株価急騰&外人持ち株比率急増:メニコンの何故

2022年11月28日 16:24

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メニコングループの販売店「Miru」では、2022年6月に制服がリニューアルされた。(画像: メニコンの発表資料より)

メニコングループの販売店「Miru」では、2022年6月に制服がリニューアルされた。(画像: メニコンの発表資料より)[写真拡大]

 コンタクトレンズ製販最大手:メニコン(東証・名証プライム)の株価が11月1日の2228円を起点に、右肩上がりに転じた。16日には一時2895円まで11%と急騰、終値も2841円と東証プライムの値上がり率ランキング5位となった。「中間期決算(14日)の好影響継続」と説明された。

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 確かに好決算だった。前3月期の「16.2%増収、22.8%営業増益、8.9%最終増益」に続き今期も、「7.6%の増収(1078億円)、4.4%の営業増益(104億円)、4.9%の最終増益(68億円)」計画。対して中間期は「541億2900万円、68億7000万円、42億6300万円」と、「利益上方修正の下地が整う」を思わせる内容だった。メニコンの顧客基盤といえる「月額定額制会員(メルスプラン会員)」数も134万人に達し、決算説明会では「通期で136万人、2026年3月期では150万人を想定している」とされた。

 「使い捨て」「遠近両用」「乱視用」「近視抑制」「定額制」etc、コンタクト市場をけん引してきたメニコンの原点は創業者会長の田中恭一のいわば「執念」に求められる。

 戦後、田中氏は玉水屋という眼鏡店に勤務した。そこで「私、コンタクトを持っている」という米国人と出会った。話には聞いていた。「見せて欲しい」と頼んだが「ノー」。そんな体験が田中氏の琴線に触れた。「日本人にも作れないわけがない」。

 日を追うごとにコンタクトレンズへの思いが脳裏を埋め尽くしていった。「どんな形か」「材料は」「どうやって入れるのか」「痛くないのか」・・・。自分の、そして家族の目を観察することから始まり「独学」で挑んだ。

 今でも「研究ノート」は残されている。昭和26年(1951年)、独創で現在のハードコンタクトレンズの形状に辿り着いた。こうした経緯がメニコンのDNA:「人真似はしない」となったとされる。

 冒頭に記した株価急騰を引き起こした、中間期決算の内実を覗き込んでみる。

 主力の「ビジョンケア(コンタクト)事業」は、「前年同期比10.9%増収、21.2%営業増益」。

 そうした中で目を惹かれたのが「平均購入単価の高い“使い捨てコンタクトレンズ”のメルスプランの増加」であり、「オルソケラトロジーレンズの国内、及び中国での好調」。前記のとおり前者はメニコンの顧客基盤拡充を意味する。そして後者は「就寝前に装着することで近視が矯正されるレンズ」であり、今後の期待分野。とりわけコロナ問題もあり中国での動向が注目されていたが、2品目目となる商品が医療機器の登録承認を得た。

 ちなみにメニコンの前期末の外国人投資家持株比率は27.9%。2年前に比べ7.2Pt増えている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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