高校生の就職活動、新型コロナの影響を受け日程が1カ月スライド

2020年6月16日 11:07

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出所:厚生労働省6月11日発表「令和3年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考開始期日等の変更について」より筆者作成。

出所:厚生労働省6月11日発表「令和3年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考開始期日等の変更について」より筆者作成。[写真拡大]

 新型コロナ感染症の影響を受け、厚生労働省は6月11日、今年度卒業予定生徒の就職活動を1カ月後ろへスライドさせる日程を発表しました。今回は、政府発表の詳細に加え、一部高校の進路指導担当教員などを介して収集した情報などをお伝えします。

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■今年度の変更点

 学校から企業への生徒の応募書類提出開始が、従来なら9月5日となっていましたが、今回の変更により、10月5日となります(沖縄県は従来8月30日が9月30日となります)。

 また、企業による選考開始及び採用内定開始が、従来は9月16日となっていましたが、今回の変更により、10月16日となります。つまり、選考プロセスの日程が1カ月、後ろへスライドすることになります(図表1)。

■変更措置の目的

 厚生労働省による説明では、新型コロナ感染症の影響で休業期間があったことにより、生徒の就職準備期間が短くなるため、ミスマッチを防止することが目的とされています。立場の弱い高校生の事情に配慮した措置となっています。

■考えられる影響について

 今回の発表は就職活動が後ろに1カ月スライドする、ということなのですが、それとは別に、高校の授業スケジュールを考慮する必要があります。4月と5月の休校措置による授業の遅れを取り戻すために、ほとんどの学校で夏休みが事実上なくなります。

 従来ならば、夏休み中に興味を持った企業をいくつか訪問することができるだけの時間的ゆとりがあったのですが、今回の措置では、授業を除くと、職場見学をする時間が設けられない懸念が生じます。

 これは、スケジュール変更の措置が悪いということではなく、別の問題になります。学校が短縮授業を行ったり、企業がインターネット等で社内の業務風景を紹介したりするなど、工夫が必要になります。

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