ウエルシアHD、長野のとをしや薬局全株式を取得へ 2024年6月に完全子会社化

2023年11月20日 16:32

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 ドラッグストア最大手のウエルシアホールディングス(HD)は17日、中信地方で店舗展開するとをしや薬局(長野県安曇野市)の全株式を取得すると発表した。株式譲渡の実行日は2024年6月3日で、完全子会社とする。

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 ウエルシアHDが取得する株式は、とをしや薬局の全株式に当たる1,810株。取得価額はとをしや薬局と合意のうえで決定しているが、非公表としている。17日に譲渡契約を結んだ。

 とをしや薬局は1874年の創業。長野県松本市を中心とする中信地方で調剤薬局21店を展開している。2023年6月期決算の売上高は124億2,900万円だが、1億3,200万円の純損失を出した。ウエルシアHDが長野県で展開する店舗は41店。近隣の他県に比べて少なく、特に中信地方の店舗網が手薄だった。

 経済産業省によると、2022年のドラッグストア業界売上高は7兆8,205億円。スーパーや百貨店、コンビニエンスストアなど他の小売業態が売上停滞に苦しむ中、右肩上がりの成長を続け、2014年に比べて3兆円近い伸びを示している。店舗数も2014年より5,000店以上増えた。

 その中でウエルシアHDは全国に2,790店を展開し、2023年2月期決算で1兆1,442億7,800万円の売上を出した。業界の売上高ランキングでは、2位のツルハHD、3位のマツキヨココカラ&カンパニー、4位のコスモス薬品を抑えて業界トップに立っている。

 しかし、大手による地方の中小ドラッグストア、調剤薬局買収による規模拡大が続く中、競合企業やスーパーなど他業種との販売競争激化で、業界を取り巻く環境に厳しさが見えている。このため、ウエルシアHDは地域に根差した経営により中信地方で信用を高めてきたとをしや薬局の完全子会社化により、長野県での足場をさらに固めたい方針だ。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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