがちな点がある。2本の中身は大きく重なっている。
組入上位10銘柄を並べると、オルカンとS&P500は9銘柄までが共通する。NVIDIA、Apple、Microsoft、Amazonといった顔ぶれは、ほぼそのまま重なる。オルカンの米国比率が6割を超えるため、上位が一致するのは構造上、必然である。
仮に2本を半分ずつ持つと、米国比率は単純計算で約8割に高まり、新興国は約6%まで薄まる。新しい分散先が加わるのではなく、保有が米国へ一段寄っていくだけだ。
為替も同様だ。2本とも為替ヘッジを行わず、資産の中心はドル建てである。両方を持っても、円安・円高の影響は重ねて受けるだけで、為替リスクが打ち消し合うわけではない。
■分かれ目は「好み」 新興国を取るか、米国に寄せるか
2本の実質的な違いは2点に絞られる。新興国の12.2%を取り込むか、米国の大型株に集中するか。 それだけだ。
過去1年の騰落率はオルカンが43.7%、S&P500が43.1%とほぼ並ぶ(2026年5月末時点)。重なりが大きい以上、成績が近づくのは自然な結果といえる。
ただし、米国の一極集中が今後も続く保証はない。新興国を組み込む設計は、米国が停滞する局面で相対的な下支えになりうる。
とはいえ、新興国を含めてもオルカンの値動きの大半は米国に左右される。どちらを選んでも、米国の影響からは逃れにくい。
両方を持つこと自体は危険ではない。ただ、得られる効果はほぼ重複する。新興国まで取り込むか、米国の成長に委ねるか。2本の差は優劣ではなく、投資家自身の選好に行き着く。
両方を持つかどうかより、自分がどちらの世界観に乗るかを決められているか。それが、納得して長く続けられるかどうかを分けるポイントになりそうだ。(記事:今井 将雪・記事一覧を見る)
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