「ECカレント」等のEC企業:ストリームは迷路から抜けだせるか

2018年7月17日 08:46

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 家電やパソコンなどのネット通販サイト「ECカレント」「イーベスト」「特価COM」を運営するストリームはいま、節目を迎えている。そのことは2019年1月期決算に顕著に見て取れる。年度末決算の直前に「下方修正」に踏み切った。「売上高208億3,000万円(従来計画224億3,000万円)、営業利益9,500万円(2億200万円)、純益1,600万円(1億2,400万円))」。大幅な下振れである。

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 同社は「ネット通販事業」の他に「各種販売支援事業」「ビューティ&ヘルスケア事業」「オンラインゲーム事業」を手掛けているが、前期決算が示すように総売上高の86%(192億2,500万円)を占めるネット通販に大幅な下方修正の要因は求められる。会社側も背景について「ネット通販で外部サイト(楽天・ヤフー・アマゾン)の活用に注力した。伴い販促イベントなどに積極的に参加した結果」としている。つまり広告宣伝費の増加。在庫水準の適正化(期末滞留在庫に関し8,200万円の商品評価損を計上)による販管費負担増である。

 確かに外部サイトの積極的活用により会員数は17年1月期に比べ9%増の約1,032万人となっている。が主力のネット通販の今後の在り様に関して明確な方向性は示されていない。斯界に詳しいアナリストは「昨年11月にアマゾンとの間で交わした契約が答えを示している」とする。「在庫管理・商品配送代行サービス」の委託契約である。だがこの軸足の置き所の偏りは果たしてストリームにとり、正鵠を射た選択なのか。例えば前記の様に「不要在庫を抱え込む」というマイナス要因は解消されようが、配送代行は負担増の懸念は残る。

 すべては履いている下駄が低くなっている分もあってか今期については、「13.3%の増収(254億700万円)、117.7%の営業増益(2億700万円)、627.1%の最終増益(1億2200万円)」でスタートしたが、遂行状況の確認が今後の同社を占う意味で不可避のポイントとなろう。先のアナリストが漏らした「外部サイトを活用しつつ、自社サイトの拡充を図っていくのがこの世界で成功する常套策と認識している」という言葉が、耳に残った。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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