コロナ破たん、19カ月連続で3ケタに 感染症法の分類変更に関心 東京商工リサーチ

2022年8月20日 15:57

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 東京商工リサーチは19日、新型コロナウイルスの影響で経営破たんした国内事業者数が、8月は既に103件に達し、2021年2月から19カ月連続で100件を超えたと発表。2022年は7月までの年間累計件数が前年同期比30.2%の1,207件になるなど高水準で推移。国内線旅客数に限ればお盆の人出がコロナ前の水準を上回るなど経済の回復は鮮明。一方、足もとで感染が拡大する中、コロナの感染症法上の分類が変更されない場合、経済回復に大きな懸念が残る。

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 新型コロナの国内新規感染者数は19日、約26万1千人となり、2日連続で過去最多を更新。北海道、宮城、石川、広島、福岡など多くの地方都市で過去最多だった。感染が拡大する中、病床使用率も逼迫しつつあり、40都道府県が目安の50%を超えた。中でも神奈川県(91%)、福岡県(77%)、沖縄県(75%)が深刻なレベルだ。

 ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、日本時間20日午前10時時点における直近4週間の新規感染者数は、日本が世界最多の564万人。新型コロナが中国・武漢市で初めて発見されて以降の累計では、米国が最多の9,350万人超、次いでインドが4,431万人、フランスが3,453万人、ブラジルが3,426万人。

 感染拡大が続く一方、お盆の人出はコロナ前の水準に達した。日経新聞が位置情報に基づき分析した結果によれば、コロナ前と比較可能な国内線85空港におけるお盆の人出は、2019年を100とした場合に、105だった。帰省だけでなく観光客も多く、特に回復の大きかった千歳空港や福岡空港のエリアでは、観光地での賑わいも戻ったという。

 感染が拡大する中、事業者は外出自粛のほか、店舗や施設の営業時間などの制限を要請されることを懸念している。鍵を握るのが新型コロナの感染症法上の分類であり、季節性インフルエンザと同じ「5類」へ変更する案が有力視されている。ただし「5類」の場合、全額公費負担によるワクチン接種が終了する可能性が高く、政府は足もとの感染状況を踏まえ慎重姿勢を示している。


 かかる状況下、東京商工リサーチは、新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数が、19カ月連続で3桁発生したと発表。8月は19日時点で103件に達するなど、高水準を維持している。新型コロナ発生以降の累計件数は4,074件(負債1,000万円未満を含む)。7月は従業員数50人以上の破たんが8件確認され、破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで3万6,277人となった。

 コロナ禍で膨れた債務などの影響で、コロナ関係の経営破たん件数は引き続きハイペースを維持しているが、お盆の人出がコロナ前並みになるなど経済は鮮明に回復している。一方で感染症法上の位置付けが変わらず、再び自粛要請などが出された場合、経済回復の勢いは止まりかねない。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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