北海道新幹線津軽蓬田トンネルが地上到達に成功、鹿島

2012年11月6日 19:54

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地上到達したシールドマシン(写真:鹿島)

地上到達したシールドマシン(写真:鹿島)[写真拡大]

  • 到達地点の様子(写真:鹿島)
  • 完成したトンネル内部(写真:鹿島)

 鹿島建設は、鉄道・運輸機構発注の北海道新幹線・津軽蓬田トンネルにおいて、国内で2例目となる「SENS(センス)工法」による工事を進めてきたが、2012年10月にSENS工法では初めての地上到達に成功したと、6日発表した。

 津軽蓬田トンネルは全長6,190m、シールド外径11.3mの大断面トンネルで、2009年11月から掘進を開始し、35ヶ月の掘進で到達した。そして、SENS工法では日本初となる地上発進・地上到達を成功させた案件となる。

 SENS工法とは、シールド工法の安定性と施工性、NATM工法の経済性を併せ持った工法。密閉型のシールドマシンにより切羽の安定性を図りながら掘進を進め、並行してマシンのテール部で一次覆工となる場所打ちコンクリートを打設、一次支保材として地山を保持しながらトンネルを構築する。一次覆工の安定を計測により確認したのち、NATM工法と同様に、漏水処理工と二次覆工を施工してトンネルを完成させる。

 SENS工法は、シールド工法と比較してセグメントが不要となるためコストを低減することができるが、場所打ちコンクリートにて一次覆工を行うため高度な施工管理が要求される。工期的にはNATM工法の倍以上のスピードで施工することができ、同工事では6,000m以上のトンネルを約35ヶ月というスピードで掘進を行うことができた。推進機構や内型枠の改善を行い、最大では367.5mの速度で掘進した月度もあったという。

 また、同トンネル工事では、大断面シールドマシンとして国内初となる小土被り(5m、掘削外径比0.4D)の地上到達を行った。地上到達工法は、立坑や開削などに必要とされる施工ヤードを最小限におさえることができるほか、工期短縮、コストダウンが可能な一方、シールドマシンを安定させる拘束力(外荷重や地盤反力)が小さいため、小土被り区間での姿勢制御や地盤変状抑制といった課題を検証・解決する必要があった。

 今回の工事では、コンクリート盛土と仮設の押え盛土、背面地山に対するロックボルト引き抜き抵抗力により、マシンの安定性を確保した。地上到達の際は小土被りとなるため、地表面の測定を20箇所以上にわたって常時計測し、地表面の隆起・沈下などの変位を高精度に制御し、無事に地上到達を成功させた。

 鹿島は、今回SENS工法で国内初となる地上発進と地上到達を成功させたことで得られた知見を基に、SENS工法の確立を進めると共に、都市部への大規模トンネル工事や地盤の悪い山岳トンネル工事などへ地上発進・地上到達工法を適用できるように更に技術開発に取り組んでいく方針。

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