迷走を続けた東芝の半導体メモリ事業 売却先をようやく決定

2017年9月22日 21:22

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東芝は20日の取締役会で、米投資ファンドのベインキャピタルを中心とする日米韓連合と「東芝メモリ」の売却契約を締結することを決議した。目論見通りに売却できれば、債務超過を解消できる見通しとなり、経営再建の最大の焦点にケリをつけることになる。だが、協業先のウエスタンデジタル(WD)は想像以上にしたたかだ。ありとあらゆる手を繰り出して、自社が有利になる工作を続けるだろう。

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 東芝メモリの売却問題がこれだけこじれた最大の要因が、WDにあることは衆目の一致するところだ。WDが東芝メモリの協業先になったのは、昨年5月にサンディスクからの買収手続きが完了して以降のことだ。東芝にとって気心の通った協業相手だったサンディスクが、前触れもなく強面のWDに変わってしまった。事故みたいなものだ。

 いやも応もなくサンディスクの跡を引き継いだWDは、サンディスクが東芝と結んでいた提携契約も引き継いだとして、今回の東芝による「東芝メモリ」の売却が契約違反だとしている。契約内容は不明であるが、交渉過程における東芝の“腰の座らなさ加減”とWDの強硬な姿勢を勘案すると、WDにもそれなりの理屈が感じられる。これが東芝にとっての最大の誤算だった。

 米カリフォルニア州の上級裁判所において「半導体メモリ事業を売却するのは契約違反」であるかどうかを審査した結果、審問は「メモリ事業の売却完了の2週間前に、東芝がWDに通告するよう」命じて終わった。まずは東芝に“1本”である。

 しかしその次に控える国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所への“半導体事業売却差し止め”の申し立てに対する最終判断は、1年半から2年間程度の審査期間を経て下されることになる。米カリフォルニア州の上級裁判所で1本取ったからといって、ICCも同じような判断をしてくれるかどうか分からない。さらに最大のネックが「1年半も2年も待てない」ことだ。18年3月末までに債務超過を解消することが現在の東芝に与えられた最大のミッションだ。

 ICCが“半導体事業売却差し止め”を認めれば、買収企業は損害賠償も含めて莫大な損失を被ることになる。そんなリスクが否定できないから、産業革新機構と日本政策投資銀行は「WDとの係争解消後に資本参加」という立場にこだわった。報道される交渉経緯を辿れば東芝がWDにどれだけ気を使って来たかが良く分かる。だが、WDの姿勢は交渉攪乱でしかなかったようだ。先の見えない状況に、背後に控える銀行団も怒り心頭だ。とうとう東芝の堪忍袋の緒が切れた。

 明確な海図は誰の手にもない。全てのケリがついた時期に今回の判断をどう評価することになるのか興味はあるが、今は進める方向に進むしかないのだろう。(矢牧滋夫)

関連キーワード東芝買収裁判半導体東芝メモリ産業革新機構Western Digital

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