大成建設と筑波大、床仕上げロボットを半自立制御可能に 自動運転化へ

2017年10月28日 10:33

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「T-iROBO Slab Finisher」が作業する様子。(写真: 大成建設の発表資料より)

「T-iROBO Slab Finisher」が作業する様子。(写真: 大成建設の発表資料より)[写真拡大]

 大成建設と筑波大学は27日、16年に開発したコンクリート床仕上げロボット「T-iROBO Slab Finisher」の機能を拡充し、半自立制御操作を可能とするシステムを開発したことを発表した。

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 今回の開発により、これまでオペレーターが常時コントローラーで操作していた床仕上げロボットは、半自立制御による自動運転が可能となった。自動運転により、作業の省力化と労働環境の改善が実現するという。

 本システムの特徴に、「走行範囲」または「走行ルート」を指定する方式がある。事前に方式を指定することで、ロボットは指定された作業を繰り返し行うことが可能となる。

 「走行範囲」を指定する方式では、オペレーターが実際にコントローラーでロボットを走らせることで、走行範囲(外周)を指定することができる。工場やオフィスなど障害物のない平面における床仕上げに適しているという。

 「走行ルート」を指定する方式も同様に、オペレーターがコントローラーでロボットに特定の走行ルートを指定することで、そのルートを繰り返し走行することができる。建物地下部や倉庫内など、障害物を回避しないとならない複雑な床仕上げに適しているとされている。

 大成建設は16年、コンクリート床仕上げロボット「T-iROBO Slab Finisher」を開発。これまで土間工が担ってきた作業では、常時中腰体勢で行うことから身体への負担が重く、コンクリートの打設面積や硬化具合に応じて、長時間作業を強いられてきた。本ロボットの導入により、身体への負担を軽減し、作業の省人化や効率化が実現されたという。

 また、土間工が騎乗する従来の「床仕上げ機械」も、ガソリンエンジンを搭載し、約350キロの重量や適用場所など稼働範囲が限られていた。着脱式バッテリーを搭載する本ロボットは、使用面や効率面において各段に優れているという。

 大成建設は今年に入って、橋の老朽化を検知するロボットや、鉄筋を結束するロボット、溶接ロボットなど相次いだ開発・導入を進めている。オリンピックに向けた建築需要のなか、人手不足に悩まされる建設会社各社は、AIやロボットを活用した作業の自動化や効率化に一層注力しているようだ。

 大成建設は、本ロボットを物流倉庫やショッピングセンターなど床仕上げ面積が広範囲な建物を中心に、広く展開していくという。ロボットによる技術革新が目覚ましい建設業界の動向は、今後も注目である。

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