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関西地方で2017年に目撃された巨大流れ星、原因は小惑星の分裂 国立天文台
2017年4月29日に関西地方を中心に目撃された火球の経路 (c) NAOJ / Kasuga et al.[写真拡大]
国立天文台は15日、2017年に関西地方などで目撃された巨大流れ星が、小惑星の分裂時に発生したものであることが判明したと発表した。流れ星が小惑星から分離する仕組みを考察することは、天体の衝突から地球を防衛する対策につながるという。
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■流れ星が誕生するメカニズム
流れ星(流星)は、宇宙空間中の塵が地球に衝突する際に、大気中で摩擦により光を放つ現象だ。塵の直径は数ミリメートル程度でも流星として観測される。これが数センチメートルになると金星よりも明るい「火球」として確認される。
流星の原因は主に、彗星が太陽に接近した際に氷から放たれる物質だ。一方、小惑星が原因の流星も存在する。だが彗星と異なり蒸発する成分をもたないため、小惑星から流星が生まれるメカニズムに関して不明な点が残るという。
■小惑星の分裂で誕生した火球
国立天文台の研究者などから構成されるグループは、2017年4月29日に関西地方などで観測された火球のデータを解析した。国内12カ所でとらえた火球の観測画像から経路を算出した結果、地球に接近する小惑星「(164121)2003YT」の軌道とほぼ一致することが判明した。これは火球が小惑星から放出されたことを示唆するという。
同小惑星は大小2つの天体が互いを回りあう二重小惑星であり、1つだった天体が自転速度の上昇により分裂したと予想される。過去1万年未満で分裂したとされる小惑星から流星体が放たれたとすれば、火球の軌道と整合的だと考えられる。
火球程度の流星の場合、衝突しても地球環境への影響はない。だがより大きな流星や小惑星が地球に衝突すれば、地球に深刻な被害を及ぼすと予想される。そのため、地球に接近する小惑星の監視や、小惑星から物質が放出される仕組みを知ることは、地球を守るうえで重要だという。
研究の詳細は、米天文学誌Astronomical Journalにて13日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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