4年ぶりに行動制限無しの春節、かかる期待とその現実

2023年1月27日 08:09

印刷

●中国の春節がスタート

 新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める厳格なコロナ対策(ゼロコロナ政策)を緩和した中国が、大型連休の春節を迎えている。

【こちらも】2023年は仮想通貨復活の年か?

 2019年以来4年ぶりに行動制限のない春節で、中国国内だけでなく、世界中で大きな経済効果が期待される。渡航制限も撤廃され、インバウンド需要復活にも期待が高まる。

 コロナ前の2019年は30億人が移動した春節だが、コロナ前に完全に戻れるのか?

●春節と経済効果

 春節は中国の旧正月に基づいており、毎年日程が異なる。2022年の春節は2月1日だったが、2023年の春節は1月22日となり、1月27日までの7連休となっている。

 中国国内だけでなく、全世界の華人が春節を祝う。2023年は帰郷する人、旅行する人を含めて21億人が移動するとみられている。

 例年春節には、日本各地が中国人観光客で賑わっており、コロナ前は春節の前後1カ月で70万人以上の訪日客がいた。1人当たりの消費額は約22万円で、化粧品や医薬品などが人気である。

●コロナ前に戻るのか?

 観光庁のデータによると、2019年には中国人の年間旅行消費額が1兆7700億円にも上っており、全訪日客の3分の1を占め、インバウンド需要に欠かせなかった。

 だが現状では、コロナ前の春節の状態にはほぼ遠い。

 日本政府は、中国国内でのコロナ感染者の急増を懸念。1月4日より中国本土からの入国者に対し、入国時のPCR検査、出国72時間前以内の陰性証明を義務付け、水際対策を強化したことで訪日客が二の足を踏んでいる。中国側でも代理店を通さないと訪日ビザが取得できず、所得制限もある。

 日中間の航空便もコロナ禍前の数%に留まるところもあり、アクセス面でもハードルが高い。

 受け入れる側の日本もコロナ禍でインバウンド向けのサービスを再構築しなくてはならず、この数年で物価高、人件費の高騰もあり、人手不足も深刻である。

 その点、観光客の受け入れに熱心なタイは水際対策を実施しておらず、中国からの春節での人気観光地におい1位となっている。タイ以外にもシンガポールやマレーシアなどの東南アジアに観光客が流れている。

 コロナ前の春節の光景に戻るのは来年以降になりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事