静かに狂っていく姿に戦慄が走る…「あなたには帰る家がある」9話レビュー

2018年6月10日 18:41

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どこまでも不倫相手に食らいつく綾子(木村多江)。本編でも秀明(玉木宏)に「アナコンダかよ」と突っ込まれるほどに狂っているのがわかる(c)TBS

どこまでも不倫相手に食らいつく綾子(木村多江)。本編でも秀明(玉木宏)に「アナコンダかよ」と突っ込まれるほどに狂っているのがわかる(c)TBS[写真拡大]

■崩壊した人間の姿を喜劇チックに描く9話

 TBS系列のドラマ「あなたには帰る家がある」の第9話が6月8日に放送された。真弓と秀明が夫婦としてまた歩み寄る片鱗を見せた8話だったが、ラストに不倫相手の綾子によって見事に打ち砕かれた。ドロドロした物語が予想されたが、あくまで喜劇チックに物語が進む辺りが「あな家」最大の魅力だろう。

【前回は】秀明の娘を思う姿から目が離せない!「あなたには帰る家がある」8話レビュー

■過去を振り切ろうとする真弓、立ちふさがる綾子

 秀明(玉木宏)の元に届いていた荷物を、真弓(中谷美紀)は彼のアパートまで運んできていた。しかし、彼の部屋から出てきたのは綾子(木村多江)だった。彼女は以前に部屋へ入ったときに盗んだ合い鍵を使い、部屋に侵入していたのだった。誤解した真弓はまた秀明に失望し、完全に縁を切ろうと決心する。

 秀明は何とか誤解を解こうと躍起になるも、すべて空回りになってしまう。それでも諦めきれない秀明は真弓に会おうと、カレーショップで開かれるパーティに出席。やはり邪見にされてしまうも食らいつく秀明だが、そこにまで綾子がやってきてしまう。

 綾子はなぜかカレーショップ内で手料理を振る舞いだし、あくまで自分が秀明のパートナーにふさわしいと主張し始める。しかし、そこに綾子の夫である太郎(ユースケ・サンタマリア)までやってくることで、不倫の当事者たちが一同に会することとなった。

 4人がそろって意見を交わすも、問題がすぐに解決することはなかった。しかし、秀明は真弓と2人切りになったとき、綾子が部屋にいた件は誤解だったと訴えかける。その意見は本当であると理解した真弓だったが、突然に綾子の母親が倒れてしまうのだった。綾子は秀明に自分を母の元へ送って欲しいと懇願し、真弓はそれを承諾する。

■真弓にある心境の変化が……

 一方で麗奈(桜田ひより)は茄子田家の長男である慎吾(萩原利久)とデートをしていた。彼女にとって初めての念願のデートということもあり浮足立っていたが、慎吾は浮かない表情を見せる。悩みの原因は家族に関することで、自分の家は異常であると言い続ける。

 パーティとトラブルを超えて家に帰る真弓だったが、麗奈もいない部屋に自分だけが佇む瞬間に孤独感を覚えてしまう。振り払うように外へ走りに行くと、偶然にも太郎と遭遇する。その日は誕生日だったが誰も祝ってくれる人もおらず、真弓はつい太郎と食事へ向かうことになる。その席で垣間見た太郎の顔に、真弓の心は少しだけ開いていくのだった。

 綾子の狂いっぷりが相も変わらず魅力的であり、そのタガの外れ方があるおかげで普通の不倫ドラマとは違ったテイストに見えてくる。また、綾子には暗い過去があることが太郎や慎吾の発言に見え隠れしているが、その内容も気になるところである。

 「あなたには帰る家がある」はTBS系列にて毎週金曜日22時から放送。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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