消費増税で仕入価格は平均3.7%上昇、小規模企業ほど収益環境悪化=帝国データバンク

2014年11月26日 12:17

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消費税率引き上げ後の仕入・販売価格の変化(前年同月比%)を示す図(帝国データバンク「消費税率引き上げ後の仕入・販売価格に関する企業の動向調査」をもとに編集部で作成)

消費税率引き上げ後の仕入・販売価格の変化(前年同月比%)を示す図(帝国データバンク「消費税率引き上げ後の仕入・販売価格に関する企業の動向調査」をもとに編集部で作成)[写真拡大]

 帝国データバンクは、消費税率引き上げ後の仕入・販売価格に関する企業の動向について調査を実施し、25日その結果を発表した。調査対象は全国2万3,327社で、有効回答企業数は1万755社(回答率46.1%)だった。

 まず、2014年10月の仕入単価および販売単価が1年前(2013年10月)と比較してどの程度変化したか尋ねたところ、仕入単価は平均3.7%上昇していたという。他方、販売単価は平均0.6%の上昇にとどまっており、収益環境(販売単価-仕入単価)は厳しさを増している様子がうかがえるとした(いずれも税抜き価格)。

 その傾向はとりわけ「小規模企業」で顕著で、収益環境は-3.8ポイントとなった。一方、「大企業」は-2.3ポイントだった。販売単価は小規模企業と大企業であまり差がみられないなかで、特に仕入単価の上昇が小規模企業の収益を圧迫している実態が浮き彫りとなった。業界別にみると、「不動産」「建設」「製造」が非常に厳しい収益環境のもとにおかれているという。特に、資材などの価格上昇が顕著な「不動産」「建設」は仕入単価が大きく上昇していることで、収益環境を悪化させる要因となっているとした。

 また、「製造」は仕入単価が大幅に上昇している一方、販売単価はわずかな上昇にとどまった。概ね「卸売」や「小売」など川下産業に比べて川上産業の方が収益環境は厳しく、川上産業において原価の上昇を販売価格に転嫁できず、利益を悪化させている可能性が示唆されるとした。

 また、2014年10月と比較して1年後(2015年10月)の販売単価(税抜き)がどの程度変化すると予想しているか尋ねたところ、予想販売単価上昇率は平均+1.7%となった。現状の同+0.6%と比べると、販売単価上昇率が1.1ポイント高まり直近一年の上昇率の約3倍になるとみていることが分かったという。規模別にみると、「大企業」と「中小企業」は同程度の上昇を予想する一方、厳しい収益環境の状態にある「小規模企業」は+2.1%と予想しており、販売価格に関してやや強気の上昇を見込んでいると分析している。

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