1-6月期の日中貿易、過去最高:赤字額は震災の影響で4.3倍に拡大

2011年8月17日 10:00

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日中貿易の月次推移を示すグラフ(出典:日本貿易振興機構「2011 年上半期の日中貿易」図表)

日中貿易の月次推移を示すグラフ(出典:日本貿易振興機構「2011 年上半期の日中貿易」図表)[写真拡大]

 日本貿易振興機構(ジェトロ)は16日、2011年上半期(1-6月期)の日中貿易が前年同期比17.9%増の1,631億5,101万ドルと、上半期ベースで過去最高を記録したと発表した。東日本大震災の影響で輸出の伸びが鈍化したことから、貿易収支は日本側が67億4,568万ドルの赤字と、赤字額は前年同期比4.3倍に拡大した。

 上半期の日中貿易は、中国経済の継続的な高成長に伴う輸出の増大、中国製完成品・部品等に対する日本での需要拡大を受けた輸入の増加で、単月ベースでもすべての月で前年比プラスだった。

 輸出は前年同期比14.3%増の782億267万ドル。中国国内需要の拡大に加え、日米欧などに輸出する完成品生産に必要な設備機械・部品・原材料が増加。震災の影響で、自動車と部分品、非鉄金属が減少したことから伸び率は前年同期に比べ大幅に低下したものの、輸出額は上半期ベースで過去最高を記録した。

 輸入は同21.4%増の849億4,834万ドル。スマートフォンの需要拡大に伴って通信機が増加したほか、食料品の輸入も伸長した。また、震災後の電力不足・節電への対応や防災用品への需要拡大で、扇風機、発電機、電池などが急増し、輸入額も半期ベースで過去最高を記録した。

 11年通期の見通しについては、中国政府による金融引き締め策の影響、震災による輸出の伸びの鈍化などから、対中輸出は10年よりも伸び率が低下。一方、輸入は現地生産の一層の進展や、スマートフォンなどの輸入拡大などで、上半期並みの伸びを確保するとみられる。

 日中貿易は06年以来輸出の伸びが輸入の伸びを上回る状況が続いてきたが、輸出が鈍化することから、対中貿易収支の赤字額は05年以来6年ぶりに前年比増大する見通し。

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