コンサルで急成長階段を駆け上がる:シグマクシスHDは、培養肉製造実現にも係る

2023年7月10日 17:31

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大阪大学、島津製作所、伊藤ハム米久HD、凸版印刷、シグマクシスは3月、「培養肉未来創造コンソーシアム」を結成した(画像: シグマクシスの発表資料より)

大阪大学、島津製作所、伊藤ハム米久HD、凸版印刷、シグマクシスは3月、「培養肉未来創造コンソーシアム」を結成した(画像: シグマクシスの発表資料より)[写真拡大]

 シグマクシス・ホールディングス(東証プライム。以下、シグマクシスHD)。コンサルティング事業の成長階段を昇っている新興勢力。経営戦略の企画立案からシステム導入管理まで支援する、「プロジェクト管理が持ち味」とされる。

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 2つの角度から、シグマクシスHDに興味を持った。

 1つは3月から始まったプロジェクトに管理で参画した事案。大阪大学などが松坂牛クラスの霜降り肉を目指す、「培養肉製造」のプロジェクトを始めた。そのプロジェクトの管理を担うと言うのだ。

 自慢ではないが、化学的な頭は持ち合わしていない。培養肉とは?から調べた。ウシなどの動物から取り出した少量の細胞を、動物の体外で増やしてつくる「本物の肉の代用品」だと言う。

 専門家筋の話を総合すると、2050年に世界の人口は97億人に達する。食する肉の量は今の1.8倍余。通常の畜産では、到底追いつかない。そこで期待を集めているのが培養肉。見た目や味は本物と見分けがつかず、かつ大量生産が可能だから割安。

 シグマクシスHDに問い合わせても「今回参画したプロジェクトが霜降り肉並みの培養肉開発を、2050年を目途に取り組むものかどうかは答えようがない」と返ってくるだろうと、勝手に試算した。2050年と言うと私は90歳代入り口。「培養肉とやらで、せめて松坂牛クラスの霜降り肉を食べて三途の川を渡りたい」と。

 そんな夢を与えてくれたシグマクシスHDだがもう1つの興味を抱いた理由は、前3月期決算(5月9日)直後早々の6月27日の今期予想修正。売上高・営業利益は「10.8%増収(192億円)、19.0%営業増益(38億5000万円)」を据え置きながら、「31.5%最終増益(29億円)、2円増配22円配」に上方修正。

 その理由を「税額控除等の見通しに変更が生じ、法人税等の減少が見込まれるため」と発信した。今期計画を作成する際の積算の甘さ、と指摘されても仕方がない。

 が投資対象として同社を見た場合は、見逃しに出来ないのは事実。

 2022年3月期「11.6%増収、57.9%営業増益、37.5%最終増益、2円増配13円配」に続き前3月期も「10.7%増収、17.2%営業増益、32.4%最終増益、3円増配16円配」。そして今期計画は前記の通り。

 主軸のコンサルティング事業は前期の「中途・新卒合わせ89名増。コンサルタント数計511名」が示す通り、着実に成長階段を昇り続けている。今後の見通しについても至26年3月期の『ありたい姿(中計とは称していない)』として、「売上高250億円(23年3月期比44%強)、経常利益70億円(2.1倍強)、利益率28%(18.8%)、800人体制」を謳っている。

 本稿作成時の時価は1300円水準。予想税引き後配当利回り1.35%。IFIS目標平均株価は算出に当たった3人のアナリストが「強気」を示し、2167円。9年半余持ち続けていると修正値ベースの株価パフォーマンスは、67.5%。好配当利回りを享受しつつ中長期構えが賢明か。

※記事内容を一部訂正しております。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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