397年ぶりに木星と土星が大接近 12月21日の夜空で

2020年12月8日 09:29

印刷

12月21日の夜空 (c) 国立天文台

12月21日の夜空 (c) 国立天文台[写真拡大]

 2020年の師走の夜空は賑やかになりそうだ。12月14日のふたご座流星群では1時間に何個も火球の出現が期待できるかもしれないし、その1週間後の12月21日には397年ぶりに木星と土星が約0.1度にまで大接近する。

【こちらも】ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたアカエイ星雲の前例のない退色 NASA

 と言っても、木星と土星の距離が実際に縮まるのではなく、地球からの見かけの位置が接近したように見えるという意味である。また12月21日は冬至にあたり、1年で1番夜が長い日でもあり、世紀の天体ショーを長時間眺めることができるのだ。

 過去800年までさかのぼってみても、今回のような大接近は、1226年3月5日の0.04度と1623年7月17日の0.09度の2度しかない。

 このような現象が起きるのは、木星と土星の公転周期に起因している。木星の公転周期は11.86年で1年間に太陽の周りを約30度移動する。また土星の公転周期は29.53年で1年間に約12度太陽の周りを移動するため、木星が毎年、30度-12度=18度だけ土星に追いつく形となるからだ。

 つまり360度÷18度/年=20年という計算が成り立ち、木星と土星の見かけの距離が接近して見える周期である会合周期は約20年と計算できる。ただし、約20年おきに木星と土星の見かけの距離は接近するのだが、毎回、大接近をするというわけではないため、今回のような大接近になるのは397年ぶりということになるのだ。また、次回これほどまでに木星と土星が接近するのは約60年後の2080年3月15日のことである。

 ところで0.1度まで接近すると言われても、一般人にはイメージが湧きにくいだろう。全天を1周すると360度なので、0.1度まで接近するということは全天の広さの3600分の1にまで近づくという意味になる。もっと具体的な表現をすれば、満月の見かけの大きさと比べ、約5分の1の距離にまで近づくと言えばわかりやすいだろう。

 また天体望遠鏡では300倍の高倍率でも同一視野で木星と土星を観察できると言う。300倍と言えば天文台にある高性能望遠鏡クラスの倍率で、よほど気流が安定した状態でなければ観測に耐えられない。市販の望遠鏡における事実上の最高倍率である150倍くらいで覗けば、木星の縞模様と土星の輪が同一視野できれいに見ることができるだろう。

 約400年ぶりとなる今回のような非常に珍しく、しかも神秘的な天体ショーは肉眼はもとより、物置に長い間眠っていた天体望遠鏡を引っ張り出してきてでもぜひとも眺めてみたいものである。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事