ブランド見聞録:ブランドはマーケットを勝ち抜く経営ツールです:第2回 ブランディングは、恋愛関係

2011年4月8日 14:13

印刷

 この度の東北関東大震災で被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。弊社のコンサルティング先も3社が被災されました。ドラマのセリフではありませんが、神は乗り越えられる試練しか与えません。がんばろう!日本。絶対に陽はまた昇ります。

■ブランディングは難しい?
 さて、話は変わりますが、本屋の経営書の棚には、ブランド論やブランディング関連の数多くの著書が並んでいます。どれも素晴らしいと思いますが、私には難しく感じられる内容のものが少なくありません。30年近く最前線の現場でブランド・マーケティングに携わってきた私がそのように感じるのですから、一般の方にはもっと難しく感じるはずです。

 私は、ブランディングはターゲットとブランドを恋愛関係にすることだと考えています。一度も恋愛をしたことがない人は別にして、そのように考えるとブランディングがわかりやすくなります。また、ブランディングは、学問ではなく、実学です。この点も恋愛と似ているかも知れません。

■まずは明確な戦略を立てアプローチ
 あなたは気になる異性をどのようにして射止めますか。いきなり告白する?デートに誘う?それともプレゼントをする?実際に、その想いが強ければ強いほど、またライバルが多ければ多いほど、最初に相手の性格や趣味などを知ろうと思うはずです。それを踏まえて作戦を練り、自らの想いや魅力を印象的に伝えようと、あの手この手でアプローチ。そして、相手からの信頼を勝ち取って、ようやく恋は成就します。

 ブランディングもまったく同じです。狙うターゲットを定め、そのインサイト(消費者の本音)や競合他社の状況を含むマーケットの状況を把握。それを踏まえてブランド戦略を練り、ブランドの魅力や強みを伝えようと、あの手この手のアクションプランでアプローチ。そして、ターゲットからの信頼を勝ち取って、はじめてブランドとして認知されるのです。

■見栄、焦り、ウソ、言動の不一致などは禁物
 ブランディングで重要なのは、相手を知り、己を知り、明確な戦略を持ち、浮気をせず、誠実に初心を貫くことです。不釣り合いなターゲットを狙ったり、実力以上に見栄を張ったり、時と場合によって言動が異なったり、焦って結果を求めると失敗します。これも恋愛と同じです。

 但し、信頼で結ばれた恋愛関係は一旦ヒビが入ると、なかなか元には戻りません。数年前に発覚した大手食品会社の製造年月日の改ざんによるブランドの消滅、今回の被災で起きている農作物や魚介類への風評被害などは、その顕著な例といえます。

 次回のコラムのテーマは、「ブランド戦略は、企業の生き方」の予定です。経営計画とブランド戦略の関係。中小企業にとってのブランディングの必要性について語ります。

著者プロフィール

町田 芳之

町田 芳之(まちだ・よしゆき) 有限会社クリエイティブ・コネクション代表取締役

ブランド戦略コンサルタント/クリエイティブディレクター
公益財団法人 日本生産性本部認定 経営コンサルタント
大学を卒業し、松下電器の広告制作会社にコピーライターとして入社。その後、大手外資系広告会社でクリエイティブディレクターとして勤務し、独立。国内外の大手企業だけでも80社120ブランド以上のブランディングに携わる。また著名な広告賞を数多く受賞。現在は中小企業を中心に“ブランド戦略の策定から、各種アクションプランの企画・実施まで”ワンストップで提供している。
■経済産業省・関東経済産業局 平成22年度「地域中小企業知財経営基盤定着支援モデル調査委員会」委員 /「中小企業応援センター事業」コンサルタント 
■農林水産省・まちむら交流きこう「食と農林水産業の地域ブランド協議会」地域アドバイザーなども務める。
有限会社クリエイティブ・コネクション http://www.creative-connection.jp

記事の先頭に戻る

関連記事