大阪ガスや川崎重工など、ごみ焼却熱を発電に再利用や需要家に輸送する実証実験

2011年9月26日 23:55

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技術実証の全体イメージ(画像提供:大阪ガス)

技術実証の全体イメージ(画像提供:大阪ガス)[写真拡大]

 大阪市、大阪府、川崎重工業、大阪ガスは26日、大阪市環境局ごみ焼却大正工場(以下、大正工場)において、ごみ発電後に発生する低温排熱をバイナリー発電設備で利用するとともに、ごみ焼却熱を熱輸送車で近傍の需要家に輸送する「ごみ焼却工場等の都市排熱高度活用プロジェクト」を、経済産業省の「平成23年度次世代エネルギー技術実証事業」に提案し、採択されたと発表した。

 今回の熱源となる大正工場と近傍の需要家を対象として、熱利用を最適化するエネルギーマネジメントシステムを導入し、従来のごみ発電と比較して25%以上のエネルギー利用効率の向上を目指す。

 現在、大正工場では、ごみの焼却熱で蒸気を発生させ、発電や場内の給湯・暖房を行っている。

 今回の技術実証事業では、これまで廃棄していた発電利用後の低温熱を、新たにバイナリー発電設備を設置し、発電に利用することで、場内エネルギー利用率の向上を図る。バイナリー発電設備とは、低温の蒸気や温水等の熱により、沸点の低い媒体(今回の場合は約80℃)を気化させ、その体積の膨張を利用して、タービンによる発電を行う省エネルギーシステム。

 また、ごみ焼却熱を熱輸送車を用いて近傍の需要家に輸送供給することで、ごみ焼却熱の有効活用を図る。ごみ焼却熱の輸送の仕組みは、蓄熱槽をトレーラー等に載せて、熱を運ぶというもの。甘味料の一種であるエリスリトールの潜熱(固体、液体間で相変化する際に必要な熱)で蓄熱することにより、同容量の水と比較して約3倍の蓄熱が可能だという。

 さらに、同技術実証では、熱輸送車による熱供給の可能性の検証に加え、複数の需要家への効率的な輸送方法についても検討するという。従来の配管による熱供給方法に、今回の熱輸送車による熱供給方法を新たに加えることで、熱の高度な利用を目指す。

 川崎重工は、事業全体をマネジメントするとともに、バイナリー発電設備(250kW)を導入することで、これまで未利用であった大正工場の低温排熱を有効利用する。また、周辺需要家と大正工場の需要から熱利用の最適化を図る工場内エネルギーマネジメントシステムを構築し、その有効性の検証を行う。

 また、大阪ガスは、熱輸送車等を導入し、ごみ焼却熱をごみ焼却工場だけでなく複数の熱需要家で利用する技術実証を行う。

 なお、同技術実証の期間は2011年度から3年間の予定。

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