相場展望6月26日号 米国株: 中東の地政学リスクやトランプ関税をものともせず、力強く上昇 日本株: 米国ハイテク株の上昇が日経平均を押し上げる

2025年6月26日 13:38

印刷

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)6/23、NYダウ+374ドル高、42,581ドル
 2)6/24、NYダウ+507ドル高、43,089ドル
 3)6/25、NYダウ▲106ドル安、42,982ドル

【前回は】相場展望6月23日号 米国株: アップル⇒テスラ⇒エヌビディアに次ぐ、新たな星の出現に期待 日本株: 株主総会以降の買い方&売り方に変更があるのか? 注視 米国によるイラン空爆が、中東情勢の悪化拡大⇒株相場に重荷

●2.米国株:中東の地政学リスクやトランプ関税をものともせず、力強く上昇

 1)米国株式は、中東の地政学リスクやトランプ関税をものともせず、力強く上昇
  ・原油・金利が低下したことが好影響を及ぼす。
    ・原油安(WTI原油)
      6/02  62.52ドル
      6/18  75.14
      6/25  64.92
    ・金利低下(米国10年債金利)
      6/02  4.440%
      6/23  4.391
      6/25  4.291
  ・NYダウは株高へ
     2024年12/04  45,014ドル 史上最高値
     2025年01/10  44,882
        03/25  42,587 トランプ関税発表前高値
        06/20  42,206
        06/24  43,089 トランプ関税前高値を超えた
       06/25  42,982 小休止

 2)米国金利低下が米国ハイテク株に割高感が薄れて買われ、NYダウを押し上げ
  ・フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の推移
    2024年7/14  5,904  史上最高値
    2025年1/22  5,469
       3/24  4,694  トランプ関税発表前の高値
       4/08  3,562
       6/25  5,493
  ・SOX指数は、3/24トランプ関税前高値を+799高・+17.0%アウトパフォーム。
  ・エヌビディア株価の急伸が、ハイテク株全般への買い安心感を押し上げた。
  ・米国長期金利(10年物)の推移
    6/02  4.440%
    6/23  4.391
    6/25  4.291
   ・長期金利低下が、株式特にハイテク株の相対的な割高感が薄れ、株買いが入った。
  ・ハイテク株の急伸が牽引役となり、NYダウを押し上げたと言える。

 3)米国株は高値圏にあり、過熱感が出てくることが懸念される
  ・S&P500種株価指数は、2/19に付けた最高値まで1%弱まで接近。予想PER(株価収益率)は21倍台、最近の天井となった22倍に近い。さらなる株価上昇となれば過熱感が出てくる可能性がある。
  ・米国長期金利の低下が、株高を支えたが、期待感で下がっただけである。金利低下の根拠が崩れると、再び金利上昇となるリスクがある。

●3.米国5月新築住宅販売、7カ月ぶり低水準、在庫は2007年以来の高水準(ロイター)

 1)年率換算で前月比▲13.7%減の62.3万戸、予想は69.3万戸。前年同月比▲6.3%減だった。

●4.米国フェデックス、6~8月期利益見通しが予想を下回る、関税が重し(ロイター)

 1)6~8月期の1株利益見通し3.40~4ドル、予想4.06ドル。

●5.FRB議長、利下げ急がずと再表明、「関税の影響を見極める必要」議会証言(ロイター)

 1)関税引上げでインフレが押し上げられ、経済活動が圧迫される可能性が高い。

●6.米国消費者信頼感指数は予想外に低下、経済や家計を巡る懸念が重し(ブルームバーグ)

 1)6月消費者信頼感指数は93、予想99.8・5月の98.4を下回った。

●7.アトランタ連銀総裁、FRBの早期利下げは不要、年内に物価上昇へ(ロイター)

 1)企業が関税引上げに対応して今年後半に値上げを計画し、雇用市場は依然として安定しているなか、政策金利を引き下げる必要なない。

●8.米国半導体大手エヌビディアのファンCEO、エヌビディア株の一部売却(ブルームバーグ)

 1)6/20・23の2日間で10万株を1,440万ドルで売却。同氏はこれまで19億ドル強相当のエヌビディア株を売却している。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)6/23、上海総合+21高、3,381
 2)6/24、上海総合+38高、3,420
 3)6/25、上海総合+35高、3,455

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)6/23、日経平均▲49円安、38,354円
 2)6/24、日経平均+436円高、38,790円
 3)6/25、日経平均+151円高、38,942円

●2.日本株:米国ハイテク株の上昇が日経平均を押し上げる

 1)「有事のドル買い」⇒イランとの停戦合意⇒円高・ドル安へ
  ・中東リスクが後退し、145円台前半
  ・円相場の推移
    6/02  143.20円
    6/03  142.95
    6/23  147.24
    6/25  145.24

 2)原油安
  ・原油安でIPEXが大きく売られた。
  ・WTI原油価格の推移
    6/18  75.14ドル
    6/25  64.92

 3)米国ハイテク株の上昇が日経平均を押し上げる
  ・特に、値がさの半導体株である、東エレク・アドテスト・レーザーテクなどの上昇が牽引役となって日経平均を押し上げている。

●3.田村・日銀委員、物価上振れリスク高まる場合には果断な対応もあり得る(ブルームバーグ)

●4.デパート5月売上、4カ月連続で前年同月割れ、免税品は約▲40.8%減に(NHK)

 1)訪日客の増加傾向が続くなか、円高で高額商品の買い控えや買い物の多様化進む。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6367 ダイキン      業績堅調
 ・6869 シスメックス    業績堅調
 ・6902 デンソー      業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

記事の先頭に戻る

関連キーワード

関連記事