【再生可能エネルギー特集(8)】風力発電の市場動向と関連企業

2012年4月3日 21:43

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■規制・制度改革で開発のスピードがポイント

  日本の風力発電市場は、電力供給の不安定さに加えて、耐震性などの規制強化で建設コストが上昇し、開発にも長期間を要すること、さらに住民運動などの要因で伸び悩んでいるが、電力全量買い取り制度に加えて、規制・制度改革で開発のスピードが上がれば、普及に弾みがつく可能性もあるだろう。

  国内の風力発電事業者には、東京電力 <9501> と豊田通商 <8015> が出資するユーラスエナジーホールディングス、Jパワー(電源開発) <9513> 、日本風力開発 <2766> などがある。各社ともに、国内での新規立地が進まないこともあり、欧州や米国を中心に海外での事業を拡大する方針を打ち出している。国内最大手のユーラスエナジーは、すでにスペインで国内を上回る風力発電能力を保有し、米国テキサス州では国内最大級の約3倍規模となる風力発電所を稼働させている。

  また出光興産 <5019> は、日本風力開発 <2766> と風力発電所を共同運営する。さらに今後は、海外で風力発電事業を拡大させている総合商社など、新規参入も想定されるだろう。

  風力発電機の世界市場では、デンマークのヴェスタス、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)、ドイツのシーメンス、ドイツのエネルコン、スペインのガメサなどが上位を占めている。今後は海上風力発電用の超大型機の需要拡大も期待されている。

  日本のメーカーでは、日本製鋼所 <5631> 、三菱重工業 <7011> 、富士重工業 <7270> などが、大型の風力発電機市場に参入している。富士重工業 <7270> は日立製作所 <6501> と共同で、日本特有の風に対応するため、羽根の向きを逆にした独特な設計の風力発電機を開発した。しかし日本メーカーの世界市場でのポジションを見ると、国内最大手の三菱重工業 <7011> でも、世界市場シェアは3%弱にとどまっている模様だ。

  また工場、港湾、都市部などに適した小型風力発電装置の分野では、シンフォニアテクノロジー(旧神鋼電機) <6507> 、川崎重工業 <7012> の子会社である日本飛行機などが参入している。

  関連銘柄としては、風力発電事業者では、日本風力開発 <2766> 、出光興産 <5019> 、豊田通商 <8015> 、東京電力 <9501> 、Jパワー(電源開発) <9513> 、風力発電機メーカーでは、日本製鋼所 <5631> 、日立製作所 <6501> 、シンフォニアテクノロジー(旧神鋼電機) <6507> 、三菱重工業 <7011> 、川崎重工業 <7012> 、富士重工業 <7270> などがあるだろう。

  また、風力発電機の羽根に使用される炭素繊維では、帝人 <3401> 、東レ <3402> 、三菱レイヨン <3404> があり、風力発電機用の大型軸受けでは、日本精工 <6471> 、NTN <672> 、ジェイテクト <6473> などがあるだろう。

  スマート・グリッドの電力制御機器関連では、日立製作所 <6501> 、東芝 <6502> 、三菱電機 <6503> 、富士電機 <6504> 、安川電機 <6506> 、明電舎 <6508> などがあり、送電線ケーブル関連では、古河電気工業 <5801> 、住友電気工業 <5802> 、フジクラ <5803> 、日立電線 <5812> などがあるだろう。

  さらに、海外で風力発電事業を拡大させている総合商社では、伊藤忠商事 <8001> 、丸紅 <8002> 、三井物産 <8031> 、住友商事 <8053> 、三菱商事 <8058> があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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