砂漠地域での太陽光発電下で食糧生産する高性能ロボット 早大らが開発

2023年2月13日 15:49

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開発されたロボット(早稲田大学の報道発表資料より)

開発されたロボット(早稲田大学の報道発表資料より)[写真拡大]

 早稲田大学らの研究グループは8日、サステナジーと共同で、太陽光発電パネルの下で「協生農法」を実施するための、高性能ロボットを開発したと発表した。砂漠化地域などで、発電をおこないながら、協生農法の普及に貢献できるという。

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■協生農法とは?

 協生農法は、ソニーコンピュータサイエンス研究所が提唱する新しい農法だ。作物の生育に適した生態系を人為的に構築しながら、食料生産をおこなう。そのため、砂漠などの砂漠化地域や荒れた耕作放棄地などでも、生態系を回復させながら、食料生産をおこなうことができる。

 すでに、アフリカのブルキナファソの砂漠化した耕作放棄地など、国内外の実証実験で大きな成果をあげている。

 ただ、砂漠化地域や荒れた耕作放棄地で協生農法を始めるには、構築過程にある未成熟な生態系を日光や風雨から保護するために、半日蔭が必要になる。

 これまでは、予め低木を植えるなどして半日蔭を準備していたが、ここで太陽光発電パネルの下にできる半日蔭に着目したのがサステナジーだ。これならば、協生農法をおこないながら、再生可能エネルギーをつくることもできる。

 ただ、協生農法をおこなうには、非常に煩雑な農作業が必要になるが、これまで協生農法に必要な複数の作業を連続的におこなえる農業用ロボットは開発されていなかった。

■協生農法用高性能ロボットを開発

 そこで研究グループは、協生農法用高性能ロボットの開発に取り組み成功した。

 今回開発したロボットは、協生農法がおこなわれている、さまざまな植物が混在・密集する農地を、遠隔操作で移動。種植えや雑草剪定、収穫が可能という。

 研究グループは、新たに遠隔操縦システムも開発。これにより、従来の遠隔操縦システムに比べて、作業時間と障害物との干渉率をほぼ半分にすることに成功したという。

 研究グループでは、今回開発したロボットの力を借りて協生農法が世界的に普及することで、再生可能エネルギーをつくりながら、地球規模で生態系を回復させつつ、食料を増産することができると期待している。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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